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追い詰められていく母親の姿に胸が苦しくなる『明日の食卓』
社会派ドラマの名手、瀬々敬久監督が、椰月美智子による同名小説を映画化。子を持つ親が直面する問題を描いた『明日の食卓』。
映画の冒頭、母親らしき女性と子供に何か事件が起こったことがぼんやりと映し出される。
そして始まったのは「ユウ」という息子を持つ3組の「石橋家」の物語。
今回の写真(フォトdeシネマ)はその「石橋家」の母親3人が作る料理。
フリーライターで2人の息子を育てる留美子はスクランブルエッグ。
家事と仕事に追われる彼女が大急ぎで卵焼きを作ろうとして失敗。まあいいやと作り変えたのがスクランブルエッグ。
これ、やったことある(笑)。
留美子は3人の中で一番親しみやすく共感できるキャラクター。菅野美穂は感情の振り幅を最大限にして留美子役を熱演。
そして大阪に暮らすシングルマザーの加奈はオムライス。
しっかり者の加奈は子供の頃から弟のご飯を作っていて、オムライスもその一つ。加奈役に高畑充希は若くないか?と思ったらもう29歳とか。
息子の前で疲れた顔を絶対に見せない頑張り屋のお母ちゃんがハマってた。
そして専業主婦のあすみは手作りのチョコ入りクッキー。
良き妻、良き母でいようと務めるマジメなあすみを、全く違うイメージの尾野真千子がしっとり演じていてお見事。
さらに主演の3人だけじゃなく藤原季節、山口紗弥加、大島優子、真行寺君枝など脇役陣が凄くいい。
果たして冒頭の人物は誰なのか、一体何が起こったのか。。。
子供に愛を注いできた母親たちの幸せな生活が少しずつ崩れていく様がリアルで辛い。
どんな場所でどんな環境で暮らしていても、
誰もが事件の当事者になり得る現実を突きつけられ、胸が苦しくなった。
気楽に観られる映画ではないし、気合はいるけれど、見応えのある力作なのでぜひ劇場へ。
『明日の食卓』2021年5月28日(金)公開 監督:瀬々敬久 脚本:小川智子 原作:椰月美智子『明日の食卓』(角川文庫刊) 主題歌:「Motherland」tokyo blue weeps 出演:菅野美穂 高畑充希 尾野真千子 柴崎楓雅 外川燎 阿久津慶人 和田聰宏 大東駿介 山口紗弥加 渡辺真起子 菅田俊 烏丸せつこ 配給:KADOKAWA/WOWOW 上映時間:124分 公式サイト https://movies.kadokawa.co.jp/ashitanoshokutaku/ 公式SNS [Twitter] @asushoku_movie ©2021「明日の食卓」製作委員会