前田航基「国と国が違っても、愛があればわかりあえる」『フィリピンパブ嬢の社会学』舞台挨拶で

愛知県先行上映中の映画『フィリピンパブ嬢の社会学』の公開記念舞台挨拶が、11日ミッドランドスクエア シネマで行われ、主演の前田航基さん、ヒロインの一宮レイゼルさん、白羽弥仁監督が登壇。フィリピンロケのエピソードや、作品に込めた想いなどを語りました。

本作は、原作者・中島弘象さんの実体験をもとにした新書「フィリピンパブ嬢の社会学」を映画化したラブストーリー。前田航基さんは、在日フィリピン人女性の現状を研究する大学院生の中島翔太を、一宮レイゼルさんは、翔太が恋に落ちるフィリピンパブで働く女性、ミカを演じました。※以下敬称略

ミカを想う気持ちや一緒にいたいという思いは一緒

MC とても自然体なふたりでしたが、役へのアプローチはどのように?

前田 乗り越えなきゃいけない問題やぶつかる壁はあれど、大学院生で年齢も近く、ミカを想う気持ちや一緒にいたいという思いは僕にもわかるので、等身大で演じさせていただきました。

MC レイゼルさんは本作が映画初出演でしたが、どのように演じようと?

レイゼル 変に作ったり、あまり深く考えないで、台本を読んで感じた気持ちを大切に撮影に挑みました。

MC アドリブなんかも?

レイゼル ステファニー・アリアンさん演じる親友のアキとのシーンは結構ありました。

監督 もうね、困ったんですよ。僕はタガログ語がわからないから、(アドリブだと)本当に台詞を言ってるのかわからないし、あきらかに違うなというのは感じても言ってる内容がわからないので、都度都度通訳に「いま何話してた?」「なんて言ってるの?」って、いちいち確認しながらメモに書き留めて、大変でした。でも、それがかえって自然な会話になっているので、オッケー出してるんですけどね。

MC 前田さんは、あえて撮影前にフィリピンパブに行かなかったとお聞きしました。

前田 翔太も研究のために、初めてフィリピンパブに行くので、僕が変に詳しいのも違うなあと思って。撮影日に、ワクワクした気持ちで行ったら、セットなんですけど、実際に営業されているお店を使っているので、本当にリアルで、こんな世界があるんだな~と思いました。

監督 (前田さんを見て)あなたの目がなんかクルックルしてたんだよね。驚きが、そのまま出ているのが良かったですね。

前田 いや、ビックリしましたね。きらびやかなドレスを着た女性が、目の前にいて、一対一でお話するって、僕からすると結構特殊で。普通に話してても、圧倒されちゃうものがあって、いい意味で、固まっちゃうみたいなところはありました。

撮影で使うお土産が…

MC フィリピンでも撮影が行われましたが、フィリピンには?

前田 初めて行ったんですけど、最高でした。ご飯が美味しくて、意外と知られてないんですけど、醤油ベースだったり、料理の味が日本に近いんですよ。あとは、人が本当に温かくて優しかったです。なんでもウエルカムで、大丈夫、大丈夫みたいな。すごく素敵な国でした。

MC レイゼルさんは、里帰りみたいな感覚で?

監督 確か撮影の前の日にお家に帰ってたんだよね?

レイゼル はい。だからお土産を渡すシーンは、本当の親戚がたくさん出ています。

監督 お家に帰った時に、お土産を配っちゃったらしくて、いやいや、それは明日撮影で使うやつだから「回収してきて!」って。結局、同じことをもう1度やったという。

前田 最終的にはお持ちかえりいただいたんですよね?

監督 もちろん!

レイゼル みんな、その場で食べてました(笑)

前田 チョコレートは持って帰るまでもないか…。

監督 あれは、ビックリした。

レイゼル 実は、空港まで親戚が迎えに来てくれたんですけど、来てくれた理由がお土産なんじゃないかってぐらい、お土産大事です。

MC カップラーメンとか?

レイゼル カップラーメンは必須!

MC あと、ステファニーさんが、ふりかけが結構人気っておっしゃってました。

レイゼル ですね。フィリピンには、ふりかけがないので。でも、コメ文化だから、すごくフィリピンの人のお口にあいます。

MC 逆に前田さんがフィリピンで買ったお土産は?

前田 向こうに滞在している時にコンビニに連れて行ってもらったんですけど、向こうはチョコの種類が日本と違ってすごく多くて。しかも安い。チョコバーとか、日本の十分の一ぐらいの値段で、とにかく甘くてトロットロ、それが気に入って、いくつか購入して帰ったんですけど、ほんとに美味しかったです。

おもてなしの精神がスゴイ!

MC 今回は、春日井氏市を中心に、名古屋でも撮影が行われています。愛知県に滞在した感想は?

前田 おもてなしの精神がすごい!モーニングで、コーヒー頼んだら、パンとたまごついてくるみたいな。今日も、宣伝している中、2回お昼ご飯に行くチャンスがあったんですけど、どこもすごい大盛りで。普通でもお腹がパンパン。サービス精神旺盛だな、そういう県民性を感じました。

監督 あなたよく食べるよね。

前田 いやいやいや!一緒に食べましたからね。僕だけじゃない、おふたりも普通に食べられてますから!(会場爆笑)

MC レイゼルさんは?

