12月15日公開スタジオポノックの最新作『屋根裏のラジャー』の公開を前に、名古屋のミッドランドスクエアシネマで3日親子試写会が行われ、主人公ラジャー役の声を担当した寺田心さん、百瀬義行監督、西村義明プロデューサーが登壇。ティーチインでは、たくさんの子どもたちの質問に笑顔で答えました。
本作は、2017年公開『メアリと魔女の花』が話題となったスタジオポノックの最新作。少女アマンダ(鈴木梨央)の想像から生まれたイマジナリ(友達)の少年ラジャーが、大切な人を守るため大冒険を繰り広げるストーリーです。
今回、地元名古屋で舞台挨拶を行った寺田心さんは、MCの「おかえりなさい!」という言葉に「ただいま!」と笑顔を見せると「こうやって帰ってきて、地元の皆さんに観ていただけるのは、すごく嬉しいです!」と挨拶。「おすすめしたい名古屋名物」については「味噌煮込みうどんとか、天むす、あと手羽先ですね」と”なごやめし”を紹介。
印象を聞かれた、百瀬監督は「10年ぶりぐらいに名古屋に来たんですけど、取材やイベントで観光がまったくできてないので、ぜひ寺田くんのおすすめを回ってみたいです」と挨拶。西村プロデューサーは「妻が長久手出身で、スタジオジブリでジブリパークも担当しているので縁があります。ぜひ、ジブリパークもよろしくお願いします(笑)」と1周年を迎えたばかりのジブリパークをアピールしました。※以下敬称略
今回の舞台挨拶は、観客からの質問を受け付けるティーチイン形式。
映画を観た子どもたちは、思い思いの質問を3人にぶつけました。
― 僕の夢は小説家です。『屋根裏のラジャー』のように僕の作品も映画化されたら嬉しいです。心くんの夢は何ですか?
寺田 俳優としての活動を続けさせていただきながら、獣医師や動物看護士のような動物を助ける仕事をやれたらなって思っています。
― ラジャーの声を演じた時に難しかったことはありますか?
寺田 難しかったところは、声変わりする直前にアフレコをしたので喉が不安定で、白湯やはちみつを飲んだり、専門家の方に喉を大切にする方法を聞いたりして、大きな声を出さないよう気をつけていました。ひとつひとつ一生懸命やらなきゃいけなかったので、簡単なことではなかったけど、気持ちをこめて演じるので楽しみながら収録することはできたと思います。
― 心くんは、どのシーンが好きですか?
寺田 オーディションの前に1枚の絵と台詞をいただいて、そこにあった台詞が、
見たこともない鳥
見たこともない花
見たこともない風
見たこともない夜
そんな素敵なもの
見たことある?
っていうのだったんだけど、それがラジャーの第一声でもあるので気をつけたし、好きなシーンでもあります。あと、すごい映像が綺麗なところも好きです。
監督 寺田くんが演じたイマジナリ(想像の友だち)は、想像した者からは見えるけど、そうでない人たちからは見えないっていう存在なので、輝いて存在して欲しいって思っていました。それを軸に、キャラクターや背景の描き方には相当気遣って、綺麗な絵で、色で仕上げなければと想像を重ねながら作っていきました。
― 心くんの好きなアニメは何ですか?
寺田 スタジオポノックの前作で『メアリと魔女の花』っていう作品があるんだけど、そこに「夜間飛行」っていう青紫色のブルーベリーみたいなお花が出てきて、それを潰すと魔法が使えたりするんだよ。演出や世界観も好きで。あとは、スタジオジブリの作品もすごく好きです。
西村 (心くんの言葉を受け)嬉しいですよね。(会場に向かって)『メアリ~』観たことあるひと手をあげてもらっていい?(ぞくぞく手が上がる)「超嬉しいわ~」では『かぐや姫の物語』は?(手あがる)「あ~こんなにいるんだ(嬉)」、『思い出のマーニー』は?(満面の笑み)あのね、おっちゃんたち「ちゃんと一所懸命作ってきたんだよね」だから、こうして手があがってすごく嬉しいです。
西村 ちなみに(百瀬監督が関わった)「アタックナンバーワン」ご存じの方います?「アタックナンバーワン」「ど根性ガエル」とか…(ぼちぼち手が…)
MC 監督「アタックナンバーワン」では、具体的にどういうことをされていたんです?
