「さよならくちびる」から「麻希のいる世界」へ。塩田明彦監督単独インタビュー

1999年の『月光の囁き』での衝撃的デビュー以来、話題作を精力的に発表し続け、海外からの評価も高い塩田明彦監督。その最新長編監督作である本作は、塩田監督作中でも特にファンの多い『害虫』(2002)、『抱きしめたいー真実の物語ー』(2014)、『さよならくちびる』(2019)を想起させる要素も多く、塩田監督の世界観が存分に表現された快心作となった。

主演は元さくら学院の新谷ゆづみ、日髙麻鈴によるダブル主演。『さよならくちびる』で二人と出会った塩田監督がその魅力を最大限引き出すため彼女たちを想定して書いたオジリナル脚本を見事に演じきった。共演には、本格的に俳優活動をスタートし、瑞々しくも躍動的な存在感を放つ窪塚愛流。また、現在の日本映画界になくてはならない重要な俳優としての歩みを重ね続ける井浦新らが参加。さらに、劇中歌を向井秀徳が提供。塩田監督作品で向井の楽曲が流れるのは、『害虫』、『カナリア』(2004)に続いて三度目となる。

「塩田明彦監督」

1961年、京都府舞鶴市生まれ。99年、『月光の囁き』『どこまでもいこう』がロカルノ国際映画祭に正式出品後、二作同時公開され、高い評価を得る。2001年、宮崎あおい主演『害虫』がヴェネチア映画祭現代映画コンペティション部門(現・オリゾンティ部門)出品の後、ナント三大陸映画祭審査員特別賞・主演女優賞を受賞。03年には『黄泉がえり』が異例のロングランヒットとなる。05年、『カナリア』でレインダンス映画祭グランプリ。07年には『どろろ』が大ヒットを記録した。近作に『抱きしめたい・真実の物語』(14)、『昼も夜も』(14)、『風に濡れた女』(17、ロカルノ国際映画祭若手審査員賞)、『さよならくちびる』(19)。著書に『映画術・その演出はなぜ心をつかむのか』がある。

 

 

 

 

「麻希のいる世界」

出演:新谷ゆづみ、日髙麻鈴

窪塚愛流

鎌田らい樹、八木優希、大橋律、松浦祐也、青山倫子、井浦新

監督・脚本:塩田明彦 

劇中歌:「排水管」(作詞・作曲:向井秀徳)、「ざーざー雨」(作詞・作曲:向井秀徳) 

製作総指揮:志摩敏樹、山口貴義 プロデューサー:大日方教史、田中誠一 

撮影:中瀬慧 美術:井上心平 編集:佐藤崇 照明:福島拓矢 録音:松野泉 

装飾:遠藤善人 衣裳:篠塚奈美 ヘアメイク:倉田明美 

助監督:毛利安孝 制作担当:高田聡

音楽プロデューサー:田井モトヨシ 音楽:鈴木俊介 スチル:伊藤奨

2022年/日本/89分/5.1ch/アメリカンビスタ1:1.85/DCP /英題「The World of You」

製作・配給:シマフィルム株式会社  (c) SHIMAFILMS


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