暗く鋭い少年の眼差しが心を射抜く 『ぜんぶ、ボクのせい』
監督・脚本は短編『日本製造/メイド・イン・ジャパン』が衝撃的だった松本優作、
キャストもわたし好みの顔ぶれがずらり。
児童養護施設で暮らす中学生の少年を主人公に、現代社会が抱える問題を描いた意欲作。
母親に会いたい一心で施設を抜け出した少年は、軽トラで生活するホームレスの男と、虚無感を抱く女子高生と出会う。
母親の愛に飢え、複雑な感情を抱えて生きる3人が家族のようになっていく。
その繋がりが温かいほどに、すべてを打ち砕く残酷な現実が重く心にのしかかってくる。
そして何よりも強烈だったのが、ラストシーンの少年の顔。
暗く鋭いその瞳を撮るために、映画があったと思えるほどのインパクト。
少年を演じた白鳥晴都は、オーディションで抜擢されたらしいけど、ぎこちなさも含めて役柄にピッタリ。女子高生役の川島鈴遥の存在感も光ってた。
ホームレス役のオダギリジョーをはじめ、松本まりか、仲野太賀、片岡礼子、木竜麻生など、初々しい2人の脇をがっちり固める俳優陣も安定の演技。
特に少年の母親と同居する男を演じた若葉竜也が抜群。
ダメな雰囲気を漂わせつつもダメすぎない、際を演じていて素晴らしい。
ということで、今回の写真は若葉竜也のシーンから。
少年と母親と同居男が食べるカップ焼きそばをチョイス。
このシーンも含めて登場時間は少ないながら、しっかり爪痕を残す若葉竜也はやっぱりいいわ〜。
「ぜんぶ、ボクのせい」 ©️ 2022『ぜんぶ、ボクのせい』製作委員会 8月11日(木・祝)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 配給:ビターズ・エンド 【CAST】 白鳥晴都 川島鈴遥 松本まりか 若葉竜也 仲野太賀 片岡礼子 木竜麻生 駿河太郎/オダギリジョー 【STAFF】 監督・脚本:松本優作 エンディング・テーマ:大滝詠一「夢で逢えたら」 (NIAGARA RECORDS) 製作・プロデューサー:甲斐真樹 製作:藤本 款 定井勇二 前 信介 鈴木 仁 水戸部 晃 アソシエイトプロデューサー:永井拓郎 ラインプロデューサー:中島裕作 撮影:今井孝博(JSC) 照明:金子康博 録音:髙田伸也 美術:仲前智治 衣裳:篠塚奈美 馬場恭子 ヘアメイク:山井 優 音楽プロデューサー:田井モトヨシ 編集:田巻源太 助監督:野本史生 制作担当:中村哲也 スチール:久保田智 製作:スタイルジャム、クロックワークス、ビターズ・エンド、グラスゴー15、ミッドシップ、コンテンツ・ポテンシャル 制作プロダクション:スタイルジャム 宣伝:ミラクルヴォイス 配給:ビターズ・エンド 2022/121分/カラー/日本/5.1ch/ビスタ PG12 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会 公式サイト:bitters.co.jp/bokunosei
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