横浜流星の鬼気迫る演技に引き込まれる 『ヴィレッジ』
『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』の藤井道人監督と、故・河村光庸プロデューサー、最後のタッグ作。
描かれるのは、陰湿で排他的な田舎の村で、家族の不祥事の汚名を背負い、悪意や暴力に晒されて生きる青年・優の物語。
村に囚われ、生き方を選択することもできない優の苦悩と葛藤が、村に伝わる“能”の演目と、ダークな映像によって浮かび上がり、悪夢を見ているような奇妙な感覚に。
藤井監督こだわりの映像と音楽が作り上げる、独特な世界観に引き込まれていく。
そしてすごいのが、優を演じた横浜流星の演技!
京都でのロケハンや脚本作りにも加わって、藤井監督と共に優のキャラクターを作ったそうで、一瞬、誰だかわからないほど陰鬱なオーラを放ち、鬼気迫る演技で優の絶望を体現している。
さらに黒木華、古田新太、中村獅童をはじめ共演陣も実力派揃い。
中でもすごいのが木野花。セリフはなく、能面のような表情の中に想いを滲ませる名演技は圧巻。
さて、今回の写真のアイテムはゴミ。
のどかな村を山の上から見下ろすように建てられた巨大なごみ処理施設。
その不気味な佇まいが印象的だった。
作品名:『ヴィレッジ』【PG-12】 監督・脚本: 藤井道人 音楽:岩代太郎 出演:横浜流星 黒木華 一ノ瀬ワタル 奥平大兼 作間龍斗 淵上泰史 戸田昌宏 矢島健一 杉本哲太、西田尚美、木野花 中村獅童、古田新太 上映時間:120分 配給:KADOKAWA/スターサンズ 公式サイト: https://village-movie.jp/ 公式Twitter: @village_moviejp ©2023「ヴィレッジ」製作委員会 4月21日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか全国ロードショー
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