坂口健太郎が持つ特殊能力って?映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』先行上映会舞台挨拶で

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』の先行上映が4月1日、名古屋ミッドランドスクエア シネマで行われ、主演の坂口健太郎さんと伊藤ちひろ監督が舞台挨拶に登壇。撮影中のエピソードなどを披露しました。 ※ 以後敬称略

「サイド バイ サイド」=隣同士で/一緒に という題名を冠された本作は、そこに存在しない“誰かの想い”が見える不思議な能力を持ち、不調を抱えた人々を癒す青年・未山が、ある想いと出会ったことをきっかけに彼自身の過去とも向き合っていくストーリー。

未山は坂口健太郎さんから生まれたキャラクター

周囲に寄り添う優しさを持ちつつも、謎に包まれた主人公、未山を演じた坂口は本作について「敢えて言語化しないで、観る人に委ねる部分がたくさんある映画なので、不思議な映画体験になったのかなって思います。僕自身は、未山を取り巻く環境が、未山にとっては(特別なものではなく)当たり前なところ、その捉え方がすごく面白いなって思いました。実は、台本を貰う前に、少しだけ監督と未山像について話す時間があったんですね。だから、未山にはちょっとだけ親近感が沸いて」と振り返ると、

伊藤監督が「坂口さんといろいろお話する中で生まれたものもあったりします。そういう意味ではあてがきどころか、坂口健太郎さんから生まれた映画と言っても…」と続け、すかさず「いや、でも僕は未山と全然違いますよ(笑)」と坂口がツッコミ会場を和ませました。

MCから、坂口と未山の共通点を聞かれた監督は「特殊能力を持ってるところとか?」と答えると「やっぱ、すぐわかるんです(笑)」と坂口。その答えにMCから「どんな?」と問われ「えっと…」と言葉に詰まると「いやぁ、なんでしょうね。でも、監督が僕にあてて書いて下さった未山というキャラクターを読んだ時に、こういう風に僕のことが見える瞬間があるんだとか、こういう部分を僕の中にニュアンスとして監督は感じてるんだというのは、驚きもありましたけど、ある種の発見でもありました」と話しました。

未山役へのアプローチは「役を作るというよりは、現場でお芝居をしたり共演者の方々やロケ地に立った時に生まれてきたものが多くて…」と語った坂口「監督から“存在”してくれっていう演出をされたことがあって『存在してる…よ?』と思いつつも、ちゃんとそこに“存在”する大切さというか、それを言われた時はすごく頭を使ったし、あとなんでしたっけ? 昨日監督が仰っていた『寝てるのだけど…』」

監督「寝ている時は、生と死の狭間にいる…」

坂口「『生と死の狭間にいるような感じで寝て下さい』って言われて、あぁーなんか生と死の狭間…『わかりました、やってみます』って言ったものの、ただ目をつぶっただけだった『難しいな』と。生と死の狭間にいるように寝るってね」と、苦労したエピソードを明かすと会場は笑いに包まれました。

伊藤監督の現場は長回しが多かったという坂口「歩くシーンでは、カットがかかって最初のスタート位置に戻るまで無茶苦茶時間がかかって…」と撮影を振り返ると、

監督「不安になって、どこまで歩くんだろう…」

坂口「どこまで歩くんだろうってね」

浅香航大演じる高校時代の後輩・草鹿が未山の前に現れたことから、未山自身が抱える秘密も明らかになっていきます。「(ふたりのシーンは)難しかったです。草鹿“の想い”が見えた時に、未山がどういうリアクションをするのかは、監督にも相談しながら撮っていて、でも未山は『どっちでもいい人なんだよね』みたいな感じで、ただそこにいることを受け入れてしまうというか、僕もどちらかといえばそうで、実際に『感じたこと』はないですけど、もし目の前に現れても普通に受け入れると思います」と、坂口は明かしました。

坂口健太郎から未山にフェード イン

自然豊かな村で、市川実日子演じる看護師の詩織と出会った未山は、彼女の娘の美々と一緒に3人で暮らします。美々を演じるのは磯村アメリ。伊藤監督は「彼女はお芝居しようと、とても熱心に練習してしまうような子だったので、現場ではお芝居をしすぎないよう、みんなで見守っていました」と明かす。

坂口も「監督は、敢えて当日に台詞を渡したり、みんなで遊んでいる時に、静か~に監督がカメラを回し始めたりとか、僕も彼女のテンションを上げたりするときは、未山というより坂口健太郎でいるので、監督がカメラを回し始めたら、なんとなく未山になってみたいなことはあったりしました」

共演した感想を問われると「可愛いですとっても」とニッコリした坂口。「吸収もすごいし、ちょっとしたことが彼女にはすごく伝わる感受性の強い女の子だったので、監督とお母さん役の実日子さんと一緒に、彼女がのびのびとお芝居ができるようにはしてましたね」

「未山くんと美々の時間が本当に可愛く撮れて、私自身も癒されてました」と監督

監督のチョイスした未山の衣装が薄すぎて…

映画の見どころのひとつになっているのが、丁寧に映しだされる風景。坂口も「(自然の中での撮影は)気持ちよかったです。本当に気持ちよかった。空気がよかったですよねぇ。キャラクターが繰り広げるお芝居は、もちろん見どころなんですけど、ロケーションも素晴らしくて、もうひとつの主役みたいな感覚はありました」と話すと、

