エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.153『ナミビアの砂漠』

注目度No.1の河合優実が圧巻の演技で魅せる

『ナミビアの砂漠』

9/6(金)より公開中

2021年『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』の演技で、数々の映画賞を総なめにして、一躍注目の存在に。
そして今年はドラマ「不適切にもほどがある!」でお茶の間の認知度も急上昇!
さらに映画『あんのこと』『ルックバック』と出演作が続々公開され、今ノリにのっている俳優・河合優実。

そんな彼女がまだ学生だった頃、運命的に出会っていた山中瑶子監督とタッグ組んだのがこの『ナミビアの砂漠』。

演じるのは同棲中のカレ・ホンダがいながら、別の男・ハヤシとも関係を持つ自由奔放な21歳のカナ。
やがてホンダからハヤシに乗り換えて新生活がスタート。
けれど、あることから芽生えたわだかまりを消化できず、どんどん不安定になっていく…
そんなカナの心の揺らぎを、何気ない素ぶりやぼんやり空虚な表情、怒りのパワーみなぎる圧巻の身体表現で演じてみせる河合優実。

その凄まじい演技に目が離せない!

彼女の魅力を最大限に引き出した山中監督もお見事。
隣の席の会話が気になって、目の前の友だちの話が入ってこない感覚や、
感情的に暴れ回る自分を冷静に見ている意識の乖離を視覚化した映像表現、
さらにさり気ないけれど深いセリフや、
どこか懐かしい古い日本映画の匂いを纏いつつ、今を生きる20代の深淵を見つめ、ささやかな希望を浮かび上がらせる演出力。
全編にほとばしる圧倒的な才能に驚いた。

ホンダ役の寛一郎、隣人の女を演じる唐田えりかをはじめ共演陣もいい。
特に『サマーフィルムに乗って』でも共演しているハヤシ役の金子大地と河合優実、
実力派2人のぶつかり合いは見応えあり。

ということで、今回の写真のアイテム。
まずは、カナが暴れている自分を見ている時に食べているかっぱえびせん。
観ている側をも混乱させていくこのシーンで、ランニングマシーンとかっぱえびせんの謎な組み合わせが面白く。
そしてカナが「甘いのとしょっぱいのウレシー」と言いながら頬張る、ホンダの札幌土産のじゃがポックルとレーズンバターサンド。
カナの転機となるシーンに関わるアイテムで、複雑な心情を表現する河合優実の芝居も絶品なのだ。

「ナミビアの砂漠」

出演:河合優実 金子大地 寛一郎 新谷ゆづみ 中島 歩 唐田えりか 渋谷采郁 澁谷麻美 倉田萌衣 伊島 空 堀部圭亮 渡辺真起子
脚本・監督:山中瑶子
助監督:平波 亘 制作主任:宮司侑佑 音楽:渡邊琢磨
制作プロダクション:ブリッジヘッド コギトワークス
企画製作・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2024『ナミビアの砂漠』製作委員会

 

映画ライターー 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載

 

 

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