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新天地で根を張る韓国の移民家族の物語『ミナリ』
世界各国の映画祭を席巻、
米アカデミー賞でも作品賞ほか5部門にノミネートされている『ミナリ』。
描かれるのは、アメリカに渡った韓国の移民家族の物語。
農業で一儲けしようとアーカンソー州へ引っ越してきたジェイコブと妻モニカ、そして2人の子どもたち。
しかし、生活は予想以上に厳しく夫婦関係はギクシャク。
そこでモニカの母=おばあちゃんが韓国から呼び寄せられる。
このおばあちゃんが本作のキモ。
口は悪いし、料理はできない、得意なのは花札という(笑)破天荒なおばあちゃん。
そんな異質な韓国文化を背負った現れたおばあちゃんに反発する息子。
この2人の関わりがなんとも微笑ましく、深刻な家族の物語に笑いと温かみを与えてくれているのだ。
子役のアラン・キムとおばあちゃん役のユン・ヨジョンも素晴らしくて、目当てだった『ウォーキング・デッド』のグレンことスティーヴン・ユアンより印象に残ったぐらい。
それにしても家族って、新たな土地で作物を育てるのと同じように、一朝一夕にはいかないものなんだとしみじみ。
韓国系移民としての苦難や問題を描いた作品だと勝手に思っていたからちょっと戸惑ったけど、ミニマムな家族のドラマに重点が置かれていることが、多くの人の共感を呼んだんだなと納得。
韓国語でセリ(芹)を指すミナリは、逞しく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子ども世代のために親世代が懸命に生きるという意味が込められているとか。
ちなみに花札は韓国では花闘(ファトウ)と呼ばれていて、ポピュラーなカードゲームなんだそう。
日本から伝わったものだけど、一部の図柄が違っていて、カードもプラスチック製らしい。全然知らなかったので驚いた。
「ミナリ」
ミッドランドスクエア シネマ、伏見ミリオン座ほかにて大ヒット公開中
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