少女を取り巻く世界をリアルに映すロードムービー
『17歳の瞳に映る世界』
ベルリン国際映画祭銀熊賞、サンダンス映画祭2020ネオリアリズム賞を獲得するなど、世界で高い評価を獲得しているこの映画。
主人公は口数少なく感情を表に出さない17歳の少女オータム。予期せぬ妊娠をした彼女は事態を解決するため、いとこのスカイラーと共にペンシルベニアからニューヨークへと向かう。
映画ではそんな2人の少女の数日間の旅が描かれていく。
多くを語らず、その瞳に映る世界のみを捉えた映像はまるでドキュメンタリーのよう。
学校、家庭、アルバイト先のスーパーで、女性であるがゆえに虐げられる痛み、黙って隣にいてくれる友の温かみ、知り合いもいない都会で味わう刺激と不安、強がりの裏に隠された弱さと孤独など、思春期のリアルな感情が映し出されて、心がざわざわ。
ハラハラしながら2人の旅の行方を見守った。
同時に少女たちを取り巻く社会の問題も見えてくる。
少女たちに群がる男たちのどうしようもなさに憤りつつ、男の下心を利用するスカイラーの逞しさに救われる思い。
オータムを演じたシドニー・フラニガン、スカイラーを演じたタリア・ライダー。
キャストの2人もすごくチャーミングだった。
写真ではオータムが鼻ピアスを開ける時に使う
氷と安全ピンをチョイス。彼女が鼻ピアスを開けるのが、妊娠がわかった直後というのがまた興味深く。
人それぞれかもしれないけど、安全ピンでピアス穴を開けるのって若い時しかできないと思う。
自分で針を刺すのって勇気がいるし、年齢を重ねると臆病になっちゃうのよね。
2020年製作/101分/PG12/アメリカ
原題:Never Rarely Sometimes Always
配給:ビターズ・エンド、パルコ