本広克行監督×世界的パティシエ辻口博啓、映画と食の融合『食のまち多気町映画祭』プレイベントで

食と映画の融合に舌鼓を打つ夜
『食のまち多気町映画祭』プレイベントを開催

三重県多気町の複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内のアット シェフ ミュージアムで3月29日『食のまち多気町映画祭』のプレイベントが開催されました。

今回のイベントは、スペインのサンセバスチャン市と「美食を通じた友好の証」を締結している三重県の多気町が、食の聖地を目指す VISON を会場に、サンセバスチャン市で行われている国際映画祭の人気カテゴリー、カリナリーシネマ部門にインスピレーションを受けてスタートさせたイベントで、映画と食とのマリアージュによる新たな可能性を模索する。

ヴィソンに店舗を持つ世界的パティシエの辻口博啓シェフと『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督が、北海道の映画祭で意気投合!

折しも、サンセバスチャンに通う中で、美食の街ならではの映画祭をヴィソンでもいつか開催したかったという立花代表の想いも合流「とりあえず、やってみよう!」とスタートしたのだそう。

当日会場になったのは、食のイベントも開催できるアット シェフ ミュージアムと呼ばれるイベントスペース。


この日は、三重県から野呂副知事も駆けつけ、自身も食と映画が好きであることを明かすと、「三重県も『美(うま)し国』というところ、多気町、ヴィソン、そしてここに集まった皆さんが手を携えて、映画祭開催に向けて盛りあげていただければ…」と開催に向け期待を述べました。

また、多気町の久保町長は、多気町が「食の町」として活性化に取り組んでいることを紹介。
「多気町とヴィソンを中心に、海の幸あり、山の幸あり、そして豊かな農場がある。特に自慢したいのは松阪牛、そういった豊かな食材がある。
また、私の母校でもありますけれど、テレビドラマにもなった「高校生レストラン」のモデルとなった母校の相可高校のような、食材をおいしく提供してくれる施設がたくさんある。
そして美食の街で知られるスペインのサンセバスチャン市との「友好の証」もある。そういったことを活かして、映画祭の開催に向けてみなさんと一緒に取り組んでいければと思っております。」と挨拶しました。

映画祭を立ち上げるのは大変
だけど面白い!

第一部では、尾野慎太郎監督と本広克行監督、辻口博啓シェフ、立花哲也代表をゲストに、『映画祭のつくり方』コメンタリートーク上映。

「国際映画祭を開こうと思ったらぶっちゃけいくらかかるの?」など、運営の苦労や裏話を織りまぜつつ、映画祭運営の面白さや楽しさなどを語り、招待された人たちも興味深く聞き入っていました。

続けて、スペイン映画『美食家ダリのレストラン』の上映では、ワインやぶどうジュースが振る舞われ、シーンにあわせて実際に料理が登場する演出も。地中海ブイヤベースが出てくるシーンにあわせて、ブイヤベースが運ばれてきたので、シーンとシンクロする感覚を、まさに味わい、これは新しい試みかもと感じました。

スープを手がけるのは、スペイン料理店「IZURUN」の中武亮シェフ。日本では数少ないバスク料理の、プロフェッショナルで、ヴィソンのサンセバスチャン通りの監修も行っています。

招待された参加者らは、映画の上映中に提供された料理を味わいながら、映画鑑賞を楽しみました。提供された料理の監修は中武氏が行い、最後のデザートは、なんと辻口博啓シェフの人生を変えた一品「セラヴィ! (これが人生)」が! 映画祭のスタートを迎える特別な瞬間だからこそ、味わって欲しいとの想いから、振る舞われました。

提供されたメニュー
* これが私のスープ: 地中海風ブイヤベース
* 未来: 地元三重県相可高校調理クラブの学生による特別なワンプレート
* ボッカディージョ: ワンハンドで食べられるサンドイッチ
* セラヴィ! (これが人生) ピスタチオのアイスクリーム添え

参加者からは、映画と食の融合に対する楽しさや感動、料理の美味しさなど、多くの好評の声が上がっていました。

立花代表はプレイベントを終えて「素晴らしかった! これまでいろいろな食の取り組みや地域とのコラボレーションをしてきた中で、なかなか出せなかった奥行きを、本広監督に参加いただき、映画という切り口でやっていく中で、表現の奥行きにこんなにも深みが増すんだと。みんなの心を打つ素晴らしいイベントになりました」と大きな感動と手応えを得たことを明かしました。

映画祭をプロデュースする本広克行監督は、ヴィソンの食と空間を満喫したことを振り返りつつ、今回のプレイベントを通じて、新たな発見があったと語ります。
「料理ってやっぱり目で楽しむものじゃないですか。でも、鑑賞しながらだと暗いから、せっかく美しく盛られていても分からないんですよ」と、上映中の食事提供の難しさを指摘する一方で、もう少しカジュアルで自由な形で、食と映画が楽しめる、例えば『うどん』を観ながら、食べたくなったら好きなタイミングで食べたいうどんを食べられるような形もいいかもしれないし、いっそのこと映画祭に向けて映画を撮ってしまうというのもありかもしれない。映画を観ながら食べるのであれば、食べる人が味わう時間も考えながら料理のシーンを撮らないとね!」と独自の構想を明かしました。

映画祭の今後の展開については、参加者の意見を参考にしながら、より魅力的で、地域を盛り上げる映画祭を目指していくとしています。『食のまち多気町映画祭』の動向に注目です。

VISON(ヴィソン)
東京ドーム24個分(約119ha)の広大な敷地に、四季を感じるホテルや日本最大級の産直市場、薬草で有名な多気町にちなんだ薬草湯、和食の食材メーカーによる体験型店舗、有名料理人が手掛ける地域食材を活かした飲食店舗、オーガニック農園など、9つのエリアに約70店舗が出店する複合商業施設です。

取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部

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