『魔女がいっぱい』公開記念 スクリーンを彩る魔女特集

『魔女がいっぱい』公開記念 スクリーンを彩る魔女特集

アン・ハサウェイが美しくも恐ろしい魔女に扮する『魔女がいっぱい』(2020年12月4日公開)や、おジャ魔女どれみ20周年記念作『魔女見習いをさがして』(公開中)、マーベル・スタジオが製作する『ワンダヴィジョン』(2021年1月15日よりDisney+で配信)に『ブラック・ウィドウ』(2021年4月29日公開予定)など、この冬から春にかけて魅力的な魔女が登場。そこで、今回のOne Frame Theaterでは「スクリーンを彩る魔女特集」と題して、魔女たちに注目。みんなをハッピーにする魔女から圧倒的な存在感で観る人を震撼させる魔女までバラエティー豊かな「魔女」たちの活躍をお楽しみ下さい。

目次

『魔女がいっぱい』(2020年12月4日(金)公開)

■アン・ハサウェイが美しくも恐ろしい魔女たちを率いる大魔女

© 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

見た目は誰よりも美しくて華やか、上品で若々しくて、お洒落が大好きで、時々こっそり人間に邪悪な魔法をかけては楽しんでいる魔女たち。そんな彼女たちを率い、頂点に君臨するのが、アン・ハサウェイ演じる大魔女のグランド・ウィッチです。クラシカルな千鳥格子柄の衣装や大きなリボンがキュートなピンクのコートを着こなし、颯爽と登場したかと思えば、豪華なホテルの一室で、世にも恐ろしくて壮大な計画を発表します。物語は、その計画を知ってしまったことから、ネズミに変えられてしまった少年たちの奮闘劇なのですが、特徴のある口調で熱弁をふるい存在感たっぷりのアン・ハサウェイが、それはもう楽しそうにグランド・ウィッチを怪演しているのです。金髪のショートボブに赤いリップのヘアメイクは、マリリン・モンローを意識したもの。そして、特殊メイクには、4時間かかったそうです。

『チャーリーとチョコレート工場』で知られるロアルド・ダールの人気作を、ロバート・ゼメキス監督とギレルモ・デル・トロ、アルフォンソ・キュアロンらが映画化した『魔女がいっぱい』。1960年代の豪華なホテルを舞台に、子どもが大嫌いな邪悪な魔女軍団率いるグランド・ウィッチの計画とそれに立ち向かうネズミに変えられた少年たちの奮闘を描いたファンタジー。

監督、製作、脚本 :ロバート・ゼメキス
製作、脚本 :ギレルモ・デル・トロ 製作 :アルフォンソ・キュアロン
原作 :ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」「オ・ヤサシ巨人BFG」
出演 :アン・ハサウェイ オクタビア・スペンサー スタンリー・トゥッチ
配給 ワーナー 上映時間104分
公式サイト https://wwws.warnerbros.co.jp/majo-movie/

『アナと雪の女王』(2013)

『アナと雪の女王2』(2019)

■雪と氷を自在に操りありのままの輝きを放つアレンデール王国のエルサ

『アナと雪の女王』で、抑圧してきた力を解き放ち、多くの人たちの共感を呼んだエルサ。妹アナの協力もあって、アレンデール王国の女王となったエルサは『アナと雪の女王2』では自身のアイデンティティと向き合います。エルサの魔法は、雪や氷を自由に操れること。国まるごと冬にしたり、歌いながら氷の城を建てたりとなかなかダイナミック。そしてオラフのような生き物までうみだせちゃうのも強みのひとつです。続編では、その力がさらに倍増しているので、その進化っぷりを楽しんでみて下さい。

『マレフィセント』(2014)

『マレフィセント2』(2019)

■美しきヴィラン マレフィセントは再び愛を取り戻せるのか?

1959年に公開された『眠れる森の美女』では、完全に悪役として描かれていたマレフィセント。時代が変われば、視点も変わる。アンジェリーナ・ジョリーという最高の味方を武器に、自身の映画を2本も撮ってしまった勝ち組系魔女かもしれません。『マレフィセント』の中で幼き日のマレフィセントは、その翼で妖精の国を自由に飛びまわり、恋だってします。ところが、恋人に翼も愛も心も奪われ、ヴィランの道へ。裏切って王になったステファンの娘、オーロラ姫に呪いをかけます。魔法としてはドラゴンにもなれるという、すごい能力の持ち主。ですが、彼女は母性に目覚めてしまうんですよ。もう「過保護な母親か!」ってぐらいに。そのあとの展開が、どうなっていくかは映画を観るとして『マレフィセント2』が作られちゃうぐらい魅力的な魔女なのは間違いなさそうです。

『魔女見習いをさがして』(公開中)

■大人になって忘れてしまった大切な何かを取り戻す旅の行方は?

