『1秒先の彼』
お気に入りの台湾映画『ラブ ゴーゴー』のチェン・ユーシュン監督が、人よりワンテンポ早い彼女と遅い彼を描いた“時間”をめぐるラブストーリー『1秒先の彼女』。
日本でも話題となったこの映画を、
監督:山下敦弘×脚本:宮藤官九郎という
最高のタッグでリメイク。
チェン・ユーシュン監督のユーモアとペーソス、
優しさと愛にあふれた世界観を、
2人がどう料理するのか。
興味津々だったけれど、
男女の設定を反転させて、
岡田将生&清原果耶をキャスティングしたのが大正解!
「伊藤くん A to E」でもモンスター級の痛男役がめちゃくちゃハマっていた岡田将生が、本作ではビジュアル100点 性格0点、何をするにも1秒早い残念なイケメンを好演。
こういう役を演じる岡田将生はやっぱりいい!
一方、何でも1秒遅れのカメラ女子を演じる清原果耶。
オリジナルでは、まるでストーカーじゃん!と、否定的な声も聞かれたキャラクターも、清原果耶が自身の持ち味を生かしつつ演じると、好きな相手を一途に想い続ける不器用でいじらしいキャラクターに見えるから不思議。
彼女は誰よりもしっかりした大人な人だったので、
山下監督は「バカだと思われないように、
言葉を選んで話していた」そう。
48歳の監督にそう思わせる21歳‥すごいわ。
舞台となった京都ならではの笑いを散りばめ
クセの強い脇キャラを配したクドカンの脚本と、
山下監督のゆるっとオフビートな演出も好相性。
ストーリーはオリジナルとほぼ同じながら
ファンタジックやペーソスは控えめに、
ほっこり爽やかな映画になっていて好印象。
ということで、今回の写真のアイテムは、
岡田将生演じるハジメの失踪した父が、
家を出る時に買いに行くと言ったみょうがと、
ハジメが買ってきてと頼んだ白のパピコ。
台湾版では豆花(トウファ)だったアイテムが、
パピコ、それも白いのに変えて、
父がいなくなった家族の心情を、
コミカルに表現するのがクドカンらしい。
映画『1秒先の彼』は公開中
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ) Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載