蒲郡で撮影が行われ、現在公開中の映画『ゾッキ』で共同監督を務めた竹中直人、山田孝之、原作者で蒲郡市観光大使の大橋裕之、出演者の柳ゆり菜(若い女役)、川上奈々美(ビデオボーイズ女優役)、スペシャルゲストの前野朋哉が、蒲郡各所で行われた「ゾッキの日」イベントに来場。駆け付けた市民たちに、改めて感謝の思いを口にした。
本来、2021年3月20日(土)の蒲郡での先行上映に合わせて計画された「ゾッキの日」。新型コロナウイルス感染症の影響で延期となり、4月18日(日)のこの日、ようやく開催の日の目をみた。撮影後、初めて蒲郡に訪れたという竹中直人監督は、映画上映後の舞台挨拶で「蒲郡のみなさんこんにちわぁ~。今日は最後まで楽しんでいってくださぁあいい」と声を弾ませ、凱旋上映できる喜びを嚙みしめていた。
目次
映画『ゾッキ』は俳優・前野朋哉の楽屋で生まれた!その瞬間を完全?再現!
本作は、「ゾッキA」「ゾッキB」を読んで感動した竹中直人監督の「映画にしたい!」という熱い思いから生まれた作品。スペシャルゲストでもある前野朋哉とともに、『ゾッキ』誕生の瞬間を再現しながら振り返った。
竹中「(前野とは)入江悠監督の『日々ロック』という映画で初めてご一緒させていただいたんですけど、前野のこと大好きになって、2018年に自分の舞台をやるときに『前野一緒にやらない?』って誘ったんです」の言葉に、すかさず「やるっ!」とジェスチャーつきの超笑顔で応えた前野。「それが、今回の映画の脚本を書いていただいた倉持裕(舞台演出家・劇作家)さんの「火星の二人」っていう舞台で、ふたりっていっても、生瀬勝久と、上白石萌音ちゃんと、高橋ひとみさんと、前野とご一緒した時に、東京の日比谷にあるシアタークリエっていう劇場で、僕の前の楽屋の前野…」
前野「そうです!(竹中さんの)前の楽屋の前野です。ややこやしいですよね(笑)」
竹中「よく、ちょっかいだして、のれんの隙間からじーっとみたり」
前野「うわぁあああ!竹中さんいつからそこにいたんですか?!」みたいな
竹中「そんなやりとりの中で、あれは2018年の5月に前野の楽屋の冷蔵庫の上に「ゾッキA」と「ゾッキB」が置いてあって『ちょっと貸してもらってもいい?』」
前野「あぁいいっすよ。めっちゃおもろいです」
竹中「『ほんと?ありがと!』みたいなやりとりがあって、借りて読んだらものすごく大橋裕之さんが描く世界に感動してしまって『前野これ映画にしたいよ』って」
前野「僕に言われても(笑)」
竹中「映画にしたいんだけど」
前野「いや僕に言われても(笑)(笑)」
竹中「『倉持さんに言ってもらおうか?』と。前野の冷蔵庫っていうか、私の前の楽屋のままままままままま…」
司会「わかります。前野さんの楽屋の冷蔵庫ですね」
竹中「そうです。その冷蔵庫の中に冷やされてた訳じゃなくて、冷蔵庫の上に置かれていた『ゾッキA、B』がなければ、今この場もありえなかったんじゃないかという」
司会「そこに奇跡の偶然があってゾッキが生まれたということなんですね。前野さんが読んでなかったら映画『ゾッキ』は生まれてなかったと」
前野「はい。僕が持って帰ってたら生まれてないです」と軽快なトークで、当時の様子を再現し、会場の笑いを誘っていた。
すごく楽しくて、あっという間で『次で終わり?』みたいな気持ち(柳ゆり菜)
朝から、イベント続きだった登壇者たち。「今日1日を振り返っての感想」を聞かれ、若い女役で出演した柳ゆり菜は「雨が降ったりやんだり、暖かかったり寒かったり『私一体どこにいるんだろう?』って思いました。私が出ていくと絶対雨が降るから、孝之さんに雨女って言われて(笑)。天気もスケジュールも慌ただしかったけど、すごく楽しくて、(時間が経つのは)あっという間で『次で(もう)終わり?』みたいな気持ち。さみしいので(このトーク)ゆっくりやって下さい」と名残惜しさを口にした。
劇中で「最初から最後まで実はチョコチョコでていた」と明かす、ビデオボーイズ女優役の川上奈々美は「今日1日蒲郡の方たちと触れ合っていて『ゾッキ』はここから生まれたんだなって。表情豊かでユニークな素敵な方たちがたくさんいて、きっとこれからもどんどん『ゾッキ』ワールドだったり、ストーリーが生まれていくんだろうな~と改めて感じました」と語った。
『あぁ蒲郡に戻ってきた』この時間をみなさんと共有できてること自体が最高!(竹中監督)