百瀬監督 アニメーターとしてこの世界に入って間もない頃に、最終回近かったんですけど、動画マン(動きの部分の作画「絵」を担当)として、動画を描きました。
MC ではエンドロールにも名前が?
百瀬監督 最終回とかには出てたような気が…。
― 声の収録は何日ぐらいかかりましたか?
寺田 本当に、本当に声変わりが…時期ギリギリで1週間ぐらい?
西村 何回かありましたよね
寺田 (声を)収録したあとにも、何度かスタジオに行かせていただいて。(はぁはぁ)息遣いするシーンとかがあるんだけど、僕は(アフレコ)初心者だから、最初に録った時はうまくできてなくて、もっとよりよい作品にするために、息遣いとか細かなところを調整させていただきました。2週間ぐらいですね。
― 最後に、どんなきっかけで今の仕事についたか?
寺田 物心ついた時にはこの世界に入ってて、初めての仕事は3歳の時。このお仕事は、楽しいことも大変なこともたくさんあるけれど、役を通したら、いつもと違う自分にもなれるし、いろんな人のストーリーや感情を体験することができる。普通ひとりの人間が歩める人生はひとつだけれど、いろんな人生を歩める貴重な時間で、それがすごく楽しいから、いまもこの仕事を続けています。
百瀬監督 僕も3歳頃から絵を描きはじめて、小学生の時に漫画を描きはじめて、その延長線上でアニメーションの世界に入った。アニメーションって、大量の絵を描かなくちゃいけないからすごく大変なんですけど、大変さはあるけどそれに見合う面白さもある。表現できた時の達成感や醍醐味があるからこの仕事を続けている。絵も映画も好きなので、それらが混ざり合って、この仕事に就いたという感じです。
西村 『となりのトトロ』って知ってます?『火垂るの墓』って知ってます?このふたつの作品は、おっちゃんがみんなぐらいの時に観ていた映画なのよ。それみて映画っていいなって思ったし、アニメーション映画作れたらいいなっていう風に思ったから、『屋根裏のラジャー』観て「アニメーション映画作りたい」って思ったら、20年後におっちゃんたちと映画作りましょう。ぜひ、スタジオポノックに来て下さい。ちゃんと面接しますけどね。厳しいけど。
映画『屋根裏のラジャー』は、英国の児童文学「ぼくが消えないうちに」をアニメーション映画化した作品。想像の友達が繰り広げる冒険が、イマジネーション豊かに描かれる。ぜひ、映画館で美しい映像と百瀬監督の想像のチカラをお楽しみ下さい。12月15日より、同劇場ほか全国で公開されます。
取材・文 にしおあおい (シネマピープルプレス編集部)
作品紹介
『メアリと魔女の花』スタジオポノックが
全世界に贈る最新作はイマジナリの世界
彼の名はラジャー。
世界の誰にも、その姿は見えない。
なぜなら、ラジャーは愛をなくした少女の
想像の友だち―イマジナリ―。
しかし、イマジナリには運命があった。
人間に忘れられると、消えていく。
失意のラジャーがたどり着いたのは、
かつて人間に忘れさられた想像たちが
身を寄せ合って暮らす「イマジナリの町」だった――。
タイトル『屋根裏のラジャー』 監督:百瀬義行 原作:A・F・ハロルド「ぼくが消えないうちに」(ポプラ社) 出演:寺田心 鈴木梨央 安藤サクラ 仲里依紗 山田孝之 高畑淳子 イッセー尾形 配給:東宝 公式サイト: https://www.ponoc.jp/Rudger/ 公式X: @StudioPonoc (C) 2023 Ponoc
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