ペンギン

噂の皇帝ペンギンをみた。http://www.gaga.ne.jp/emperor-penguin/
マイナス40℃の南極で8880時間かけた素晴らしい映像に、ただ驚くばかり。苦行を重ね、外敵から身を守りながら極寒の南極で新しい命を産み落とす。メスとオスは死ぬ思いで子供を育てるのです。皇帝ペンギンの愛らしくも威厳のある姿をしっかりカメラに収め私たちに「生命」の尊さを教えてくれます。本作のように一度に多くの彼らを間近で捉えることができたのは生物学的にみてもとても貴重な映像だそうだ。「未知なる自然の驚異」という言葉をこの映画に贈りたい。
もちろんVFXはなし。あるのは南極大陸に住む小さな動物、ペンギンの夫と妻、親子の本能に基づいた信頼の絆だけ。お互いを信じ合うことだけがこの大自然の中で生きることにつながっていく。
夫婦、そして親子でさえも信頼関係が希薄になってしまった人間社会。ペンギンたちから学ぶことは山ほどあるのでは?!
ナレーションを担当しているのが、妻の声はローマン・ポラージュ、夫は「リディキュール」のシャルル・ベルリング、ひなペンギンは私の大好きな子役「僕セザール10歳半 1m39cm」のジュール・シトリュック!彼らの声は数々の奇跡の瞬間を捉えた映像にすばらしくリンクしています。フランス語の柔らかさが心地よいのだ。
さて、物語を少し紹介します。(ここからはネタバレしてます)
南極の冬は3月から。生き物はほとんど移動しまずが、皇帝ペンギン達はこの地にとどまって南に旅をはじめます。真っ白な氷の砂漠を隊列を組んで行進していきます。目指すは彼らの生誕の地オアモック。ペンギン達が安心して子供を産めるのはここだけ。島と断崖に囲まれ外敵すらカンタンには近づけない場所なのです。大行進のあと、オアモックに着いたら何千羽といるメスの中から今年の結婚相手を選ぶため求愛とダンス、歌に興じます。オスが少ないためメスは殴り合ってでもオスを取り合うの。オスはただ呆然とみているだけ(笑)ダンスも楽しそう。
そして、愛の結晶は5月に生まれる。2ヶ月間はじっとしているだけ。産卵を終えたらメスはパートナーに卵を預けてこれから生まれる雛と自分たちのためにエサをもとめて旅に出ます。この時、卵をメスからオスにうまく渡せなくて割れてしまうことも・・・。
産卵でガリガリになったメスは遙か彼方のエサ場を目指してヨタヨタとあるき、時には腹這いになって滑っていく。オス達は卵を孵化させるために足でしっかりと卵を抱えひたすらメスの帰りを待つ。オス達は氷上でスクラムを組みお互いに体を温めあうのです。妻を信じ、我が子の誕生を心待ちにしながらオス達の2ヶ月にわたる苦行がはじまるのです。
メス達は深海を見つけ、つかの間の休息をとり我が子のためにたっぷりエサを蓄えます。ところが、アザラシなどに襲われそこで死んでしまう母ペンギンも・・・。母が死ねば、エサがもらえない子ペンギンは餓死するしかないのです。
妻も夫も命がけなのです!!
胃袋に食べ物を蓄えた母達は再びオアモックに戻り何千羽もいるなかから、どうやってお互いを見つけ出すのか、とても不思議なのですが、どうやら出発前に取り決めた鳴き声があるようです。ここには感動的な親子の再会のシーンがあるんです。
親子で過ごす時間はごくわずか、今度は父がエサを求めて旅立ちます。極限まで体力が衰えてしまった彼らにとっては辛い旅になるのです。途中で何羽も息絶えてしまうそうです。
早春をむかえても南極はまだ厳しい寒さが続きます。ひな鳥も好奇心一杯。ブリザードに襲われ寒さで死んでしまう子ペンギンも。子供を亡くした母は、ほかのペンギンから奪い取るなど狂気の行動にでるものもいます。
ヒナたちはとてもかわいいくて、よちよち歩きで氷上を歩き回り寒くなるとまた母の足下にもどって顔をキョロキョロ。おどろくことにペンギンの世界でも保育所のようなところがあり、母たちはそこに預けてエサをとりに出かけていくの。
海から戻った父が鳴き声を頼りに我が子を探し出す。なぜわかるのだろうか?神秘的ですね〜
子ペンギンが成長したことを見届けて、父と母は別々に旅立ちます。あんなに信頼し合ったのに夏は別行動なのよ・・・。別れ際は来季も夫婦になれることを誓い合っているようにみえました(ウルウル)そして子ペンギン達も海へ潜っていきます。彼らもいつかは生誕の地にもどってくるのです・・。

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