伊藤さとりの映画で人間力UP! 『ラーヤと龍の王国』

 

[抗争やいじめを世界から減らす行動心理学〜『ラーヤと龍の王国』]

「仲良くなりたければ一緒に飯を食え」という話をよく聞く。

だから“会食”という習慣が世界にあり、政治家やらマフィアの親分同士が会食をしながら「うちのシマを荒らすのはよろしくないですよ、〇〇さん」みたいなシーンが世界各国の映画で撮られているのですよ。じゃぁ、本当に一緒にご飯食べて仲良くなれるのか?ディズニー・アニメーション最新作『ラーヤと龍の王国』が教えてくれます、それは“ NO ”、残念ながら。

ディズニー・アニメーションは時代にあった映画作りを心がけ、全米で2009年に公開された『プリンセスと魔法のキス』では、ヒロインを黒人にするなどして、白人至上主義の意識を減らすようアプローチたり、『アラジン』を実写にリメイクする際も女性が国のトップになるなど男女平等を意識したりと、かなり世直しに積極的なのであります。

じゃぁ、今回は何がテーマなのよ。というツッコミに対してお答えすると……“人類から争いを消す方法”。わぁ、なんてテーマが大きいんでしょう。しかもコロナ禍の現代に観られるべき映画であることも偶然か必然かリンクしているという皮肉。

 

全ての命を吸い取って石に変えてしまう魔物が現れ、人類の危機が訪れた時、龍たちの自己犠牲により作り出されたたった一つの龍石により、魔物が封印された世界が舞台。龍も世界から消え、人々は仲良くなるかと思いきや戦いが勃発。それぞれの国は仲が悪くなり、それを嘆いた龍石を守っている国の王は皆を食事に招待するのです。ご想像通り、他国の王たちは龍石を狙い、奪い合いを開始。それが原因で龍石は割れ、再び魔物が姿を現してから物語は本格的に動き出します。

はい、お伝えした通り会食だけでは仲良くなれません。じゃぁ、どうしたら仲良くなれるのさ?これは心理学者たちが様々な臨床実験をした結果の答えなのですが、“一緒にある目標を達成させるために過ごす”ことだそうです。言うなれば“苦労を共にせよ”ということです。

 

心優しい王のひとり娘であるラーヤは、昔、石を持って魔物を倒した伝説の龍を探す旅を始めます。その龍は信じる心を持つ心優しき龍。じゃぁ、相手を信じる心があれば、初対面でも人は自分を信用してくれるの?答えは……これも“ NO ”。仲間じゃない限り、人は見ず知らずの相手の言葉を簡単には信じません。ましてや、敵対する国の民なんて、先祖代々から受け継がれた固定概念という相手の種族のイメージが脳に植え付けられているんだから、はい、仲良くしましょう、と手を取り合うなんて無理。

核兵器を持っている国から、核兵器は捨てたから安心してそっちも捨てて、と言われて捨てる国はあるんでしょうか?じゃぁ、なんで武器を持っているのさ?となれば、人を信じていないからですよね。じゃぁ、どうすれば自分の誠意を信じてもらえるのか。それこそ『鬼滅の刃』でも『ラーヤと龍の王国』でも、この問題に対する究極の答えが描かれております。それは自己犠牲。自分の命を危険に晒してでも誠意を伝えたいという行為なんです。そして仲間にしたいのならば報酬か、同じ目標に向かわせる意識改革。

 

映画に登場する龍のように、人と人とが信じ合えたらどれだけ平和なことか。映画のように特別な龍石を持っている他者を疎ましく思うのではなく、魔物を封印する龍石を守っているのだと解釈して感謝に変えられたら。自分と違う国で生きる人々も同じ一つの世界の仲間なんだと理解出来たら。それが“地球を守る”ことに繋がるのだけど。

3月5日(金)

「ラーヤと龍の王国」

映画館 and ディズニープラス プレミア アクセス 同時公開

※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。

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映画パーソナリティ/心理カウンセラー:伊藤さとり

年間500本以上は映画を見る映画コメンテーター。

ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当する。全国のTSUTAYA店舗で流れる店内放送wave−C3「シネマmag」DJ、俳優対談番組『新・伊藤さとりと映画な仲間たち』(YouTubeでも配信)、東映チャンネル×シネマクエスト、映画人対談番組『シネマの世界』など。NTV「ZIP!」、CX「めざまし土曜日」TOKYO-FM、JFN、インターFMにもゲスト出演。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿。日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。

 

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