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命の輝きと命のしまい方を真摯に見つめた感動作『いのちの停車場』
現役医師・南杏子の同名小説を『八日目の蝉』の成島出監督、吉永小百合主演で映画化。金沢の小さな診療所の医師たちが、在宅治療を選んだ患者とその家族を通して、命を見つめ直していく。
それぞれに事情があって想いがある。その苦しみだけじゃなく、命が輝く瞬間や日常のささやかな幸せが映し出されていてグッときた。
限られた時間の中であっさり終わったエピソードもあるのが残念だけど、様々な「生き方」と「命のしまい方」と真摯に向き合い、
観る人にも問いかけてくる素晴らしい映画。
主演は1960年代から第一線で活躍する奇跡の映画女優、吉永小百合。その若さと美しさはエイジレス。とはいえ、同世代の田中泯が父親役はさすがに…と思ってたけど、登場した瞬間に懸念は吹っ飛んだ!
田中泯の魂レベルの演技に驚愕。完全にお父さんじゃん!?
そしてすごかったのが松坂桃李。役の心情を繊細に表現する名演技に泣かされた。
写真は映画でみなみらんぼう演じるバーのマスターが、診療所のスタッフにふるまうパオ(包)から。
遊牧民族の移動式住居はモンゴル語ではゲル、中国語ではパオと呼ぶそう。診療所のスタッフも患者も同じパオに暮らす家族なんだとわかるいいシーン。
ちなみにこのチラシ(下)、キャストの顔がモノクロなのは鉛筆画(左)と知ってびっくり!写真にしか見えない!
愛知県では大型施設に休業要請が出され、休みになる映画館もあるけれど、
キャストがいいし、どの世代にも響く映画なのでぜひ映画館へ。
〈いのちの停車場〉
2021年製作/119分/G/日本
配給:東映
(C)2021「いのちの停車場」製作委員会
『エリコのフォトdeシネマ』
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載
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