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円熟の極みに達したクリント・イーストウッドに酔いしれる
『クライ・マッチョ』
80歳を超えてもほぼ毎年映画を撮り続ける
レジェンド、クリント・イーストウッドが監督・主演。
年老いたロデオ界の元スターが、メキシコに暮らす元雇い主の息子を父親の元へと連れ戻すロードムービー。
ストーリーはいたってシンプル。
追手との掛けき引きはあるけれど、派手なアクションもドラマチックな展開もなし。
けれど、イーストウッドが静かに佇み、歩くだけで映画になってしまう。
役者としての生き様と役柄が重なって、一言のセリフに重みが増し、ふとした表情に人生が滲む。
まさに円熟の極み。
数多の悪党共を倒し、〝マッチョ“を体現してきたレジェンドが91歳で辿り着いた境地。
イーストウッドだから成立する、
今のイーストウッドにしか撮れない映画。
91歳で監督・主演できるなんて、それだけで奇跡。
『グラン・トリノ』的な展開を期待してしまった私はまだまだだなと実感。
さて今回の写真はメキシコにちなんで、メキシコの国旗の色の食材を使ったスクランブルエッグ〝ウエボス・ア・ラ・メヒカーナ”を。
メキシコは卵の消費量が世界一だそう。
劇中に同じものは出てこないけど、主人公たちのオアシスとなる酒場の女主人も、卵料理らしきものを出してたしね。
【ストーリー】
誘拐した男と、さらわれた少年。
逃亡の果てに二人が見つけた“生きる”道とはー。
アメリカ、テキサス。ロデオ界のスターだったマイクは落馬事故以来、数々の試練を乗り越えながら、孤独な独り 暮らしをおくっていた。そんなある日、元雇い主から、別れた妻に引き取られている十代の息子ラフォをメキシコ から連れ戻してくれと依頼される。犯罪スレスレの誘拐の仕事。それでも、元雇い主に恩義があるマイクは引き 受けた。男遊びに夢中な母に愛想をつかし、闘鶏用のニワトリとストリートで生きていたラフォはマイクとともにア メリカへの旅を始める。そんな彼らに迫るメキシコ警察や、ラフォの母が放った追手。先に進むべきか、留まるべ きか? 今、マイクは少年とともに、人生の岐路に立たされる――。 誘拐から始まった少年との出会いが、二人の人生を大きく変えてゆく― |
2021 年 アメリカ映画/2022 年 日本公開作品/原題:CRY MACHO 上映時間:104 分/スコープサイズ/2D/5.1ch リニア PCM+ドルビーサラウンド 7.1(一部劇場にて) 字幕:松浦美奈/映倫区分:G/配給:ワーナー・ブラザース映画
https://wwws.warnerbros.co.jp/crymacho-movie[フォトdeシネマ]
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