前田拳太郎「憧れの世界に入りこんだ気持ち」長井監督「眼福のアフレコ」に『ふれる。』舞台挨拶で

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』、心揺さぶる“青春三部作”で、200万人を感涙で包んだ長井龍雪監督、岡田麿里さん(脚本)、田中将賀さん(キャラクターデザイン・総作画監督)がタッグを組んだ新作『ふれる。』で新たに挑むのは、不思議な生き物「ふれる」と暮らす青年三人の友情物語。

物語の主人公で幼馴染の20歳の青年三人を演じるのは、King & Princeの永瀬廉さん、若手実力派俳優の坂東龍汰さんと前田拳太郎さんで、それぞれのキャラクターをまるで小さい頃からの親友のように演じているのも話題です。

10月4日の公開を前に『ふれる。』の名古屋舞台挨拶が9月19日、ミッドランドスクエア シネマで行われ、長井龍雪監督と、井ノ原優太役を演じた前田拳太郎さんが登壇。

上映前の観客を前にアニメーション映画「ふれる」の誕生話やアフレコ時のエピソードなどを明かしました。

“ふれる”だけど触れられない…
そのイメージをトゲに託しました(監督)

上京する物語を題材にした長井監督は、本作について「ちょうど秩父を舞台にした3つの作品を終わらせまして、そこから出ていく話を考えた時に、ちょうどキーワードにあがったのが『上京』という言葉。上京ものにすることは、割と早く決まりました。で、前作『空の青さを知る人よ』がちょうど姉妹の話だったので、今度は男の子の話をやってみようというところから、男の子三人がルームシェアする話がアイデアとして出てきた感じです。三人と一緒に暮らす “ふれる” は、物語の設定として、この子を通して互いの心が繋がるというお話になっているんですけれども、この子自身には、触れられないというのがお話の肝になっていまして、その触れられないイメージをあのトゲに託しています。ハリネズミとかヤマアラシとか、そういうものをベースに、キャラクターデザインの田中さんに(イメージを)おこしていただきました」と “ふれる” 誕生話を披露。

“ふれる” なのに触れられない…、愛らしくて不思議なキャラクター「ふれる」。実は、会場にも来ていて、舞台挨拶の様子を見守っていましたよ。

 

憧れの世界に入り込んだような気持ち
すごく嬉しかったです(前田)

本作で、オーディションを経て、声優に初挑戦した前田さん「声優をやるのがひとつ夢でもありました」と嬉しそうに明かし「しかも僕が好きな“青春三部作”の長井監督、岡田さん、田中さんの作品ということで、このオーディションは絶対に(役を)とらなきゃと思って、いろいろ試行錯誤したり作戦を考えて臨んで、優太役を掴みました!」と言葉を続けると、長井監督は「この後すぐに確かめることができると思うんですけれども、ちょっと驚くぐらい普通にうまいです!」とコメントし、前田さんも笑顔に。

続けてMCから完成した作品について聞かれた長井監督は「正直言うと、ほっとした思いが1番でかいです。この作品は、コロナ前からスタートした企画で、間にコロナ禍を挟み、打ち合わせもしづらい状況があった中で、こうしてなんとかひとつの形になれたので、いまは本当に、みなさんに見てもらえることができてほっとしています」と胸の内を明かしました。

作品を観た前田さんは「なんか不思議な気持ちでしたね」と口にすると「普段はこう、自分のこの見た目があって、お芝居を見るんですけど。今回はアニメーションということで、自分とは違った見た目のキャラクターに声を当てる、キャラクターに命を吹き込むというところで、プレッシャーもありましたし、責任感もあったんですけど、実際に自分が演じたキャラクターが喋って、動いているのを見たら、僕もアニメーションが好きなので、憧れの世界に入り込んだような気持ちになってすごく嬉しかったです」と振り返りました。

役と自身との接点について聞かれると「優太というキャラクターは、(幼馴染)3人の中ではちっちゃい見た目で…、僕はこうして身長も結構あって見た目が違うので、オーディションの時にどうやってこのキャラクターを作り上げていこうかなと思っていたんですけど、脚本を読む中で、優太の心の中の部分だったり、ちょっと卑屈気味になってしまうところやコンプレックスを抱えてしまうところ、悩みを自分ひとりで解決しようとしてしまうところは、僕も、普段の生活や友達との関係の中で感じたり、相手の気持ちを予想して解決するところがあったりするので、そういった部分はすごく似ているなと。そんな優太と自分と似ている部分を合わせながら役作りをしていました」と語った前田さん。