レイゼル トヨタ車が多い!ヴェルファイアって言うんですかね?白くて、ミニバン多いなっていう印象があります。

MC へぇ~。よく観察されてますね。監督は神戸ですけど、やっぱり違うものですか?

監督 多いですね。ちなみに劇中で、ミカたちを監視するこわいお姉さん(飯島珠奈)が乗る黒いバンはホンダなんです。

抱え込まないことは大切!友達と感情をシェアすることで、気持ちって楽になる

MC 壁にぶつかった時に、乗り越える「原動力」になっているものはありますか?

前田 抱え込まないのは大切かもしれませんね。友達と感情をシェアすると、意外と気持ちが楽になって前向きに取り組めたり…。

MC 今回の撮影で壁にぶつかったことは?

前田 ずっと楽しくのびのび…(にこにこ)

監督 わりかし感激屋さんで、すぐ喜びの涙をあげるんですよ。

前田 そんな泣きませんよ…でも、ほんと~に楽しかった!

MC なかでもクライマックスのシーンはかなり力が入ったそうで。

前田 最後のシーンは”チカラ”入ってますね。翔太がはじめてミカのために能動的に前を向いて、一緒に生活するために何かしようとする。すごく大事なシーンで、台詞もいい言葉ばかりで、すごく大事にやらせていただきました。

MC レイゼルさんは?

レイゼル どちらかというと私はミカと同じで、あまり深く考えないで「まぁ、なんとかなるでしょ」っていうタイプ。ダメなら、またやればいい。そんな気持ちで、いつもいろいろなことに挑戦しています。


ここで、サプライズで原作者の中島弘象さんが登場。3人に花束贈呈しました。

自分の実体験が映画になるなんて、なかなかないことなので、不思議な気分です。」と中島さんが心境を口にすると「弘象さんにとって大事なキャラクターを僕に任せて下さってありがとうございました。本当に素敵なお話だと思うので、参加させていただけて光栄でした。」と前田航基さんも笑顔で応えました。

最後に監督が「民族と民族が争って血を流すという、ちょっと辛い時代に入ってしまった中で、とにかく愛をもって、手と手を繋いで、明日に向かって頑張ろう!という前向きな気持ちを大切に作りました。大げさかもしれませんが、世界平和を祈ってみなさんに届けたつもりです」と締めくくると、

レイゼルさんは「この映画は、フィリピンの魅力やフィリピン人の魅力そのものが詰まっています。ここから、全国へ、そして世界へ、たくさんの人に届いて欲しい気持ちです」とアピール。

そして前田さんが「この映画を、全国、全世界の人に観てもらって、フィリピンも春日井もこんなに素敵な街なんだよ、国と国が違っても、愛があればわかりあえるんだよってことを伝えていきたいです。ぜひ、みなさん応援して下さい!」と締めくくりました。

映画『フィリピンパブ嬢の社会学』は、ミッドランドスクエア シネマほか愛知県で先行上映中です。

取材・文 にしおあおい (シネマピープルプレス編集部

『フィリピンパブ嬢の社会学』舞台挨拶情報

12日(日)、13日(月)、14日(火)にも舞台挨拶が行われます。

日時:
11 月 12 日(日)10 時 30 分の回 上映後舞台挨拶
11 月 13 日(月)18 時 30 分の回 上映後舞台挨拶(英語字幕付上映)
11 月 14 日(火)18 時 30 分の回 上映後舞台挨拶(英語字幕付上映)

会場:ミッドランドスクエアシネマ2(名古屋駅前 シンフォニー豊田ビル 2 階)

チケット料金:通常料金
※プレミアムシートは別途 800 円。
※前売り券・各種引換券・各種割引サービスは利用可。
※特別上映につき、株主優待券・各種招待券・各種クーポンは利用不可。
※舞台挨拶のみの観覧はできません。必ず該当回のチケットをご購入ください。

■登壇者■
11 月 12 日(日)白羽弥仁(監督)、中島弘象(原作者)
11 月 13 日(月)バージ石原(フィリピン人移住者センター代表)、中島弘象(原作者)
11 月 14 日(火)ネストール・L・プノ(Philippine Society in Japan代表)、中島弘象(原作者)
※登壇者は予告なく変更する場合がございます。予めご了承ください。

■チケット購入方法■
劇場窓口かオンライン http://midland-sq-cinema.jp/index.html で発売中

作品紹介

大学院生の中島翔太は、同世代の在日フィリピン女性の生活を研究対象にすることに。少ないバイト代をやりくりし、フィリピンパブに通う中、フィリピン人の女性ミカに出会う。ミカは月給6万円で休みは月2回だけという過酷な環境で働いていた。そんな中、互いに惹かれ合ったふたりは、交際を始めるが、ふたりの間にはいくつもの壁が…。彼女を想う気持ちが強まる中、ミカはフィリピンの両親のもとに翔太を連れて行く。

タイトル『フィリピンパブ嬢の社会学』 
監督:白羽弥仁 
原作:中島弘象『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書) 
出演:前田航基 一宮レイゼル 
ステファニー・アリアン 田中美里 
津田寛治 飯島珠奈 仁科貴 
浦浜アリサ 近藤芳正 勝野洋 
配給:キョウタス 
©︎2023「フィリピンパブ嬢の社会学」製作委員会
■公式サイト : https://mabuhay.jp/
■公式 twitter :@movie_Phili_pub

東海エリアで撮影



人気の記事

おいしい映画祭

アーカイブ