『L.A.コールドケース』
1990年代、米国ヒップホップ・シーンは、「デス・ロウ・レコード」(西海岸)と、「バッド・ボーイ・レコード」(東海岸)が対立。
その「東西抗争」はエスカレートして、96年9月にデス・ロウ所属の人気ラッパー、2パックが、翌97年3月にバッド・ボーイ所属の〝ノトーリアス・B.I.G.(通称ビギー)”が射殺された。
90年代前半は映画に出演するラッパーが多くて
ヒップホップに疎い私も『ジュース』(92)の2パックは知ってたし、殺されたと知って衝撃を受けたっけ。
なぜ人気ラッパー2人が殺されたのか?
犯人は誰なのか?
事件は未解決のままだという。
『L.A.コールドケース』は、作家ランドール・サリヴァンによるノンフィクション「LAbyrinth(原題)」を土台に、この事件の謎を追ったクライム・サスペンス。
主人公はジョニー・デップ演じる実在の元刑事ラッセル・プール。
ビギー暗殺事件の担当刑事で、18年経った後も事件を追い続けるプール。
そんな彼の元をフォレスト・ウィテカー演じる記者ジャックが訪ね、2人のやり取りから隠された事実、ロス市警の闇が明かされていく。
実力派俳優2人の名演技も手伝って、事件をめぐるサスペンスとしても、信念を貫く男の物語としても見応えのある作品になっている。
ただし、複数の事件と人物が出てくるので要注意!
事件の概要を説明してくれる部分もあるけれど
情報の消化で手一杯になるのはもったいない。
「デス・ロウ・レコード」設立者シュグ・ナイトをはじめ、事件にまつわる人名や団体名、そしてロス暴動のきっかけになった〝ロドニー・キング事件”や、ロス市警ランパート署の警官による汚職事件〝ランパート・スキャンダル”、さらに〝O.J.シンプソン事件”なんかも予習しておけば、混乱することなく、映画の魅力を堪能できます。
今回のフォトdeシネマは?
さて今回のアイテムは、記者のジャックと食事した際にプールが頼むメキシカン肉料理の定番カルネアサダ。
「サイドなしにするから、いい?」って遠慮がちなプールに対して、任せとけよって感じで注文するジャック。
さりげないけど2人の関係がわかって、思わず頬が緩むいいシーンだった
2018年製作/112分/G/アメリカ・イギリス合作
原題:City of Lies
配給:キノフィルムズ
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