伊藤さとりの映画で人間力UP!2024年の注目作、今観られる感涙モノから大型映画『オッペンハイマー』まで解説!

2023年は、アメリカの俳優労働組合のストなどで、洋画のインタビューが出来なくなったり、来日キャンセルもあるなど激動の年でした。一方、邦画はAFF(コロナ禍で文化庁が設立した文化芸術の支援での補助金)で制作された映画が多く公開され、ミニシアター映画が例年以上に渋滞だった年。

全体の傾向としては洋画も邦画も偏見や差別を無くそうということで、邦画ではゲイのカップルの運命を描いた『エゴイスト』や、実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした『月』、性的嗜好の違いを描いた『生欲』が公開。洋画はジェンダー格差を人形の世界で描く『バービー』や、ディズニーの『マイエレメント』も違う種族や移民への偏見を無くそうという思いで作られたものでした。

お正月映画はアニメが大激戦!

時に心を潤してくれる涙の感動作を見たい人にはこの2作がオススメ。まずは、黒柳徹子さんの幼少期の思い出を綴った原作をアニメーションにした『窓ぎわのトットちゃん』。これは、「普通」という教育から追い出されてしまったヤンチャなトットちゃんが、自由な学校でのびのびと感性を育てながら友達を慈しむことを知る中で、子どもの幸せも戦争により追い詰められてしまうことを描いた傑作でした。

続いてはスタジオポノック制作の『屋根裏のラジャー』。イマジナリーフレンド(想像の友達)のラジャーと彼を生み出した少女が離れ離れになる中で、想像力が生み出す美しい世界や、創造によって世界中の人に影響を与えた偉人やキャラクターへ尊敬の念を綴っています。実際のところ、『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』とディズニーアニメ『ウィッシュ』が話題ですが、前2作は涙無しには見られない傑作ですよ!

お正月は笑いたい!と思った人には2作の韓国映画をご紹介。

『宝くじの不時着』は軍事境界線にいる韓国軍と北朝鮮の兵士が1枚の宝くじをきっかけにまさかの対面交流をする抱腹絶倒のヒューマンコメディ。そして『マイ・ハート・パピー』は、愛犬と離れなければ愛する人と一緒になれない主人公が、従兄弟と共に里親探しをする途中で様々な犬たちと出会い救済する物語。やっぱり韓国の映画は喜怒哀楽がハッキリしていて笑わせて泣かせるのが上手いんですよね。

そんな中、今年公開のビッグタイトルが早くも話題になっています。

それは1/7(現地時間)発表となるゴールデングローブ賞8部門ノミネートの原爆を作った物理学者の数奇な運命を描いた『オッペンハイマー』の日本公開決定というニュース。私はアメリカ版Blu-rayでお先に拝見。映画の根底には戦争は人を変えてしまうというメッセージが綴られていて、殺人兵器を作ってしまったオッペンハイマーの後悔も描かれていました。しかもIMAXカメラで映し出される広大な大自然の美しさたるや!そもそも彼はブラックホールに魅せられた物理学者なので、宇宙を表現するシーンもあり、スター俳優がこれでもかというくらい出ております。キリアン・マーフィ、ロバート・ダウニーJr、マット・デイモン、ゲイリー・オールドマンなどなど、さすが名匠クリストファー・ノーラン監督なだけあり、まぁ豪華な顔合わせ!映画的にもダイナミックな作品です。

ほかにも『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の15年前を描いた若きフュリオサの物語『マッドマックス:フュリオサ』も公開されます。更にハリウッド版『ゴジラVSコング 新たなる帝国』、『ジョーカー2』『インサイド・ヘッド2』も待機。『ゴースト・バスターズ・フローズン・サマー』といった続編祭りの2024年の洋画大作。邦画は『ゴールデン・カムイ』は1/19公開、『陰陽師0』4/19公開、シリーズ4作目『キングダム 大将軍の帰還』が7/12に公開決定、と書くと主演は全部、山﨑賢人くん!! 大活躍の年になりますね、アクション映画が多いので今後も身体には気をつけて欲しいわ。

『オッペンハイマー』

『オッペンハイマー』 (原題:Oppenheimer)

監督、脚本:クリストファー・ノーラン

製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン、クリストファー・ノーラン

出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー

原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン 『オッペンハイマー』(2006年ピュリッツァー賞受賞/ハヤカワ文庫、2024年1月刊行予定)

2023年/アメリカ

配給:ビターズ・エンド  ユニバーサル映画
公式 ホームページ https://www.oppenheimermovie.jp/
© Universal Pictures. All Rights Reserved.

*公開中の作品

 

「窓ぎわのトットちゃん」https://tottochan-movie.jp/

© 黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会

「ウィッシュ」https://www.disney.co.jp/movie/wish

© 2023 Disney. All Rights Reserved.

「マイ・ハート・パビー」https://myheartpuppy.jp/

ⓒ 2023. Yworks Entertainment Co.,Ltd. All rights reserved.

伊藤さとり

 

映画パーソナリティ(映画評論・映画解説/心理カウンセラー) 

ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当する。全国のTSUTAYA店舗で流れる店内放送wave−C3「シネマmagDJ、俳優対談番組『新・伊藤さとりと映画な仲間たち』(YouTubeでも配信)、東映チャンネル×シネマクエスト、映画人対談番組『シネマの世界』など。NTVZIP!」、CX「めざまし土曜日」TOKYO-FMJFN、インターFMにもゲスト出演。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿。日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。

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