© 東映・東映アニメーション

『おジャ魔女どれみ』シリーズ(1999~)の20周年を記念し製作された『魔女見習いをさがして』。本作では、年齢も性格も違う3人がMAHO堂で“おジャ魔女どれみ”を通して出会い、一緒にゆかりの地を巡ることとなります。人生迷子中の3人が、旅の先に見つけたものは…。監督が選んだテーマは、大人のための新たな“魔法”の物語。「ピリカピリララ ポポリナペペルト」久々にどれみたちに会いたくなりました。

 

 

監督 :佐藤順一 鎌谷悠 脚本:栗山緑
キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
出演 :森川葵 松井玲奈 百田夏菜子 三浦翔平 石田彰 浜野謙太  
配給 東映 上映時間91分 2020年11月13日(金)公開
公式サイト https://www.lookingfor-magical-doremi.com/

『白雪姫と鏡の女王』(2012)

■浪費家でワガママだけど憎めない邪悪な女王は実は努力家?

『白雪姫と鏡の女王』に登場するジュリア・ロバーツ演じる邪悪な魔女は、完全にヴィランです。顔見るとむかつくっていう理由で白雪姫を部屋に閉じ込めて、彼女を賞賛する声が聞こえようものなら「ひきこもってりゃ肌も綺麗になるわ」と悪態をつく。パーティーと浪費が大好きで、国の財政が圧迫されても増税で賄おうとするし、リッチなイケメン王子との結婚を狙う。本当にとんでもない女王なんですけど「美」に関しては、共感する人も多いんじゃないかな。王子に会う前に、トリートメントと称するエステみたいなものを受け(鳥のふんでパックし、ハチやらサソリの毒を刺す)、めちゃくちゃギュッギュとコルセットで締め付ける、可愛いところも。たぶん彼女なりに努力はしてるんです。白雪姫を演じるリリー・コリンズの笑顔やコミカルな演出、王子役のアーミー・ハマーと、見どころたくさん。故・石岡瑛子さんが手掛けた衣装やターセム・シン監督の映像美にも注目です。

『スノーホワイト』(2012)

『スノーホワイト/氷の王国』(2016)

■シャーリーズ・セロン様の美貌と圧倒的な存在感にひれ伏す

白雪姫を大胆にアレンジしたアクション・ファンタジー『スノーホワイト』で、スノーホワイトの宿敵となるのは継母のラヴェンナ女王。演じているのは、シャーリーズ・セロン。スノーホワイトの美しさに嫉妬しなくても、十分に美しいと思うのは私だけでしょうか?と思ったりもしますが、そこは物語、スノーホワイトに嫉妬し永遠の若さを手に入れるため、彼女の心臓を狙います。そしてなかなか手強い。恐ろしいのは、このラヴェンナ。『スノーホワイト/氷の王国』でまさかの復活を遂げるんですけど、さらにゴージャス&神々しくなって登場します。そして、続編にはエミリー・ブラント演じる妹のフレイヤ女王も登場。こちらもなかなかの美貌と強さの持ち主です。

『奥さまは魔女』(2005)

■普通の恋がしたいのに!魔女役を演じることになった本当の魔女のおはなし

1964年~1972年にアメリカで人気を博したテレビドラマ「奥さまは魔女」。日本でも米倉涼子主演でリメイクされましたよね。その「奥さまは魔女」をリメイクするという設定で物語が進むのが、ニコール・キッドマン主演の『奥さまは魔女』です。ダーリン役を演じる元スター俳優という設定で登場するのは、ウィル・フェレル。彼が、自分が目立ちたいからという理由で相手役「サマンサ」に抜擢したのが、ニコール演じる素人のイザベル。でも、彼は知らないんですよね。イザベルが普通の恋に憧れてこの世界にやってきた本物の魔女ってこと。コメディならではの、ドタバタ劇や面白い展開、衣装や世界観なんかも楽しめます。

『メリー・ポピンズ』(1964)

『メリー・ポピンズ リターンズ』(2018)

■メリー・ポピンズがかけるのは日常をちょっと楽しくする魔法

1964年に公開されたミュージカル『メリー・ポピンズ』の続編『メリー・ポピンズ リターンズ』。ジュリー・アンドリュースから、そのバトンはエミリー・ブラントに受け継がれ、変わらず楽しい魔法をかけてくれます。空からやってくるメリー・ポピンズですが、彼女が使うのは、ほうきではなく、傘や凧。地上に舞い降りたあとは、ナニーとして人生で大切なことを教えてくれます。絵の世界に飛び込んでみたり、さかさまの世界を楽しんだりしながら。こんな時代だからこそ、人生を少しだけハッピーにしてくれるメリー・ポピンズのメッセージが響くのかもしれませんね。

