【動画あり】「終活」で人生のプランを豊かに『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』舞台挨拶レポート

和やかに名古屋弁飛び交う舞台挨拶に水野も松下もニッコリ

『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』の先行上映舞台挨拶が4月26日、ミッドランドスクエア シネマで行われ、水野勝、松下由樹、香月秀之監督が登壇。5月21日の公開を前に、水野の名古屋弁に和まされたという撮影エピソードや共演した剛力彩芽とのエピソードを披露。作品をアピールした。

【動画】『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』舞台挨拶レポート

本作は、夫婦仲も冷め、熟年離婚待ったなしの夫婦が、葬儀社の青年から紹介された「終活」を通して人生を見つめなおすハートフルコメディ。水野勝が葬儀社に転職したばかりの新入社員の菅野涼太を、松下由樹が、その上司で一級葬祭ディレクターの桃井梓を演じている。

「無意識のうちに出ちゃう名古屋弁を松下さんに直していただきました」(水野)

「僕自身にお話が来てから2年。ようやくみなさんに見てもらえると思うと嬉しい」と最初の挨拶から喜びをにじませた主演の水野勝。その水野扮する菅野涼太の教育係、桃井梓役を演じたのは、名古屋出身の松下由樹。「ちょこちょこ聞こえる名古屋弁が心地よくて…」と目を細めると「撮影中も水野さんとご一緒させていただいた時に、映画では標準語なんですけど、随所に名古屋弁が出てきて本当に和ませていただきました」と地元名古屋の舞台挨拶ならではのエピソードを披露。

すると水野が「無意識に名古屋弁が出てきてしまって『今からメモリアル映像撮りにいってきます』っていう台詞があるんですけど、テストの時に「いまから」って無意識のうちに(名古屋のイントネーションが)出ちゃうんで、現場で松下さんに直していただいて…」と明かし、松下が「もう『いまから』が出た時は、親近感わきました」と会場を和ませた。

「お終活」という言葉も、名古屋と標準語のイントネーションは違うそう

水野勝が本作で演じたのは葬儀社に転職した新人、菅野涼太。実直だけど、ちょっとおっちょこちょいなとこもある役どころ。「監督から『コメディ』だからドジっ子の部分は、少し大げさにやって欲しいと言われて、転び方もまわって転んでみたりと、いろいろやってみたんです。それがスクリーンに出てると思うんですけど、試写で観た橋爪さんから『あれは、やりすぎだろう』って言われたりもして。でも『お前は頑張った』って言ってもらえました」と試行錯誤した撮影を振り返った。

上司として見守る役どころだった松下は「葬祭ディレクターって日常生活の中でなじみがなかったので、どんな風にふるまえばいいのか悩みましたけど、今回、一柳葬具總本店さんが全面的に映画をバックアップして下さって、映画の中でもセミナーのシーンがあるのですが、実際に講義を受けさせていただいて、その中で感じたことを役柄に取り入れていきました。葬儀社となると、縁起が悪いみたいな言われ方をされてしまうんですが、実際講義を受けたら、死を遠ざけるよりも、そこに入っていくほうが役立つなあ、豊かになるなあと思いまして、人生のプランを考える時に、家族との会話も増えるし、ちょっと豊かな気持ちになって、ためになりました。なので、役や映画を通して教わったことが大きいです」と語った。

劇中では、終活フェアに訪れた高畑淳子演じる千賀子が、終活についてセミナーを受けるシーンも。その時、講師を務めるのが松下由樹扮する桃井梓。彼女の言葉を聞いてると、とても心に響くから不思議だ。それについて香月監督は「松下さんだから、すごく説得力が出た」とも。「(桃井が話す)台詞は、いい内容も書いてるんですけど、それをこのまま言うと説教くさくなるんです。だからコミカルに面白くお願いしますとお願いしました」。

それに対して松下も「なんとなく難しいとか、大変だろうなあと思えるものでも、エンターテイメントの中から知っていくことで、より身近に感じたり役立つこともある。そういう作品になっているので、ぜひ楽しんで欲しい」と言葉を続けた。

「雨の予定が晴れに!映画の神様が味方してくれた瞬間だったのかな~」(水野)

「画面からはみ出すんじゃないかと思えるほどエネルギーにあふれてた」(松下)

「印象に残ってるシーンは?」と聞かれ水野が挙げたのは、桃井と涼太がふたりでお墓参りをするシーン。「神奈川の三浦って場所で撮影しているんですけど、週間スケジュールでは雨の予定になってて監督と心配していたんですけど、(当日は)すごい晴れまして、めちゃくちゃいいロケーションで撮影できたんですよ。観ていただくとわかるんですけど『映画の神様が味方してくれた瞬間だったのかな~』と思いました」。一方、松下は「本当にエネルギーあふれる役者さんたちばかりで、画面からはみ出すんじゃないかって思えるほどで、それが(映画の)パワーにもなってて、すっと気持ちよくみれるんです」

「友情が芽生えて、好きになって愛情に育ち、最後は同情になっていく」(香月監督)

