どまんなかアニメ映画祭が閉幕!「素晴らしい作品はまだまだある、ぜひ2回、3回と」と安彦良和さん

どまんなかアニメ映画祭」が19日、名古屋ミッドランドスクエアシネマで全10作品の上映を終えて閉幕しました。今回が初開催。人気のアニメーターから、アニメーション監督、プロデューサー、音楽監督までアニメーション映画に携わる多彩なゲストが来場、3日間にわたり公開当時の制作秘話やエピソードなどを語りました。

19日には大村知事も来場し、安彦良和さんらを激励しました。

また、最終日となる19日には、大村知事も来場。全部ではないものの、安彦良和監督の『ヴイナス戦記』を観た大村知事は、30年以上経ってるのに色褪せない熱量を感じたと感想を口にしました。また、ガンダムの放送局が名古屋テレビだったことにもふれ、名古屋から日本のアニメーションを盛り上げていければとスピーチしました。

『ヴイナス戦記』の上映後には、安彦良和監督と、アニメーターの佐野浩敏さん、インタビュアーの氷川竜介さんが登場。ちょうど、本作の制作時に世代交代の波を感じていた安彦良和監督は、若い才能を積極的に登用。本作では、メカ作画監督の佐野さんをはじめ、若き日の沖浦啓之さんや、井上俊之さんなども参加しています。

トークでは『ヴイナス戦記』のメカニックデザインを担当した小林誠さんや横山宏さんのエピソードも披露。小林さんが用意した超重量級戦車『タコ』は構造が複雑で、アニメーター泣かせだった話や「絶対に一輪車!」と、横山さんが一輪車にこだわったというエピソードを披露。安彦監督は「デザイナーのやりたいようにやらせよう!」と、自身でもたくさん描いたことを明かしました。

一方、佐野さんはメカ作画監督として、色にこだわったと明かし。「鉄の色や、煙の色なんかもいろいろ意見を出させていただいて、そういう仕事もできるんだと知りました」と振り返り、この時の経験が後の仕事に生かされたと話しました。

 

クロージングを飾ったのは『機動戦士ガンダムIIIめぐりあい宇宙編』。セレモニートークでは、本映画祭のポスターの話や自身の展覧会についても、見どころを明かしました。ファンからの質問で「好きな映画は?」と問われた安彦良和さんは、TVアニメ「ハイジ」と「母をたずねて三千里」を挙げ、「『ハイジ』はアニメでここまでできるのかということを見せていただいた作品。『母をたずねて三千里』もアニメの奥深さを教えてもらいました」と語り、「70年代にも、もちろん80年代にも、もっとたくさんの名作がある。だから、2回、3回と続けていただいて、どんどんアニメーションの魅力を伝えていってもらいたいです」と映画祭に期待を寄せました。

近藤良英映画祭総合プロデューサーが3日間を振り返り「この映画祭が起爆剤になり、名古屋にもアニメーションや特撮の制作拠点を作っていきたい。そして2回、3回と名古屋からアニメーション作品を発信する映画祭に育っていければ」と語りました。

『王立宇宙軍オネアミスの翼』を4Kリマスターで観ることができ、 『AKIRA』では音楽を手掛けた山城さんが、こだわりぬいた“音”の世界を体感。いまだからこその発見や楽しみがあった「どまんなかアニメ映画祭」作品が終了するごとに拍手が鳴り響き、登壇するクリエイターたちにも称賛と温かな拍手が送られていたのも印象的。ぜひ、来年もたくさんの笑顔に出会いたい。

取材・文 にしおあおい( シネマピープルプレス編集部

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