『魔女の宅急便』(1989)

『魔女の宅急便』(2014)

■挫折を経験しながら少しずつ成長する魔女修行の物語

魔女の宅急便

© 1989 角野栄子・Studio Ghibli・N

今まで紹介してきた魔女たちに比べると「魔女」としてのインパクトは少ないかもしれません。でも、13歳になった主人公のキキが親元を離れ、知らない町で魔女として自立する姿を描いた『魔女の宅急便』と、そのヒロイン・キキは、間違いなく愛されるキャラクターのひとり。原作は「小さなノーベル賞」とも呼ばれるほどの影響力を持つ国際アンデルセン賞を受賞した角野栄子さんによる児童書。それを1989年に宮崎駿監督がスタジオジブリ作品として映画化。そして、2014年には清水崇監督の手で実写映画化もされています。魅力的な作品&キャラクターだからこそ、映画にしたくなるのかもしれませんね。スタジオジブリつながりで、もうひとつ「魔女」作品を紹介したいと思います。

それは…。

「アーヤと魔女」(2020年12月30日にNHK総合で放映予定)

『コクリコ坂から』の宮崎吾朗監督の最新作となります。企画は宮崎駿。スタジオジブリとしては初の全編 3DCG制作となるそうです。魔女の娘と知らずに育った少女が、意地悪な魔女と暮らすことになったことから始まるストーリー。どんな作品に仕上がっているか楽しみですね。

放送日: 12月30日(水) 午後7:30〜8:52 (NHK総合)
企画:宮崎駿
原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「アーヤと魔女」(田中薫子訳、原題:Earwig and the Witch)
脚本:丹羽圭子 郡司絵美 プロデューサー:鈴木敏夫
監督:宮崎吾朗
声の出演 :寺島しのぶ 豊川悦司 濱田岳 平澤宏々路(ひらさわこころ)
制作・著作:NHK、NHKエンタープライズ、スタジオジブリ
公式情報 https://www6.nhk.or.jp/anime/topics/detail.html?i=10005

最後にマーベル・スタジオから『アベンジャーズ』シリーズでも活躍する、このふたりを紹介。

『ワンダヴィジョン』(2021年1月15日(金)Disney+で日米同時配信)

■スカーレット・ウィッチとヴィジョンの結婚生活の行方は?

 

マーベル・スタジオ”初”のオリジナルドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』。舞台は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)後の世界、郊外の街に引っ越してきたスカーレット・ウィッチことワンダ・マキシモフとヴィジョン。晴れて結婚したふたりは、夢にまでみた結婚生活を送るが…というストーリー。予告をみるとポップでお洒落な洋服と60年代を想起させる音楽で、シットコムっぽい香りがするものの、不穏な空気も。時にハルク並みの破壊力を発揮し、その能力の大きさに戸惑うスカーレット・ウィッチ。テレキネシス能力と心理操作の力をあわせ持つ彼女が、本作でどんな感情を爆発させるのかも見どころのひとつかもしれない。

ワンダヴィジョン 原題:WandaVision 
2021年1月15日(金)Disney+で日米同時配信
監督:マット・シャックマン 脚本:ジャック・シェイファー
出演:エリザベス・オルセン ポール・ベタニー

『ブラック・ウィドウ』(2021年4月29日(木・祝)公開予定)

■孤独な暗殺者ブラック・ウィドウの過去がついに明らかに

https://youtu.be/dIDq6jyOtQk

『アイアンマン2』(2010)に初登場し、以後『アベンジャーズ』シリーズで数多くの活躍を見せてきたブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ。演じているのはスカーレット・ヨハンソン。考えてみると10年以上あのスタイルをキープしている訳で、ある意味スカーレット・ヨハンソン自身が魔女なんじゃないかって思いますけど。オリンピックのアスリート並みの身体能力と回復能力、高度な格闘技・狙撃技術をもつ最強のスパイ、ブラック・ウィドウを10年以上もカッコよく演じているんです。そんな彼女にスポットを当てた映画『ブラック・ウィドウ』がついに来年公開となります。先に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)での決断の背景や、アベンジャーズになった経緯、過去、そして秘密が明らかになるそうです。来年が待ちきれないですね。

監督:ケイト・ショートランド 製作総指揮、出演:スカーレット・ヨハンソン
出演 :フローレンス・ピュー レイチェル・ワイズ デヴィッド・ハーバー O. T. ファグベンル
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©Marvel Studios 2020
公式サイト https://marvel.disney.co.jp/movie/blackwidow.html

いずれの作品に登場する魔女も魅力的で、エネルギッシュな持ち主ばかり。気になる作品があったら迷わず観て下さいね。

企画・構成・文 にしおあおい イラスト のらくら

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