ゆーと。のピースオブシネマVol.31『怪物』

 

「母性」ほど真っ直ぐ偏った危うい愛情はない、

一体誰が”妖怪”なのか。

ゆーと
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こんにちは!優斗です!

今回は日本を代表する映画監督、是枝裕和監督の最新作、「妖怪」の感想です。

やっぱり是枝監督は凄い、、、。

「怪物」

これまで数々の作品で、さまざまな切り口で<家族>の在り方について切り込んできた是枝監督ですが、鑑賞前はきっと重い映画なのだろうと勝手に覚悟していたのですが、想像以上に爽やかな避暑地的夏休みムービーでした!
でも、観賞後はずっと後を引くずっしりした気持ちになりました。

わかりやすい悪人を作り上げて脚本を作るのはきっとずっと簡単だと思うのですが、今作は本当に”主要人物にほとんど悪人がいない”のに、とても面白くなっている今作の脚本に圧倒されました。
日本社会に、そして自分の身の回りに、もしかするといるかもしれない、いわゆる”妖怪”たち。

誰もが誰かを、いつの間にか”妖怪”にしてしまっていて、『自分の価値観と程遠い人物だから』、『そもそも嫌いな人物だから』『理解できないから』と自分の固定観念を信じ曲げることのできない人が多い日本人の生々しい姿を、今作は見事に映し出しています。
他人を”妖怪”に仕立て上げるのも、仕立て上げないのも自分次第であって、理解しようとする動きや働きかけを起こすことの重要性と難しさを打破するヒントを与えてくれます。
善悪でしか物事を判断できない我々こそが、一番の”怪物”だったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャスト

そして僕が最も印象的だったのは、安藤サクラさん。
ご自身も母親でいらっしゃるから放てるオーラというか、お母さんの貫禄みたいなものが、『あっ、この人ホントにお母さんだ』と生活感溢れるお芝居がたくましく、かっこよかったです。泥まみれの窓を拭き、泥にまみれ、自分の息子を必死に守り抜く母親の姿に、
深くは語りませんが、かつて自分が辛かった時期に母が僕に色々気を遣ってくれたりしてくれたことがあったのを思い出し、心が苦しくなりました。
ベテラン俳優陣も然り、たくさんの子役の演技がピュアで無添加な感じがスクリーンを飛び越えて伝わってきました。

結局、人間は自分の主観でしか物事を判断できないし、自分の固定観念を抜くことは難しいのだと思います。
でもこの作品の観賞後、イオンモールのフードコートを歩いている時、僕の横で騒ぎまわる小学生集団がいました。普段なら、「うるさいな」としか思いませんが、その日はそれ以上に感じるものがありました。

坂本龍一さんの音楽を劇場で聴くという貴重な体験も、映画館でできるのも今のうちです。
ぜひ観てください!

では、また次回!

 

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カンヌ映画祭 脚本賞&クィア・パルム賞受賞『怪物』からオリジナルグッズを3名様にプレゼント!

【動画】是枝監督インタビューはこちら

公開を前に、カンヌ国際映画祭で滞在中の是枝裕和監督にインタビュー。日本時間で夕方18時に取材したら、カンヌはなんとお昼前。リラックスムード漂う監督に、坂元裕二さんとの共通点や坂本龍一さんとの手紙について聞きました。

ゆーと。

映画観賞:年間200本
将来は映像監督めざしています!初の短編映画製作しました。Twitter @yutomiyake

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