夫の定年後、すれ違いが続く熟年夫婦を演じたのは、橋爪功と高畑淳子。ふたりが演じる大原夫妻には、それぞれ日頃のストレスを発散する友人たちがいるのだが、そこで繰り広げられる会話が「夫婦あるある」すぎて、思わず頷きたくなる。香月監督は「いろんな人から話を聞きましたけど、仲悪い仲悪いって言っても、根本では仲が良くて、でも表面的なところでは今回描いたような夫婦が多い。友情が芽生えて、好きになって愛情が育ち、最後は同情になっていく。その表面的に見えるところを、見直してみてはどうですか? というのが今回の映画なんです」と本作にこめたメッセージを明かした。

夫婦の物語ということで「結婚」について聞かれた水野は「正直イメージしづらいんですけど」と率直な思いを語った上で「でも、この作品をやったことによって、おじいちゃんおばあちゃんの時間は限られていることを感じましたし、自分の両親にも孫の顔を早く見せてあげたいなぁというのは、ひとりの人間の気持ちとしてはある。でも『何歳までに結婚する』って断言して結婚した人を僕は見たことないので、いつ結婚できるかはわからないんですけど家族に憧れはあります」と胸の内を明かした。

実はドラマでボイメンの小林豊さんのファンって役を演じたことがあります(松下)

劇中で水野演じる涼太が会社から言われるのが「ご縁は大切」という言葉。すると松下が「名古屋の方はご存じかと思うのですが『名古屋行き最終列車』というドラマで演じた役が、ボイメン(BOYS AND MEN)の小林豊さんのファンって役で、ボイメン大好き(ハート)って役をやらせていただいたんですね。そしたら今回リーダーの水野くんとご一緒できて、ご縁だなと思いました」と明かし、それを聞いた水野が「僕も『ナースのお仕事』(テレビドラマ)をずっとみてて、理想の上司という部分で松下さんに憧れがあったので、その松下さんが自分の上司役をやってくれるのは嬉しかったし、また共演できるようにがんばりたいって思いました」と決意新たにコメント。

すると、監督から鳥肌もののご縁エピソードが「すごいことがありまして、橋爪功さんが演じる大原真一の高校時代のシーンが劇中に出てくるんですね。その高校時代の写真というのが、高校をバックに立ってる写真なんですけど、何も考えないで私の家の近くにある高校を撮って使ったんですね。そしたら、そこ橋爪さんが出た高校だったんですよー」

思わず「僕知らなかった!」「びっくりした!」「うわぁ」と声をあげた水野は「運命的ですね」と驚いた様子。監督も、その事実を知ったのは、最近なんだそう。

そして、その橋爪さんとの対峙シーンが「山場だった」と明かす水野は「橋爪さんや西村さんといったベテランの方々と一対一で対峙する水野っていうものを見てもらいたいです」と見どころをコメント。

「ちょっとあるかなー」と思ったんですけど…なかったですね 笑(水野)

橋爪演じる大原真一の娘で、菅野とひょんな縁で繋がる亜矢を演じたのは同世代の剛力彩芽。彼女とのエピソードを聞かれた水野は「初日に『僕、梅干し好きです』って話をしたら、覚えてて下さって次の日にご実家の梅を現場で差し入れて下さって、(これは)「ちょっとあるかなー」と思ったんですけど…なかったですね(笑)はい、なか…ったです。好きなのかな~って思ったんですけど、そういう感じじゃあなかった(笑)」と会場の笑いを誘うと監督から「でも友情から始まる…」と言われ「本当にそうだったらいろんな意味でニュースになりますけど、何も始まってもいないので」とユーモアたっぷりに切り返した。

 

とはいえ、劇中では涼太と亜矢の、淡い恋模様も描かれるので、そんなところにも注目したい。

終始笑顔の絶えない舞台挨拶でした

最後に松下が「この映画は『お終活』にとどまらず、家族の関係や、人生について、これからどう生きていくのかとか、あらゆることが詰まった映画になっています。個人的には、私世代が一番リアリティーをもって、ご覧になれるんじゃないかと思っていて、この先親とどう人生を送っていくのか、どう考えるのか、エンディングに向かって前向きさが詰まった作品になっているので、お終活という考え方がグッと変わる映画になってます」と映画をアピールすると監督も「『笑って』『泣いて』『役に立つ』映画です!」とシンプルにアピールし舞台挨拶を締めくくった。

香月秀之監督は取材も舞台挨拶もサービス精神「特盛」でした!

映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』は2021年5月21日(金)よりミッドランドスクエア シネマ、イオンシネマほか全国ロードショー

作品紹介

【ストーリー】定年退職後、終日家に居る真一(橋爪)と、そんな夫による在宅ストレス症に陥っている妻の千賀子(高畑)。そんな中、娘の亜矢(剛力)は、自分が営むキッチンカーの客で葬儀社に転職したばかりの菅野(水野)と出会う。菅野から終活フェアに誘われた亜矢は、母親の千賀子にも勧め、千賀子はフェアで最新の終活情報を得る。千賀子は前向きに今後のことを考えようとするも、真一は縁起でもないと嫌がり、新たな危機が生まれてしまう…。

『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』
監督・脚本:香月秀之
出演:水野勝 剛力彩芽 松下由樹 
藤吉久美子 大島さと子 増子倭文江 
袴田吉彦 佐々木みゆ 小林綾子
螢雪次朗 大和田伸也 石丸謙二郎 金田明夫 
西村まさ彦 石橋蓮司 高畑淳子 橋爪功
配給:イオンエンターテイメント 上映時間:113分
公式サイト https://oshu-katsu.com/
©2021「お終活」製作委員会

 

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