2023年の「フォト de シネマ」初映画はタイトルそのまま“家族”をテーマにした『ファミリア』。
山里の窯で焼き物作りをしている陶器職人の男と後を継ぎたいと考えている息子、そして隣町の団地に住むブラジル人の若者たち。
小さな町で違いを超えて繋がる人たちの物語…ではあるけれど、難民、移民、差別、テロ、報復と世界的スケールの問題を内包したハードな内容に驚いた。
そして国も文化も悲しみも全てを超越した愛の尊さに心震えた。
瀬戸市生まれのいながききよたかが身近で起きた事件を取り入れて脚本を書きそのモデルとなった在日ブラジル人が多く住む豊田市の保見団地でもロケされたというこの映画。
製造業が盛んな愛知県は、在日ブラジル人が日本一多いそうで。名古屋にも同じような団地があって2年ぐらい前、クドカン脚本でイッセー尾形が一人芝居でみせるNHKの番組が作られてたし。
フィクションではあるけれど名古屋人としては身近なこととして考えさせられる映画だった。
キャストも素晴らしく、絶対的な安定感で主人公を演じる役所広司、その息子役、吉沢亮の爽やかさ、MIYAVIのキレっぷりもいい。
オーディションで選ばれたブラジル人キャストたちもよかった。
さて今回の写真には何の捻りもなく焼き物をチョイス。
今回、本格的に焼き物の練習したという役所広司。土を捏ねる仕草もろくろを回す手つきも自然で本物の職人にしか見えず。
さすがでした。
作品紹介『ファミリア』
【ストーリー】陶器職人の神谷誠治は妻を早くに亡くし、山里で独り暮らし。アルジェリアに赴任中の一人息子の学が、難民出身のナディアと結婚し、彼女を連れて一時帰国した。結婚を機に会社を辞め、焼き物を継ぐと宣言した学に反対する誠治。一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年のマルコスは半グレに追われたときに助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物の仕事に興味を持つ。そんなある日、アルジェリアに戻った学とナディアを悲劇が襲い……。
作品名:『ファミリア』 監督:成島出 出演 :役所広司 吉沢亮/サガエルカス ワケドファジレ 中原丈雄 室井滋 アリまらい果 シマダアラン スミダグスタボ 松重豊/MIYAVI 佐藤浩市 配給:キノフィルムズ 公式サイト https://familiar-movie.jp/ 公式Twitter @familia_movie ©2022「ファミリア」製作委員会 映倫:PG12
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