伊藤さとりの映画で人間力UP! ポリコレ映画の成功例『クレヨンしんちゃん』の進化!

今年の米アカデミー賞もダイバーシティを目指し、日本映画『ドライブ・マイ・カー』が作品賞ノミネートという多様な人種の受け入れや、ジェーン・カンピオン監督が『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で監督賞というのも男女のバランスを目指すのに一役買い、『コーダ あいのうた』といった耳の聞こえない当事者俳優をキャスティングした映画が作品賞を受賞。まさに映画における改革がどんどん進んでおります。なのに、なぜか日本映画界はその足元にも及ばない。そんな中、『クレヨンしんちゃん』だけは年々、目に見える形で進化し続けているんです。

現在公開中の『クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』は、劇場版30作目となる記念すべき映画でしんちゃんの出生の秘密が明かされるというもの。しかもひょんなことから忍者に誘拐されたしんちゃんが忍びの里で忍者学校に入ることになり、男の子用の着物を選ばずにピンク色の着物を自ら選んで登校するシーンもあって、“性別関係なく好きな色を着ればいい”と子ども達に伝えるメッセージが含まれております。更には妊婦の忍者としんちゃんの母みさえが2番手のポジションで大活躍。子どもは親の背中を見て育つから、親が人に甘えることが出来ないと子どもも甘えられずにストレスを抱えてしまうことを描いていて、「あなたも頼ってね!」と手を差し伸べるみさえの愛ある言葉に大人たちは目頭が熱くなってしまうのです。

 

 

 

 

 

今作の脚本は前作『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』も手がけたうえのきみこさん。前作もエリート学園を舞台に頭脳で子どもを線引きする教育に警告を鳴らしつつ、感性の素晴らしさを育てることや多様性を描いています。今作の橋本昌和監督とは『クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』を始め、数々の「クレしん」作品でコラボを果たすお馴染みの脚本家なのです。

 

 

 

 

 

 

相変わらず名セリフが満載な「クレヨンしんちゃん」。ポリコレ(偏見や差別を含まないよう意識した表現)は「表現の自由」を脅かすという意見もありますが、そんなことはまったくないっ!男の子だから黒いランドセルという時代はとっくに終わっているものの、まだまだピンクは女の子の色という間違った解釈が今も残っている現代社会。そこを変えていくのは子ども達が目にするエンターテイメント作品でも出来ること。そして妊婦の女性が働いても良いし、他者も手を差し伸べる優しさを持つことだよと伝えられるのも、老若男女に愛される「クレヨンしんちゃん」のような映画であれば、真っ直ぐに届く気がしますよ!

映画パーソナリティ 伊藤さと

 

 

 

 

ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当する。全国のTSUTAYA店舗で流れる店内放送wave−C3「シネマmagDJ、俳優対談番組『新・伊藤さとりと映画な仲間たち』(YouTubeでも配信)、東映チャンネル×シネマクエスト、映画人対談番組『シネマの世界』など。NTVZIP!」、CX「めざまし土曜日」TOKYO-FMJFN、インターFMにもゲスト出演。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿。日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。

作品名: 映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝 

(読み:珍風伝=ちんぷうでん)

4月22日(金)よりミッドランドスクエアシネマ他

全国東宝系にてロードショー中

©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2022

原作:臼井儀人(らくだ社)

/「月刊まんがタウン」(双葉社)連載中/テレビ朝日系列で放送中

監督:橋本昌和 

声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ

ゲスト声優:川栄李奈、ハライチ(岩井勇気・澤部佑)

主題歌  :緑黄色社会「陽はまた昇るから」

(ソニー・ミュージックレーベルズ)

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