10/6(金)より公開中
『白鍵と黒鍵の間に』
舞台は昭和末期の銀座。
主人公は高級クラブのバンドに入ろうと、
希望に燃えるピアニストと
夜の銀座に染まりきったピアニスト。
2人の男のある一夜が交錯しながら描かれる。
池松壮亮が1人2役で、ジャズピアニストを演じる‥
という情報だけしか入れてなかったから、
思っていた映画と違っていてびっくり。
時代と人とエピソードが絡まり合いながら、
シュールに展開していくストーリーに、
え〜っ!????となった。
でも「俺は一体何やってんだ!」と叫びつつ、
夢と現実の狭間でもがくピアニストの苦悩が、
映画の混沌とリンクしていく感じが面白く。
奇想天外な演出も楽しめた。
現役のジャズミュージシャン南博が、
ピアニストとしてキャバレーや高級クラブを
渡り歩いた青春の日々を綴った原作を、
大胆にアレンジした冨永昌敬監督。
冨永監督作の中ではリアルな男女関係を描いた
『南瓜とマヨネーズ』が一番好みだけど、
『パビリオン山椒魚』とか、
『素敵なダイナマイトスキャンダル』とか、
不思議な映画も撮っていて傾向が読めないw
今回は幻想と現実、笑いと絶望が混ざり合う、
ヘンテコな世界観にハマった!
とはいえ、キャストはみんな魅力的。
2人の違いを繊細に表現した池松壮亮、
おかしみと危なさを漂わせる森田剛も最高で。
小学生の頃、ピアノを習っていた池松壮亮は、
本作のために練習を積んで、
映画のキーとなる「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を、
吹き替えなしで弾いているそう。
さらにミュージシャンのクリスタル・ケイ、
サックス奏者の松丸契が参加した演奏シーンはかなりアガった!
さて、今回の写真は
重要なアイテムのカセットテープ、
そして「ゴットファーザー 愛のテーマ」の楽譜も織り交ぜて、
オープニングと終盤に登場するゴミ捨て場のイメージで。
抜け出したいのに抜け出せない、奈落のようなあの場所は、
「白鍵と黒鍵の間」のように見えた。
動画の埋め込み
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載