続いて、竹中直人監督が「今日蒲郡に到着した時に『あぁ蒲郡に戻ってきた』って感じがして、昨年の1月ぐらいからロケハンを始めて、そして2月からクランクインして、(コロナで)世間が大騒ぎになるちょっと前に撮影は無事に終わって。本当は3月21日に戻ってこれるはずだったんですけど、でもこうして今日(蒲郡に)来れたことは、めっちゃくちゃ幸せな時間ですね。蒲郡の駅前を通った時にホンっトに嬉しかったんだぁ。いやぁ、なんかもう、グウ~っときてしまいますね。そして今、この時間をみなさんと共有できてるってこと自体がとても最高です。蒲郡のみなさん本当にありがとうございました」と感無量な面持ちで言葉を紡いだ。
「昨年2月3週間ぐらいでバババッと撮影したんですけど」と話すのは共同監督を務めた山田孝之「映画の撮影って、ご通行の方々に止まっていただいたりとか、朝や夕方の忙しいタイミングの時もあって、ご迷惑をお掛けすることもあるんですけど、そんな中で市民の人たちと官民一体となって映画を作って、やっとここに帰ってきた時に、みなさんが温かく迎えてくれて、すごい嬉しかったです」
原作者で蒲郡市観光大使も務める大橋裕之は「この『ゾッキ』の原作は2005年ぐらいから、ちょこちょこ描いていた短編なんですけど、前野くんが読んでくれて、それを竹中さんがみて映画化したいと言って下さって、ここまで広がって映画が作られて、僕ももちろん嬉しいんですけど、蒲郡のみなさんも喜んで下さって良かったなぁ、それ(喜んでくれてる)のが嬉しいです」と語った。
ちなみに、映画にも出演している大橋氏。役作りについて問われると「役作りはしなかったですね。寝ている役だったんですけど、偶然その日朝まで飲んでいたので、二日酔いでした(笑)」と明かした。斎藤工監督の撮影パートだが、山田監督も現場にいたとのことで「なんかいい出方だな」と思ったそう。
「藤村役は龍平くんがいいなと思って、一回ちょっと難色を示したんですけど、今回だけは粘りました」(山田監督)
山田孝之監督パートで、深い印象を残すのが、藤村役の松田龍平「同い年で十代の時から仲良くて、ただなんか一緒に仕事する機会はなくて、今回原作を読んで藤村という役なんですけど、あぁこれ龍平くんがいいなと思って『やって」とお願いしました。一回ちょっと難色を示したんです。彼は毎回そういう感じなんですけど、今回だけは粘りました」と目を細めた山田監督。
映画の撮影をシーンカットで振り返るというお題で、ある未公開シーンの写真で登場した伴くん役の九条ジョー(※写真は別シーンの)。原作が大好きな前野朋哉が「伴くんそのものでびっくりしました!」と話すと、原作者である大橋氏も「漫画より全然伴くんでした」と絶賛した。
3監督が揃って写るカットでは、山田監督が「初日か最終日のどっちかの写真ですね。それぞれのパートの俳優さんが一緒になるところがあるので、そういうところは3人で殴り合いしながら何がOKか…」と明かし会場の笑いを誘うと、竹中監督も「結構大変でしたよ」と乗っかり、会場をさらなる笑いと驚きの渦に巻き込んでいた。
最後に竹中監督が「山田孝之、斎藤工と3人で「ゾッキ」を映画にしたいって思いが伝わって、多くのスタッフ、キャスト、そして蒲郡という町で『ゾッキ』が撮れたこと大変感謝しております。そして山田監督がおっしゃったように、みんなが『ゾッキ』を気に入ってくれたら、続・ゾッキ、ゾクゾクゾッキみたいに続けていけたらいいなと思ってます」とまとめ、会場の大きな拍手に包まれた。
【動画】映画「ゾッキ」蒲郡凱旋上映 イベントレポート
このあとTeam『ゾッキ』の面々はラグナシアで行われた「ゾッキの日 スペシャルイベント inラグナシア」に登壇。フィナーレでは花火も打ちあがり、最高の「ゾッキの日」を締めくくった。
愛知県蒲郡市 #ゾッキの日 最高です‼️😭 pic.twitter.com/ZEdWR4e9jU
— ドキュメンタリー映画『裏ゾッキ』 (@urazokki) April 18, 2021
作品紹介
『ゾッキ』が生まれた原点である原作者・大橋裕之の愛知県蒲郡市でロケを敢行。監督を務めるのは、俳優として第一線で活躍し、映画監督、プロデューサー、クリエイターとしても活躍する竹中直人、山田孝之、斎藤工の3人。人脈を駆使し、こだわった多彩なキャストや音楽も話題。市井の人々の悲喜こもごもを独自の世界で描き出す、クスっと笑える会話をはじめ、思わず抱きしめたくなるようなエピソードでつづられている。
映画「ゾッキ」 監督:竹中直人 山田孝之 齊藤 工 原作:大橋裕之「ゾッキA」「ゾッキB」(カンゼン刊) 脚本:倉持裕 音楽監督:Chara 主題歌:「私を離さないで」Chara feat. HIMI 出演:吉岡里帆 鈴木福 満島真之介 柳ゆり菜 南沙良 安藤政信 ピエール瀧 森優作 九条ジョー(コウテイ) 木竜麻生 倖田來未 竹原ピストル 潤浩 松井玲奈 渡辺佑太朗 / 石坂浩二(特別出演)/ 松田龍平 / 國村隼