エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.118『オオカミの家』

 

脳をドロドロにしてしまうシュールな世界観にハマる

『オオカミの家』

 

これは強烈!「オオカミの家」

『ミッドサマー』のアリ・アスター監督を魅了した話題のストップモーション・アニメ。

カルト教団の施設を出て、2匹の子ブタがいる森の一軒家に逃げ込んだ娘マリア。

マリ〜ア〜という声が響く中、はりぼての人形や壁・床に描かれた絵が、
とめどなく変転しながらマリアに起こる悪夢的な世界を描き出していく。

チリのアーティスト・デュオ《レオン&コシーニャ》は、ピノチェト軍事政権下のチリに実在したコミューン【コロニア・ディグニダ】に
インスパイアされて本作を制作。

 

 

 

 

【コロニア・ディグニダ】はナチスの残党が設立した、表向きは美しい共同体で、
実は様々な犯罪行為が行われていたコロニーらしいけど、わかりやすい批判ではなく、
自分たちが【コロニア・ディグニダ】のプロモーション映像を作ったらどうなる?という視点で作られていているのがミソ。
感情や思想の揺らぎやせめぎ合いが、表現されていて面白い。

しかもこれ、ミニチュアじゃなく、実寸大のセットや等身大の人形や絵画を使いワンシーン・ワンカットで撮られているんだからスゴすぎる!!

奇妙で不気味な映像を観ているだけで、脳みそがドロドロ溶け出していく。中毒性の高い逸品。

名古屋では8/19(金)から公開されているけど、まだまだ続映されるようなのでぜひ!

 

さて今回の写真のアイテムはりんご。森の中の家、オオカミ、子ブタ。。。童話のようなイメージが連なる中で、
もれなくりんごの出てきます。

『オオカミの家』+併映『骨』

STORY

美しい山々に囲まれたチリ南部のドイツ人集落。“助け合って幸せに”をモットーとするその集落に、動物が大好 きなマリアという美しい娘が暮らしていた。ある日、ブタを逃がしてしまったマリアは、きびしい罰に耐えられ ず集落から脱走してしまう。逃げ込んだ一軒家で出会った 2 匹の子ブタに「ペドロ」「アナ」と名付け、世話をすることにしたマリア。だが、安心したのも束の間、森の奥から彼女を探すオオカミの声が聞こえはじめる。 怯えるマリアに呼応するように、子ブタは恐ろしい姿に形を変え、家は悪夢のような禍々しい世界と化していく ……。

予告編

作品概要

声の出演:アマリア・カッサイ(マリア、アナ、ペドロ)、ライナー・クラウゼ(オオカミ) 
監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ 
脚本:ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン、アレハンドラ・モファット 撮
影:ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン 
美術:ナタリア・へイセ、ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン 
アニメーション:ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン 
音響デザイン:クラウディオ・バルガス 
イメージ・ポストプロダクション:カルロス・バスキス、ナイルズ・アタラー、クリストバル・レオン 
音と音楽の実験:クラウディオ・バルガス、クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ 
製作総指揮:カタリナ・ベルガラ、ナイルズ・アタラー 
2018 年 / チリ / スペイン語・ドイツ語 / 74 分 / カラー / 1.50:1 / 5.1ch / 原題:La Casa Lobo(英題:The Wolf House) / 字幕翻訳:草刈かおり
映倫 G 
© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ) Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載

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