伊藤さとりの映画で人間力UP!『クスノキの番人』実写化多しの東野圭吾小説を、初めてアニメ映画にしたワケとは

今やアニメ大国と言える日本。昨年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、2025年における全米興行収入ランキング8位(7.2億ドル)にランクイン。日本での興行収入ランキングでは1位(1/5時点389億円)となり、実にベストテン内には5作品ものアニメ映画が名を連ねています。大人から子供まで楽しめる日本のアニメ映画は今年も多く公開が決定しており、放送・配信されるや話題を博したテレビアニメを再編集した劇場版『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』や、絶大な人気を誇る「ちいかわ」初の映画化『映画ちいかわ 人形の島のひみつ』他、続々と映画館で上映されます。

そんな中、今月公開されるアニメ映画の中で、異色を放っているのが、『クスノキの番人』です。その理由は、今まで福山雅治主演の「ガリレオ」シリーズや『白夜行』(2011)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017)他、実に多くの作品が実写映画化されてきた人気作家・東野圭吾小説初のアニメ映画だからであり、東野作品らしく大人から子供まで楽しめるミステリー仕立てのファンタジー映画になっているからです。

亡くなった母親の腹違いの姉に言われ、神社で拝められているクスノキの番人になってしまった青年・玲斗が主人公。ある日、「その木に祈れば願いが叶う」をいうクスノキに通い続ける男について探って欲しいとその男の娘に頼まれるのですが、調べていくうちに自分の運命にも向き合うことになるのです。

本作は二重三重に張り巡らされた仕掛けにより簡単には解けない謎に包まれいることで、すべてが解き明かされた瞬間に親世代も共感し目頭が熱くなる展開は、流石の東野圭吾原作だと感嘆します。監督は『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』(2017)の伊藤智彦、制作は『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2013)や『心が叫びたがってるんだ。』(2015)、『かがみの孤城』(2022)などを手掛けるアニメ制作会社A-1 Picturesと、社内レーベルとして立ち上げたpsyde kick studioが手掛けているので、背景の美しさは目を見張るほど。ミステリアスなクスノキがある力を発揮する際は、アニメーションだから表現出来たであろう幻想的な光景でした。

ボイスキャストも人気実力ともに兼ね備えた高橋文哉と天海祐希という組み合わせ。だとしたら実写でも観たいものですが、何故、あえてアニメ映画にしたのでしょうか。もしかするとより多くの若者達に、この物語からのメッセージを受け取って欲しいと思ったからかもしれません。やり甲斐を見つけられず、未来に夢も希望もないと嘆く主人公・玲斗の思いを理解出来る彼らに伝えたい愛情物語には、若者に身近なアニメというアプローチが最適なのかもしれない。しかも感情にそっと寄り添うような柔らかなタッチなので、観る人を包み込む温もり溢れる作品だから。

目次

クスノキの番人

監督:伊藤智彦

キャスト:高橋文哉/天海祐希 齋藤飛鳥 宮世琉弥/大沢たかお

配給:アニプレックス

1月30日(金)より全国公開

©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会

https://kusunoki-movie.com/

—————————————————–

伊藤さとり

伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)

映画コメンテーターとして「ひるおび」(TBS)「めざまし8」(CX)で月2回の生放送での映画解説、「ぴあ」他で映画評や連載を持つ。「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談番組。映画台詞本「愛の告白100選 映画のセリフでココロをチャージ」、映画心理本「2分で距離を縮める魔法の話術 人に好かれる秘密のテク」執筆。

◆伊藤さとりの映画で人間力UP!バックナンバー

おいしい映画祭

アーカイブ