エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.113『怪物』

3者の視点から浮かび上がる「怪物」の正体とは? 『怪物』

昨日6/2(金)より公開中

世界が認めた監督・是枝裕和、
ドラマ、映画で活躍する人気脚本家・坂元裕二、
世界的アーティスト・坂本龍一。
3人のコラボだけでもワクワクするけれど、
カンヌで脚本賞を受賞したことで、
さらに注目度が増した本作。

息子の様子がおかしいと感じ、イジメを疑うシングルマザー。
学校で何があったのか?

 

 

 

 

 

息子を愛する母、生徒に人気の優しい教師、
無邪気な子供たち。

3者の視点を通して語られる構成が秀逸で、立場によって見え方が変わっていく。
そして「嘘」の介在が更なる混乱を招く。
「嘘」が真実を見えなくさせ、
誰かを傷付け自分をも傷付ける。
「嘘」によって物語がより面白くなっていた。

 

 

 

 

愛する人を守るため、名誉を守るため自分の気持ちを隠すため…
何かのためのそれぞれの行動が、
視点を変えることで「怪物」に見えてくる。

色んな感じ方ができる映画だと思うけれど、
私が感じた「怪物」の正体はこれ。

誰もが誰かにとっての「怪物」になり得るし、
「怪物」だと感じても見方を変えればそうじゃない。
「怪物」は私たち自身が作っているということ。

さらにラストシーンが印象的で。
これも人によって捉え方が違うようで、
私自身、観てすぐと少し時間が経ってからでは、捉え方に変化が。
ネタバレになるから詳しくは書けないけど、
みんなはどう観たんだろう?

さてキャストは安藤サクラ、永山瑛太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子など、
ほぼ是枝組、坂元組というべき、豪華なメンバーが集結。
完璧なパフォーマンスを見せてくれる。
とはいえ、やっぱり是枝作品で輝くのは子供たち。
今回も子役の2人が素晴らしかった!

伸びやかな2人の存在感と、坂本龍一の音楽が奏でるシーンの美しさといったら!
坂本龍一はこれが遺作だなんて本当に残念。

さて、今回の写真のアイテムはベビースター。
ネタバレになるので詳細は伏せるけど、ベビースターによって、
子供たちの関係が少し垣間見えた気がした。

そしてある嵐の朝、子どもたちは忽然と姿を消した―。

 

『怪物』
監督・編集:是枝裕和
脚本:坂元裕二
音楽:坂本龍一
企画・プロデュース:川村元気 山田兼司
出演:安藤サクラ 永山瑛太
黒川想矢 柊木陽太
高畑充希 角田晃広 中村獅童 田中裕子
配給:東宝 ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
公式Twitter:@KaibutsuMovie
©2023「怪物」製作委員会

 

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映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

映画館バイト雑誌映画担当映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!不定期掲

 

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