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恋愛の幻想が打ち砕く衝撃作!『猿楽町で会いましょう』
昨年参加したくまもと復興映画祭で上映され、観た人たちが軒並み絶賛。
見逃した私は大後悔。
あれから8ヶ月‥待った甲斐がありました!
高評価も納得の衝撃的な映画だった。
主人公は駆け出しのカメラマン、小山田修司と女優志望の読者モデル、田中ユカ。
2人の関係を小山田の視点で描くchapter:1は、まだ何者でもなく色もない若者のボーイミーツガールの物語。
かと思いきや、ユカに焦点を当てたchapter:2では一変。恋愛の幻想が打ち砕かれ、生々しい現実を見せつけられる。
そしてその先のchapter:3へと進む頃には
色々くらい過ぎてもうヘロヘロ。
できれば新鮮な気持ちでユカに出会って欲しいので詳細は割愛。
ただ、危うく透明な存在感でユカを演じた石川瑠華がとにかく素晴らしく。
存在しない映画の予告編から1本を選び映画化する「未完成映画予告編大賞MI-CAN」でグランプリを獲得した本作。
映像出演経験がないにも関わらず、石川瑠華はその予告編から圧倒的な魅力を放っていたとか。今後の活躍が楽しみすぎる!
翻弄される小山田を演じた金子大地もよかった。見覚えがあるなと思ったら、NHK よるドラ「腐女子、うっかりゲイに告(こく)る。」で安藤純を演じていたことに後から気づき驚愕。
役柄によってこれほど変わるなんて。またすごい若手が現れた。
さて今回の写真。アイテム多くてうるさいですね(苦笑)
まずユカが嫌いだというタバコ。詳しくは書かないけどこのタバコ、すごく効いてます。
そしてポテトチップスとスイカバーは出会ったばかりの2人の“特別な瞬間”を象徴するアイテム。
劇中に「特別な瞬間とか特別だったこととか、
全部なかったんじゃないかってぐらい忘れちゃう」ってセリフがあるけど、この映画には間違いなく“特別な瞬間”が捉えられていると思う。
賛否分かれそうな映画だけど、興味がある方はぜひ劇場へ。
ネタバレの可能性があるのでここから先は映画を観た方のみお読みください。
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現実の自分が理想の自分に追いつかず、本当の自分を知ることすら拒否して、空っぽの中身を借り物の言葉とセックスで埋めているユカ。
嘘と本当の境界が曖昧で不安定な感じがたまらなく魅力的だけど、映画のその先、彼女はどうなるんだろうと心配になってしまった。
いつかちゃんと自分と向き合って、幸せになってくれることを願って。
「猿楽町で会いましょう」
2019年製作/122分/R15+/日本
配給:エレファントハウス
(C)2019 オフィスクレッシェンド
フォトdeシネマ
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載
エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.21 『猿楽町で会いましょう』
読み応えのあるコラムになっていますよ!
スイカアイスはどこに出てくるのか?!
乞うご期待。
映画館で見てね。@onabe11 #猿楽町で会いましょう#児山隆#金子大地https://t.co/RgCk1QoECk— 映画情報サイト シネマ ピープルプレス (@cinemarest1103) June 7, 2021