5月16日に開幕した「第2回どまんなかアニメ映画祭」のオープニングセレモニーが17日、名古屋ミッドランドスクエアシネマで行われ『劇場版 あしたのジョー2』のスペシャルトークイベントに、主人公・矢吹丈役のあおい輝彦さんとインタビュアーを務めるアニメーターの野口征恒さんが登壇。
色褪せることのない伝説の息吹を感じようと集まったファンたちを前に、伝説のラストシーンをはじめ数々の名場面や台詞を披露。アフレコ時の貴重エピソードなども明かされました。
ジョーの魂降臨
ファン垂涎の名ゼリフも
大きな拍手と歓声の中、ステージに現れたあおいさん。野球に打ち込んだ父親がボクシングも好きだったことから、自身もボクシングに親しみ原作漫画「あしたのジョー」の大ファンだったことを告白。
ところが、矢吹丈役のオファーを受けた当初は「俳優と声優は別」と2度も固辞していたことを明かしました。
それでも制作陣の「どうしても」という熱意に心を打たれて参加を決めたあおいさん。「ジョーを演じるのではなく、ジョーになりきる」という決意で役を引き受けたそうです。
怪我の功名?「はい、おっさんよう」は
言い間違えから生まれたセリフ
当時を振り返って「はい、おっさんよう」も、台本には「はい、おっさん」となっていたことを明かし「『間違えちゃった!』と言ったら、いやそのままやってと。最初っから、自分の映像にあとから声をあてるアフレコをやる感覚で役になりきってるからおっさんと書いてあっても『おっつあん、酒くせぇんだよ!』ってなるし、『へっ』や『あらよ』も自然に出ちゃう」と、次々飛び出す台詞にインタビュアーの野口さんも「ジョーらしくていいですね」と嬉しそう。
映画祭総合プロデューサーでもある近藤良英さんから「制作スタッフより『あしたのジョー』に詳しい」と紹介された野口さんは、テンプルを打てなくなり、ドサ回りの旅に出る虫プロ版のオリジナルストーリーやそこで出会う稲葉粂太郎(声:故・小林清志さん)との人間味あふれる交流など、長年のファンも唸らせるディープな話題を展開。
あおいさんがジョーの口笛のシーンで、自身のヒット曲「二人の世界」のメロディをアドリブで吹いたというエピソードを引き出すなど、作品への愛を感じさせるトークになりました。
スペシャルゲストに
アニメ界のレジェンド降臨
さらに、スペシャルゲストとして、アニメ界の巨匠として知られるプロデューサーの丸山正雄さんも飛び入りで参加。
黎明期の虫プロダクションで、出崎統監督(当時)と共に、予算も人員も確保できぬまま「あしたのジョー」のパイロットフィルムを「勝手に作った」という衝撃秘話や制作への道のり。
さらに、当時のアニメの常識を打ち破る「リアルな描写」への執念。
そして「声優」ではなく「俳優」のあおい輝彦さんを矢吹丈役に抜擢するという、前代未聞のキャスティングの真相を熱く語りました。
この大胆な起用の裏で、反対にあいながらも「その世代が持つ激しさやハードさを表現できるのは、実際に演じている実写の俳優だ」と、揺るがぬ信念で断行したことを明かすと、「『あしたのジョー』の成功がアニメの声優システムを変えたのかなと思います」とも語り、作品がいかにエポックメイキングであったかを浮き彫りにしました。
また、「アニメーションとしてどっちがいいかっていうと、(あしたのジョー)2の方がずっと上です。でも1の時は、得も言われない不思議なパワーがあるんですよね。そこが僕は大好きです。」と両作の魅力を語りました。
観客からの質疑応答では、「50年以上経った今でも、『あおい輝彦さんと言えば矢吹丈』というイメージがあることについてどう思われますか?」との問いが。
これに対しあおいさんは、「ホントに僕はジョーになりきってしまって、自分のアフレコをやったような感じだったんですね。ですから、そう言われると、ジョーも僕の一部だと思ってるので、とても嬉しいです。それはありがとうよ」と、ジョーになりきって感謝を伝えました。
また、最後は伝説のラストシーンを再現。ファンなら涙がとまらない、ファンじゃなくても鳥肌がとまらない、とびきり素敵な挨拶でしめくくりました。
オープニングから熱い
作品が持つ不滅の輝きを楽しんで
オープニングから、作品が持つ不滅の輝きや魂が揺さぶられる瞬間を目撃。
このあとも『魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞』や『超人ロック』、劇場版『クラッシャージョウ 4Kリマスター』など、魅力あふれる作品の上映とトークが楽しみな「どまんなかアニメ映画祭」。
今日と明日はニッポンのどまんなかが熱い。
映画祭は22日までやっているので、ぜひ、スクリーンに焼きつけられたクリエイターたちの情熱と、時代を超える物語の力を大きなスクリーンと最高の音響で体感してみて!
取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部)
第2回どまんなかアニメ映画祭
開催期間:2025年5月16日(金)~5月22日(木)
会 場:ミッドランドスクエア シネマ(名駅前ミッドランドスクエア商業棟5F)
イベント:5月17日(土)・5月18日(日) はトークイベントを開催!
【上映予定作品】
「劇場版 あしたのジョー2」(1981年/出﨑統監督)
「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅 4Kリマスター」(1981年/りんたろう監督)
「銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 4Kリマスター」 (1988年/石黒昇監督)
「銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア) 4Kリマスター」(1993年/清水恵蔵監督)
「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢の中の輪舞」(1985年/湯山邦彦監督)
「超人ロック」(1984年/福富博監督)
劇場版「クラッシャージョウ」(4Kリマスター)(1983年/安彦良和監督)
「ファイブスター物語」(1989年/やまざきかずお監督)
「カムイの剣」(1985年/りんたろう監督)
山中貞雄に捧げる漫画映画「鼠小僧次郎吉」(2024年/りんたろう監督) ※愛知県初公開・特別上映
●チケット料金
通常上映:1,500円(税込)
※5月16日(金)、19日(月)~22日(木)
ゲストトークイベント付き特別上映:4,400円〜6,200円 ※5月17日(土)、18日(日)
・入場者特典付き。ポップコーンorドリンク引換券付き。
・特別上映は作品によって異なります。詳細は公式HPをご確認ください。
・イベント上映、通常上映ともにプレミアムシートは鑑賞料金に加えて追加料金(800円)が必要となります。
・天候や諸事情により、トークイベントの中止や登壇者などの内容が変更になる場合がございます。
その際のチケットの払い戻しや補償等はできませんのでご了承ください。