桜井日奈子『魔女の香水』で役づくりのためお忍びで訪れたのは???

ひょんなことから魔女さんと呼ばれる女性が営む
小さな香水店の手伝いをすることになった恵麻

6月16日公開の作品『魔女の香水』は

挫折し将来への希望を見失った若い女性が
香りと言葉で未来を切り拓いていくストーリー。

映画の公開を前に行われた先行上映会の舞台挨拶に、恵麻役の桜井日奈子さん、宮武由衣監督、制作統括の菅原智美さんが登壇。撮影中のエピソードを語りました。舞台挨拶前には、インタビューも。その模様もあわせてお届けいたします。

※ 以降敬称略でお届けします。

俳優陣自ら直筆で…

黒木瞳演じる魔女さんのモデルは、監督が取材中に偶然出会った香水屋さんの老婦人。

監督「70 歳を超えていたんですけど、すごく凛とされていて心奪われまして『こんな生き方をしたい』って思ったのが、きっかけです。」

菅原「モデルになった香水屋さんは、もう閉店しちゃってるんですけど、木村拓哉さんとかIKKOさんとか、古くは三島由紀夫さんなんかも通っていた著名人も足を運ぶようなお店でした。」

監督「そのモデルになった方は、女性が憧れるような女性で。その佇まいが、黒木さんにシンクロして、いろんな運命が結びついて出来上がったのが本作です。」

菅原「本当は、シーンにあわせて香りを感じられる”香りつき”上映がやりたかったんですけど、映画館では難しくて…その代わり、映画に登場する香水を作りました。ぜひ余韻とともに楽しんで欲しいです。」

MC「ちなみに桜井さんの推しの香りは?」

桜井「(ここだけのはなし)劇中に登場する3番と4番です」

MC「香りの表現についてお聞かせいただけますか?」

監督「香りをイラストで表現しようと考えたこともありましたが、実際に本物の香り(できてない香りは近いイメージのもの)を俳優たちに感じてもらってそのお芝居で表現することにしました。あと、ひとつひとつの香りに音楽を当てているんです。それで、香りを表現しています。」

菅原「本物といえば、劇中に平岡祐太さん演じる横山蓮という男性が登場するんですけど、彼が書く手紙も本人が書いてますよね。一生懸命書いててすごいなと。」

監督「それでいうと、桜井さんも恵麻のノートの文字書かれてましたよね?」

桜井「こういうのってスタッフさんが事前に準備していて『桜井さんの字に寄せたいのでちょっとだけ書いてもらえますか?』って言われたんですけど、それではあまりにも愛がないというか、ノート作りは役作りのヒントにもなると思ったので、実際に私、書いていいですかって…。」

MC「役作りはどうやって?」

桜井「私も恵麻と同じように、この作品に出会うまでは香水にあまり興味がなかったですし、知識もあまりなかったので、まずは勉強するところから始めました。ノートにまとめたり、調香師さんのところにいって、いろんな香りを嗅がせてもらうところから始めて。最初は、名前を出さずこっそり行ってたので『やたら詳しく聞いてくる子だな』って多分思われてたと思います(笑)」

ハードすぎる撮影…ベッドシーンのそのあとに

菅原「パーティーシーンの撮影は、朝早くから夜遅くまで撮影で、ドレスアップして、メイクして、ヒール履いて、ブーブー言いながらも楽しく撮影していたんですけど…。」

桜井「撮影中にお手洗いに行ったら、みなさんお直しとかされてて…、恵麻は少し気後れしちゃうというシーンなんですけど、実はちょっと…物怖じしてました(笑)」

菅原「リアルな感情ですよね(笑)」

監督「この日の桜井さんは、本当に素晴らしかったんです(力説)。そのことをみなさんにちゃんとお伝えしたくて!パーティシーンの撮影だけでも大変だったのに、そのあとベッドシーンも撮ってて…、さらにあるシーンの撮影をしたんですよ」

