エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.86『百花』⁣⁣⁣公開中!

チャレンジ精神あふれる表現に驚く 『百花』

川村元気プロデューサー監督作品

プロデューサーとして、『悪人』『モテキ』『君の名は。』などなど、
多数の大ヒット作を手掛けてきた川村元気。
彼が自身の小説を自ら監督・脚本を務めて映画化した『百花』は、
そんなヒットメーカーのイメージとは違う、チャレンジ精神にあふれた作品で驚いた。

描かれるのは認知症になった母・百合子と、
間も無く父になる息子・泉の親子の愛と記憶の謎。

一輪の花からピアノを弾く百合子を長回しで捉えたシーンに始まり、
ワンシーンワンカットにこだわった演出と、
時間感覚のズレや意識の混濁を体感させるような映像表現に魅入ってしまった。

『エレファント』を感じるカメラワークだなと思ったら、
監督がインスパイアされたところもある、と語っていたようで納得。

 

 

 

 

わだかまりを抱えた母子の心情に安易に共感はできなかったけれど
時空の狭間を漂いながら、記憶について考えを巡らせることが心地よく。

絶対に忘れたくないことを忘れたり、どうでもいい小さな事を覚えてたりするよね、とか、
小さな記憶の積み重ねで今の自分は作られているけど、
忘れることができる方が生きるのが楽な時もあるよね、とか、考えて。
あれこれ考えた末に「今この時を大切にしよう」
と感じさせてくれる映画だった。

 

 

 

 

ワンシーンワンカットの撮影でも安定した演技で魅せる菅田将暉、長澤まさみ、
認知症を患う百合子の現在と、20年前の若き日を1人で演じた原田美枝子もすごい。
そして個人的にドキッとしたのが、百合子の過去に関わる浅葉を演じた永瀬正敏。
枯れ具合と声が妙にセクシーで。
「濱マイク」の尖ったカッコよさとは違う大人の色香にクラッとした。

さて今回の写真は親子の思い出のアイテムを。
ひとつは少年だった泉が母に贈った花。
そしてもうひとつは2人がよく食べたどうぶつビスケット。
これからもどうぶつビスケットを食べる度に、泉は母を思い出すんだろうか。

 

プレゼントページ

菅田将暉、原田美枝子が贈る愛と記憶の物語『百花』からフラワーしおりを3名様に!

作品概要

作品名:『百花』
監督 :川村元気
脚本 :平瀬謙太朗、川村元気
音楽 :網守将平
原作 :川村元気「百花」(文春文庫刊)
主題歌:KOE「Hello, I am KOE」
出演 :菅田将暉 原田美枝子
長澤まさみ/北村有起哉 岡山天音 河合優実
長塚圭史 板谷由夏 神野三鈴/永瀬正敏
配給:東宝
公式サイト https://hyakka-movie.toho.co.jp/
公式Twitter @movie_hyakka
©2022「百花」製作委員会

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

映画館バイト雑誌映画担当映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。

朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。

映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!不定期掲

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