目次
「キューバ危機」の舞台裏を描く知られざる物語
『クーリエ 最高機密の運び屋』
1960年初頭。
米ソの対立が激化し、世界中が核戦争の脅威に怯えていた頃。
平凡なイギリス人セールスマンが、いきなり現れたCIAとMI6に依頼され、機密情報の運び屋に!?
ウソみたいな実話を基にしたこの映画。
妻子ある普通の男が、世界の運命に関わる諜報戦に巻き込まれる様は興味深くもあり、恐ろしくもあり。
緊張感あふれる状況に引き込まれていく。
そんなリアルスパイ映画の面白さに加えて、危険な任務に挑む男たちのドラマがまたいい。
危険も重要度も増していく任務を最後まで真っ当しようとするセールスマンのウィン。
その苦悩や戦いを、ベネディクト・カンバーバッチが凄まじい演技で体現していて目が離せない。
そしてもう1人。
ソ連の情報を流すGRU【ソ連軍参謀本部情報総局】のペンコフスキー大佐。
愛する祖国を裏切ってまで、核戦争回避のために命を賭ける大佐の生き様に感涙。
ウィルと大佐の友情と強い絆に胸が熱くなる!
ということで、今回の写真はそんな2人が観劇するバレエ「白鳥の湖」をイメージ。
事態が切迫していく中で、信頼する友と素晴らしい時間を共有する歓びと、哀しい別れの予感が滲む素晴らしいシーンだった。
[ストーリー] 東西冷戦下、東欧に出張が多いため警戒されにくいという理由で機密情報を持ち帰る“運び屋(クーリエ)”を請け負うことになる英国人セールスマン、グレヴィル・ウィン。 最初は好奇心からスタートした諜報活動が、ソ連軍の協力者であるオレグ・ペンコフスキー大佐とのやりとりと、迫りくる核戦争の危機の中で次第に使命と変わってゆく。 普通のセールスマンがスパイになっていく過程が見どころの一つだ。1962年10月、アメリカとソ連、両大国の対立は頂点に達し、「キューバ危機」が勃発した。世界中を震撼させたこの危機に際し、 戦争回避に決定的な役割を果たしたのは、実在した英国人セールスマン、グレヴィル・ウィンだった。スパイの経験など一切ない平凡なセールスマンが、モスクワでの商談を隠れ蓑にして秘密裏に行った諜報活動とは? ●監督:ドミニク・クック ●出演:ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、ジェシー・バックリー…ほか ●配給:キノフィルムズ ●上映時間:1時間52分
[フォトdeシネマ]
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