監督「ベッドシーンは、桜井さんが(どう演じようか)悩んでいたシーンで、そこを見事に相手役の方とやってのけて、その後のシーンが、これまたすごく大事なシーンなんですけど、桜井さんのリアルな感情を引き出したくて、テストなしのぶっつけ本番で撮影していて、スタッフもキャストも絶対失敗できないというプレッシャーの中、桜井さんが素晴らしい演技で応えて下さって…」

桜井「あのシーンは、皆さんが集中して下さったから、私自身『何回も』はできないシーンだったので、1発で納めて下さったのは、救いでした。」

MC「ベッドシーンは初めて?」

桜井「ベッドシーン自体は初めてです。撮る前は『大丈夫なのかな?できるかな?』という不安もあって監督に相談したりもしたんですけど、実際にやってみたら気負ったほどではなかったです。」

恵麻が憧れる実業家の男性、横山蓮に扮するのは、『スウィングガールズ』の平岡祐太。金木犀の香りを纏う大人の男性の魅力と、弱さを確かな演技力で演じています。

魔女さんを演じたのは黒木瞳「パワー」がすごくて…

要所要所で恵麻の背中をおす魔女さんを演じるのは、黒木瞳。人生に迷ったそれぞれのお客にふさわしい香水をチョイスし、時に寄り添い、背中をおす。回想シーンでは、可憐な乙女に、そして実年齢より上となる白髪が素敵な魔女さんを圧倒的なオーラと包容力で演じているのが印象的です。

桜井「黒木さんとは、私がデビューした作品(連ドラ「そして、誰もいなくなった」)でご一緒させていただいて、その時はガッツリ絡みのあるシーンはなかったんですけど、今回こうやって一緒にお芝居できると聞いて感慨深かったですし、同時に『できるかな?』っていう気持ちもありました。でも、監督が魔女さんのモデルになった人と会った時に感じた『ドキっ』とした感じを、実際に黒木さんにお会いした時に感じて。佇まいもそうですし、ズキンとするような、時が止まるような感じがありましたね。」

菅原「パワーがやっぱりすごいですよね。あと演技力がハンパない…」

監督「すごいですよね」

菅原「黒木さんは監督もされていらっしゃるので、俳優としての立場だけではなく、監督目線でのアドバイスなんかも時折されてて、すごいなぁと思いました。」

川崎鷹也が俳優デビュー!監督のOKを誰よりも喜ぶ愛らしい一面も

本作の主題歌を手掛けるのは、楽曲「魔法の絨毯」が TikTok 上で人気を集め再生回数3億回を突破、注目を集めるシンガーソングライターの川崎鷹也。河原優也役で、俳優デビューも果たしています。

桜井「川崎さんはカットがかかって、監督のOKが出ると『よしゃ!(日奈子ちゃんが再現)』って、誰よりも喜ばれていたのが可愛らしくて、川崎さんが現場にいらっしゃると、こう雰囲気が明るくなって。みんな好きになってました。

あと、印象的だったのが、主題歌を歌ってらっしゃるんですけど、撮影現場にギターを持ち込んで、その時の感情で曲を作っていらっしゃって、目の前で歌を作っていく様が見られたのもそうですし、10分あれば作れるからって…すごかったです。」

監督「川崎さんの歌の魅力は、川崎さんが見てる女性に対する視点や想いの部分が「こんな風に思って貰えたら幸せだな」っていう魅力があるように思います。今回は恵麻を見守っている役に川崎さんをアテガキしました。」

菅原「これ、私も後から聞いたんですけど、主題歌は、川崎さん演じる優也の想いが歌になっているんですね。「オレンジ」という曲で、とてもいい曲なので、映画とともに楽しんでいただきたいです。」

