エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.143『青春18×2 君へと続く道』

日本と台湾の魅力をミックスした美しく切ないラブストーリー 『青春18×2 君へと続く道』

5/3(金・祝)より公開中!

『ヤクザと家族 The Family』『余命10年』『ヴィレッジ』『最後まで行く』などなど、全くジャンルが異なる作品を次々と手がける藤井道人監督。
ジャンルレスに活躍する売れっ子監督が、国境を越えて撮りあげた日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』。
台湾人の祖父を持ち、台湾での映画制作を熱望していたという藤井監督の日本と台湾、そして映画への愛が詰まった作品だ。

主人公は台湾で自分が立ち上げた会社を解雇された36歳のジミー。
失意の中、故郷に戻ったジミーは、日本人旅行者アミと過ごした18年前の夏を思い出す‥というストーリーで、日本×台湾、現在×18年前が交錯していく。

ストーリー

18年前、2006年の台南で出会い、ひと夏を過ごした高校生のジミーとバックパッカーのアミ。
シャイなジミーと4つ年上のアミの淡い恋模様がなんとも微笑ましくて、甘酸っぱい懐かしさが込み上げてくる。


バイクの2人乗りをしたアミが「台湾映画みたい」というように、全編に漂うノスタルジックな空気は『藍色夏恋』(02)などに通じる、台湾らしい青春映画の趣が。
2人が岩井俊二監督の『Love Letter』を観に出掛ける映画館に『藍色夏恋』の看板が掲げられていたり、主人公の「SLAM DUNK」好きやランタンを飛ばすシーンなど、日本でもリメイクされた『あの頃、君を追いかけて』(11)との共通点もあって、藤井監督の台湾映画へのリスペクトを感じられる。

一方、人生につまづいた36歳のジミーがアミの故郷、福島を目指して旅をする現在、2024年冬の日本のパートは、トーンを抑えたクールな映像で描かれていく。
トンネルを抜けた先に広がる雪景色も印象的で、雪山であるセリフを叫ぶ『Love Letter』まんまのシーンも!
対照的な日本と台湾の風土や文化、映画へのオマージュが楽しめる魅力いっぱいの作品なのだ。

キャスト&スタッフも日台の旬の映画人が集結。

主人公ジミーを演じたのは、ドラマ「時をかける愛」で注目され、台湾のみならずアジア全域で活躍するシュー・グァンハン。
18歳と36歳のジミーを同じ人とは思えないほど完璧に演じ分けていて驚かされる。
対するアミ役には日本が誇る若手屈指の実力派、清原果耶。


安定感のある演技でアミの複雑な想いを繊細に表現していてさすが。
さらに道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳など共演陣も豪華な顔ぶれが揃っている。

また『牯嶺街少年殺人事件』の主役で鮮烈なデビューを飾り、数々の作品に出演、『DUNE/デューン 砂の惑星』のドクター・ユエ役も記憶に新しいチャン・チェンが、エグゼクティブ・プロデューサーを担当。
彼がジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」を読んだことから企画が動いたそうで、本人の出演シーンはないけれど、主演作『百年恋歌』(05)の看板が映画館に掲げられていて思わずニンマリ。

さて、今回の写真のアイテムはバスケットボールを。
「SLAM DUNK」のファンで、アミとの出会いのシーンもバスケをしていたジミー。
「SLAM DUNK」は世界中の若者に愛されているんだね。

2024年製作/123分/G/日本・台湾合作
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2024年5月3日

 

プレゼント記事はこちら↓

シュー・グァンハン、清原果耶W主演『青春18×2 君へと続く道』よりオリジナルグッズを3名様に

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載

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