ゆーと。のピースオブシネマVol.17         「LOVE LIFE」

 

「LOVE LIFE」耐えられないくらい美しい悲劇。でも “向き合う”のです。
ゆーと
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こんにちは!ゆーと。です! 今回は、
深田監督「LOVE LIFE」の感想です。

僕自身、深田晃司監督の過去作は、だいたい観ていて、ワークショップに以前参加させて頂いたこともあっ たりして、とても好きで、尊敬している監督だったので、かなり前から楽しみにしていた作品でした!!

それにしても、観てて辛かった…

矢野顕子の同名楽曲を題材にした夫婦の物語。

人間の往年の普遍的で重いテーマである 孤独、秘密、 などの悩みに対して、 新たなタッチで描いて救済を与えてくれる大傑作でした。主人公の身に突然降ってくる不幸な出来事、 それによって変わっていく人間関係、さらなる負の連鎖。 全部リアルで緻密に計算され尽くした、手話と口語を交えた繊細な演出や演技が、少しの希望を与えてくれ たり、はたまた絶望を加速させたりで、鑑賞し終わったら、遠くに来てしまったような感覚に囚われて、な んだか美しかったです。

 

 

 

団地の演出

特に、主人公の妙子たち一家が住む”団地”という建物の演出の仕方が、この映画の象徴的な部分になってい て、向かい側の棟とのコミュニケーションを取るシーンなどがありますが、これこそまさに今作に出てくる 人間たちの物理的且つ精神的な距離の象徴で 結局、たいていの人間は他の人に何があろうと、他人事でしかないのだということを言われてるような気が して、なんとも切なかったです。今作の全てを静かに語っているようでした。

 

 

 

 

誰でも、乗り越えられないような辛いことが一つや二つ、これまで生きてきた中であったと思います。もし かしたら、まさに今そのような状況の人もいるかもしれませんが、 今作は、そのような状況を”乗り越えなくてもいい”と言っていたように感じました。
なぜなら、『乗り越える ≒ 忘れる、見て見ぬふりをする』 (時間が過ぎただけ)でしかなくて、時間が経ってもなかなか傷が癒えず、拗らせてしまうから、一番大切な事は、乗り越えなくてもいいから全力で真正面から面と向かって今、課題に“向き合う” ことで、”向き合った”結果 を正解にしていくこと。なんだと思いました。 そして”向き合った”結果、盛大に傷つき、「やっぱり許せない」という結論に至るのもまた人間なんだ。 と肯定し、また前に向かってゆっくりでも進むしかないのだと、かなり哲学的ですが新しい方向からの優し いメッセージに心がじんわりとしました。 救われた気持ちになりました。

 

 

 

 

今作のジャケット写真などにもなっている、ラストに近いシーンで木村文乃さん演じる妙子が、ダサいけど 強く自由をゆっくりと取り戻し回復していくシーンの、あの姿がかっこよくないのに力強くてものすごく好 きでした。
観ている我々もジワジワと勇気を貰えるような忘れられない作品でした。

ゆーと
ゆーと
ぜひ、劇場でご覧ください。 では、また次回!

作品概要

2022年製作/123分/G/日本
配給:エレファントハウス

(C)2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS

「愛」と「人生」

愛と人生を真正面からとらえ本質を鋭くえぐり出す
世界から注目される現代の奇才・深田晃司監督の最新作。「愛」がつく映画は数多くある、「人生」がつく映画も数え切れないほど存在する。けれど、その両方をタイトルに掲げた映画はそう多くはない。「愛」と「人生」がタイトルに付くこの映画『LOVE LIFE』は、音楽界のレジェンド的存在として輝き続ける矢野顕子の名曲「LOVE LIFE」から生まれた。

ゆーと。

映画観賞:年間200本
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