最後に菅原が「大変なことはたくさんありますけど『ピンチはチャンス』ということで、皆さんの今までの人生体験だったり、親や子、旦那様、仕事でいえば上司との関係など、いろいろ苦労されることもあると思うんですけど。魔女さんとの出会いを通して恵麻が人生を切り拓いたように、作品を観て感じたことや発見した面白さなんかを、周りにシェアしていただければ嬉しいです」と言葉を結びました。

映画『魔女の香水』は6月16日(金)より、伏見ミリオン座ほかで公開です。

 

【動画】楽屋でインタビュー

舞台挨拶前に、監督・脚本を務めた宮武由衣さんと本作のヒロイン恵麻役の桜井日奈子さんに楽屋でインタビュー。劇中に登場する香水は、実際に調香師が調合、実際に香水として発売しています。本物の香りにこだわったという監督は、実際に本物の香りを嗅いでもらうことでリアルな表情を引き出したそう。現場には、香水のとってもいい香りがただよっていて、癒される現場だったそうです。作品には、ゲランのミツコや夜間飛行、エルメスのオー デ メルヴェイユなども登場。超レアものの香水も並んでいるそうなので、ぜひチェックしてみて下さいね。

作品に登場する香りを解説

物語に登場する9つの香り
  • 『 Parfum de prières : Plaisir n°1 』 (何事も楽しむ)
  • 『 Parfum de prières : Présage n°2 』 (相手の心を想像する)
  • 『 Parfum de prières : Vigueur éternelle n°3 』 (無限の力)
  • 『 Parfum de prières : L’école de Cupidon n°4 』 (恋愛は学び)
  • 『 Parfum de prières : Légende n°5 』 (伝説を作れ)
  • 『 Parfum de prières : Conquête n°6 』 (時代に革命を)
  • 『 Parfum de prières : Fortune n°7 』 (目先の利益より未来の財産)
  • 『 Parfum de prières : Chance n°8 』(ピンチはチャンス)
  • 『 Parfum de prières : À tout jamais pour les êtres chers n°9 』(愛する人のために)

取材 シネマピープルプレス編集部

【本編映像】魔女さんとの出会い

『魔女の香水』作品紹介

白髪の美しく高貴な上品さを漂わせる女性・白石弥生(黒木瞳)が香水店で2つの香水を見せながら常連客を相手に語っている「世の中には似て非なるものがたくさんある」。
一方、華やかなセレブ達が集まっているバンケットホールで派遣社員として奮闘する若林恵麻(桜井日奈子)。高卒の恵麻は、いつか正社員になって、一流の仕事を与えられることを目標に頑張っていたが、後輩の見習い女性への上司のセクハラ行為を抗議したことで職を失ってしまう。自暴自棄になった恵麻は、夜の街のスカウトマンに連れられ「魔女さん」と呼ばれる弥生の店に足を訪れ、その店を手伝うことになった。ある日、金木犀の香り漂う男性・横山蓮(平岡祐太)と巡りあう。弥生に授けられた言葉と香りによって自分の人生を切り開くのは自分自身だと気づかされ、天職を探し求めるように香料会社で働き始める恵麻。すっかり香りの世界に魅了されていく恵麻は、営業先で蓮と再会することに―。魔女の香水『Parfum de prières(パッファンドプリエール)』の力に後押しされるように懸命に未来を切り開いていく恵麻の運命は、果たしてどんな風に変わっていくのだろうか?

『魔女の香水』
監督・脚本 宮武由衣 
音楽:小林洋平 
主題歌:川崎鷹也「オレンジ」ワーナーミュージック・ジャパン
出演:黒木 瞳
桜井日奈子
平岡祐太 水沢エレナ 小出恵介 落合モトキ 
川崎鷹也 梅宮万紗子 / 宮尾俊太郎 小西真奈美
上映時間:119分
配給:アークエンタテインメント
公式サイト: https://majo-kousui.jp/
公式Twitter:@majo_kousui
Ⓒ2023 映画『魔女の香水』製作委員会

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