監督はアフレコ時のやりとりについて問われ『前田さんは事前にシナリオを読み込んで、ちゃんと優太の下地を作ってきてくれたので、シーンシーンの中で都度都度、ちょっと修正したという感じでした」と話すと、前田さんも「そうですね。オーディションで僕を選んでいただいたので『ベースは合っているのかな?』と思い、そこは自分でも自信を持って挑んでいました」と役と向き合ったことを明かしました。

年上のふたりが、すごく引っ張ってくれた(前田)
すげぇいい男3人が目の前でワチャワチャ眼福でした(長井監督)

前田さん演じる優太とともに、生まれ育った離島から上京し、東京で一緒に暮らす幼馴染に、永瀬廉さんと坂東龍汰さんが扮しています。今回は、それぞれの声を別録りするのではなく、一緒にアフレコしたそう。その時の様子を「幼馴染という関係性の中で、三人の空気感みたいなものがすごく大事になってくると思っていたんですけど、隣で一緒にアフレコしていた年上のふたり(永瀬&坂東)が、お芝居することで関係性を作ってくれて、すごく引っ張っていってくれたので、しっかりついていこうという気持ちでした」と前田さんが振り返ると、長井監督も「ほんとに3人の仲の良さみたいなものが伝わってくるアフレコで、見てて『すげぇいい男3人が目の前でワチャワチャしている』眼福でした。その楽しい雰囲気は全部映画の中に落としこめています」とニッコリ。

主演の3人について『これだったら、そりゃ選ぶよね!』と
絶対思っていただけるような仕上がりになってます(長井監督)

最後に「今日は映画『ふれる。」を楽しみに来ていただいていると思うのですが、この作品は、人と人との関係を大切にしている作品で、見終わった後、自分の友達だったり、好きな人とか大切な人に、自分の気持ちを改めて伝えたくなるような作品になっているので、ぜひ楽しんでいってください」と前田さんが挨拶すると、

「三人の主人公の出演を発表してから、いろんなインタビューでキャストについて『どこが良かったですか?』みたいなことを聞かれ、今まで言葉を尽くして語ってきたんですけれども、今日はやっとみなさんに見ていただけるので『でしょ?』『これだったら、そりゃ選ぶよね!』と絶対に思っていただけるような仕上がりになっています。その辺をちゃんと確かめていただけるのがすごく嬉しいです。あとですね、この「ふれる」という生き物を、スタッフ一同とても頑張って可愛く見えるように一生懸命演出しておりますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。そして、10月4日の公開まで、一緒に応援していただければと思います。本日はどうもありがとうございました」と締めくくった長井監督。

不思議な力を持つ生き物「ふれる」と共同生活を送る幼なじみ3人の友情物語『ふれる。』主題歌、YOASOBIの新曲「モノトーン」が、互いの心の声が聴こえる青年三人の友情と痛みを優しく包み込んでいます。10月4日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか、全国公開。この秋劇場で、じっくりと味わいたい豊潤な一作です。

取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部

作品紹介

【ストーリー】同じ島で育った幼馴染、秋と諒と優太。
東京・高田馬場で共同生活を始めた3人は20歳になった現在でも親友同士。
それは島から連れてきた不思議な生き物「ふれる」が持つテレパシーにも似た力で趣味も性格も違う彼らを結び付けていたから。
お互いの身体に触れ合えば心の声が聴こえてくる-それは誰にも知られていない三人だけの秘密。
しかし、ある事件がきっかけとなり、秋、諒、優太は、「ふれる」の力を通じて伝えたはずの心の声が聴こえないことに気づく。
「ふれる」に隠されたもう一つの力が徐々に明らかになるにつれ、三人の友情は大きく揺れ動いていき…。

タイトル:『ふれる。』
監督:長井龍雪
脚本:岡田麿里
キャラクターデザイン・総作画監督:田中将賀
音楽:横山 克 TeddyLoid
主題歌:YOASOBI「モノトーン」
(Echoes / Sony Music Entertainment (Japan) Inc.)
声:永瀬 廉 坂東龍汰 前田拳太郎
白石晴香 石見舞菜香 皆川猿時 津田健次郎
配給:東宝 アニプレックス
製作:「ふれる。」製作委員会
©2024 FURERU PROJECT
公式ホームページ:fureru-movie.com
公式X(旧Twitter): @fureru_movie

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