福原遥「『楓』は私が生まれた年の曲」運命的な楽曲への想いと、監督絶賛の“眼帯姿”とは?

中日本興業70周年記念 映画『楓』先行上映舞台挨拶

12月11日(木)、名古屋・ミッドランドスクエアシネマにて、中日本興業70周年記念イベントとして映画『楓』の先行上映舞台挨拶が開催されました。

19日の全国公開を前に、主演の福原遥さんと行定勲監督が登壇。撮影の裏話や作品への想いを語ったイベントの模様をお届けします。

「今日はひつまぶしを…」
福原遥さん名古屋グルメを満喫しニコニコ

満員の観客に迎えられた福原さんは、「名古屋の皆さんにこうしてお会いできてすごく嬉しいです」と笑顔で挨拶。
実は先週も学園祭で名古屋を訪れていたそうですが、「先週は手羽先しか食べられなかったので、今日はひつまぶしを食べに行ってきました」と、名古屋グルメをしっかりと堪能できたことを報告し、会場を和ませていました。

生まれた年にリリースされた名曲『楓』との“縁”
スピッツの名曲『楓』をモチーフに描かれる本作。
楽曲への想いを聞かれた福原さんは、「『楓』は私が生まれた年にリリースされた曲で、勝手にご縁を感じていました」と、1998年生まれならではの運命的な繋がりを明かしました。

「物心ついた時からずっと聴いていて、気づいたら口ずさんでいるような曲。成長と共に全然違う曲に聴こえるのが素敵で、みんなに寄り添ってくれる楽曲です」と、自身にとっても特別な存在であることを語りました。

試写会でスピッツに遭遇「いるんだ、スピッツ」
美輪明宏さん以来の緊張が監督を襲う

少し前に行われた試写会では、楽曲の生みの親「スピッツ」のみなさんも試写をご覧になったそうで、行定監督も「僕にとってはレジェンドなバンド。いるんだ、スピッツ」と本物を前に緊張したと明かし「美輪明宏さん以来の緊張でした」と振り返りました。

「実際に映画を見終わった時は言葉少なげな感じだったのですが、裏でね「30年前の僕にこの曲映画になるよ!って教えてあげたい」って言ってたと聞いて、楽しんでいただけたんだと嬉しかったですね。」エピソードを話すと笑顔を見せました。

心が壊れそうなヒロイン・亜子を熱演

福原さんが演じたのは、恋人を事故で失い、その双子の兄・涼(福士蒼汰)と向き合うことになるヒロイン・木下亜子。
「亜子は明るくて天真爛漫で、相手を想んばかれる心優しい女性。でも、大切な人を亡くしてからは、心が今にも壊れちゃうんじゃないかという状態が続いていて…。そこから頑張って立ち上がろうとする姿は、演じていても心苦しくなる瞬間がたくさんありました」と、難役への挑戦を振り返りました。

福士蒼汰とは安心の「福福コンビ」
主人公・涼役の福士蒼汰さんとは同じ事務所の先輩後輩。
がっつりとお芝居をするのは今回がほぼ初めてだったそうですが、「すごくクールな印象があったんですが、お会いしたら本当に親しみやすくて器の広い方。現場も引っ張っていただいたし、撮影前にお話しできてすごく安心して現場に行けました」と信頼を寄せていました。

MCから「福福コンビですね」と振られると、嬉しそうな笑顔を見せていました。

行定監督が絶賛したのはまさかの…?
行定監督は福原さんの演技について、「感情の起伏を心の中に押し込める役。表に出したいところを抑える息苦しさを、ちゃんと務めてくれた」と評価。

そして、「いろんな顔を見せてくれたけど、途中で『眼帯』をつけるんですよ。眼帯をつける福原遥は、個人的に好きですね。一番良かった」とまさかの告白。

これには福原さんも「いつもそこを一番お気に入りと言ってくださるんですが…眼帯だけかと思いました(笑)」と苦笑いしつつ、「片目だけになると表現力が下がるはずなのに、そこに憂いを感じる」という監督の言葉に耳を傾けていました。

ニュージーランドの星空に感動「行ってよかった」
物語の鍵となるニュージーランド・テカポ湖での撮影について、福原さんは「あの景色を見なかったら生まれなかった感情がいっぱいあったので、本当に行ってよかった」と回顧。

「ミルキーブルーの湖ですごく綺麗でした。携帯で撮った写真でも星がこんなに見えるんだって思うくらい、本当にすごかったです」と、世界有数の星空保護区での体験に目を輝かせていました。

普段から帰り道に空を見上げたり、ドライブで星を見に行ったりするという福原さん。「流れ星が見えると『素敵!』と思って願い事をするんですけど、早すぎて間に合わないんですよね」という可愛らしいエピソードも披露してくれました。

「本物すぎて嘘くさい!?」
ニュージーランドの星空の凄さ

また、行定監督からは驚きの撮影裏話も飛び出しました。 「この映画をやるようになって、東京でも日々星を見るようになった」と語る監督。劇中の星空シーンについて、「人物と星空は同時に撮れないので合成ではあるんですが、使っている星の素材は(ロケ地のテカポ湖で撮った)本物なんです」と説明。

しかし、「本物の星を合成したら、凄すぎて逆に嘘くさく見えてしまった。それぐらいテカポ湖の頭上の星はすごいんです。だから、リアリティを出すためにあえて少し輝度を落としました」と、本物があまりに美しすぎるがゆえの贅沢な苦労を明かしました。

イベントの最後、行定監督と福原さんはこれから映画を観る観客に向けて、次のようにメッセージを送りました。

監督「この映画は、存在しているってことがひとつのキーになっていて、人間は存在したり不在になったり(亡くなったり)するけれど、星はずっとそこにある。昔の人が亡くなった人を想って『あの星になったのかな』と言ったりしますが、それが古い言葉ではなく、すごく実感できる感じでした。そして。
星の光が地球に届くまでの膨大な時間に比べれば、人間が生きられるのは長くても100年ほどです。その短い時間の中で、これほどまでに苦しみ、様々な感情を持って向き合って生きる人間の『慎ましさ』や『人間らしさ』こそが、この映画の大きな共感ポイントだと思っています。ぜひ登場人物たちに感情を重ねて見ていただければ嬉しいです。本日はありがとうございました。」

福原「大切な人を失ってしまった亜子と涼が、どう前を向いて生きていくのか。その姿を見て、少しでも皆さんに寄り添えるような作品になったらいいなと思います。見終わった後に、大事な人をもっと大切にしたくなるような心温まる作品になっていると思うので、ぜひ楽しんでください」

映画『楓』は12月19日(金)より、ミッドランドスクエアシネマほか全国ロードショーです。

取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部)

作品紹介

タイトル:『楓』
出演:福士蒼汰 福原遥 ほか
監督:行定勲
脚本:髙橋泉
原案・主題歌:スピッツ「楓」(Polydor Records)
音楽:Yaffle
配給:東映/アスミック・エース
Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会
公開表記: 12月19日(金)全国公開
公式サイト: https://kaede-movie.asmik-ace.co.jp
公式X/公式Instagram/公式TikTok:@kaede_movie121

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