伊藤監督も「(ロケ地が)本当に神秘的なところで、自然と見えない力が共存している雰囲気がある場所でここで絶対撮りたいと思いました。見たことない景色がたくさん広がっているような素敵な場所で…大正池とかすごかったね」

坂口「すごかった!」

監督「でも寒かった」

坂口「僕は寒さで景色どころじゃなかったです。なんか映像では、ホントこう、ふぁぁああって顔してるんですけど、でも 本当に 寒かったあの日。監督がチョイスした未山の衣装が 薄い んですよ。さっみぃなと思いながら…なんか、寒くない顔をしてました」

監督「そこは、ちょっと標高も高くて(標高1490m)、前日に雨も降ったりしたのであまりに寒くて、コートを着ているスタッフたちが震えながらやっているのに、坂口くんは、震えることもなく鳥肌も立たないし、ホントすごいな~と…」

坂口「(鳥肌)いや、立ってる立ってる!絶対立ってますよ!俺はもう、めちゃくちゃ震えてましたけど…」

監督「プロ根性だ」

坂口「いやいやいや…」

監督「大事な芝居だから、何度もやらせてもらって」

坂口「やりましたね」

監督「本当に頑張ってもらいました」

作品の持つ奇妙さや面白さを…

最後に坂口が「今日はエイプリルフールだから、なんか面白いこと言って「幸せな嘘」をつけたら良いなって思ったんですけど…」とサービス精神旺盛なコメントで会場の笑いを誘いつつ「この作品は、観るタイミングや観る人によって、捉え方が違ってくる映画で、この前、市川実日子さんが『初号試写で完成したものを初めて観た時と完成披露試写会前に観た時では、イメージが変わって、全然違う映画を観ているようだった』とおっしゃっていて、そういう映画って、やっぱりなかなかないと思うんです。監督が挑戦しているような、感じたものを「自分だけの」映画として持ち帰るような作品は、今後の作品づくりに必要なことだし、すごく大切なことだなって思ってます。ぜひ、今日みなさんが観た時に抱いた感覚は大事にしていただいて、この作品が持つ奇妙さや面白さみたいなものを周りの人に伝えていただけたら嬉しく思います」と締めくくりました。

映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』は4月14日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか全国ロードショーです。

撮影こぼれ話

今回の舞台挨拶で、坂口健太郎さんが垣間見せたのが「気遣い」。トークの最中に、さりげなく監督に、会話のバトンを渡したり、ふとした一言で会場を和ませたり、「やっぱ、すぐわかるんです(笑)」と、自身も明かしていた特殊能力を発揮。会場の空気を掬い取りつつ、映画のエピソードを話す姿が印象的でした。自身の二作目を引っ提げて名古屋を訪れた伊藤ちひろ監督は、撮影秘話に花を咲かせつつ、作品への想いを語りました。映画さながらの癒しの時間となった舞台挨拶。

ちなみに、この日ふたりが食べた名古屋メシは天むす「美味しかったです」という坂口は、監督に「(名古屋メシでは)何が好きですか?」と質問を投げかける場面も「矢場とん?」って答える監督に「矢場とんってなんでしたっけ?よく聞く…」と好奇心旺盛なところを見せる場面も。「味噌カツ」と聞いて「だから聞いたことある」と嬉しそうでした。実は、プライベートでも名古屋に訪れることがあるのだとか。その親しみやすさと気配りが、監督に未山というキャラクターを生み出させたのかもしれませんね。

【動画】楽屋裏トーク


そして今回、舞台挨拶終了後の楽屋で『サイド バイ サイド 隣にいる人』を監督した伊藤ちひろさんにインタビュー。超リラックスムードで行われた女子トークを動画でお楽しみ下さい。

伊藤ちひろ監督のデビュー作『ひとりぼっちじゃない』の記事も読む

 

作品情報

あなたは彼に出会い、彼を知り、彼を想う。
目の前に存在しない“誰かの想い”が見える青年・未山(坂口健太郎)。その不思議な力で身体の不調に悩む人や、トラウマを抱えた人を癒やし、周囲と寄り添いながら、恋人で看護師の詩織(市川実日子)とその娘・美々(磯村アメリ)と静かに暮らしていた。 そんな彼はある日、自らの”隣”に謎の男(浅香航大)が見え始める。これまで体感してきたものとは異質なその想いをたどり、遠く離れた東京に行きついた未山。ミュージシャンとして活躍していたその男は、未山に対して抱えていた特別な感情を明かし、更には元恋人・莉子(齋藤飛鳥)との間に起きた”ある事件”の顛末を語る。 未山は彼を介し、その事件以来一度も会うことがなかった莉子と再会。自らが“置き去りにしてきた過去”と向き合うことになる・・・。

作品名:『サイド バイ サイド 隣にいる人』
監督・脚本・原案:伊藤ちひろ
企画・プロデュース:行定勲
主題歌:「隣」クボタカイ
出演:坂口健太郎
齋藤飛鳥 浅香航大 磯村アメリ
茅島成美 不破万作 津田寛治 井口理(King Gnu)
市川実日子
上映時間:130分/2023年(日本)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式:https://happinet-phantom.com/sidebyside/
公式Twitter: @sidebyside_2023
©2023「サイド バイ サイド」製作委員会

 

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