松重豊、次回はスパイスを巡る旅?『劇映画 孤独のグルメ』名古屋舞台挨拶で

俳優の松重豊さんが、初監督&脚本を務めた『劇映画 孤独のグルメ』の大ヒットを受け、25日名古屋のミッドランドスクエアシネマで行われた舞台挨拶に登壇。集まった観客の質問に答える形で、撮影秘話や次回作への意欲を明かしました。

本作は、松重さんが長年にわたり主演を務め、人気シリーズへと成長した「孤独のグルメ」の劇場版。松重さん自らメガホンを取り、主人公・井之頭五郎が究極のスープを求めて世界を巡る姿が描かれます。

鬼まんじゅうにエビフライサンド
名古屋グルメに「幸せな気持ち!」

上映後、自然と拍手が沸き起こる中、興奮冷めやらぬ観客の前に登場した松重さんは、「お腹すいたでしょう?」と気遣いを見せつつ、「僕らも移動でバタバタしていて、ゆっくり食事をする時間がなかったんです。でも、『どうする家康』というドラマを名古屋で撮っていた時に、共演の山田裕貴くんがよく差し入れしてくれたのを思い出してね、“鬼まんじゅう” を食べました」と明かすと、「それから、コンパルのエビフライサンドも食べてきたので、今は幸せな気持ちでいっぱいです」と満面の笑みを浮かべました。

「聞くところによると、ここは “背徳の満腹セット” を持ち込めるそうですね。買った人いますか?」と会場に問いかけ、「結構いますね! 上映時間の1時間50分もそれなら耐えられますね。食べてない人は、

「あと、この映画にはいろんな料理が出てきますが、最初に登場するオニオングラタンスープが忘れられないという人は、この建物に『文化洋食店』というお店があります。僕は食べたことがないので味の保証はできませんが、有名なお店らしいですよ。」

軽快なトークで会場を盛り上げると、そのままティーチインがスタート。熱気に満ちた劇場は、さらなる熱気に包まれました。

胸元から名刺を取り出した松重さん、質問者には直接名刺を手渡しするということで、その粋なパフォーマンスに観客も大喜び!

 

エッフェル塔の前で “孤独カット” を撮らないと映画にならない

「次に行ってみたい国は?」という質問には、「このドラマは、韓国、中国、台湾で驚くほど人気があって、以前韓国編を撮影した時も、現地の方々にとても楽しんでもらえました。世界中どこでも成立する作品だと思っているので、次はどこへ行こうか… “南極料理人”’とコラボするのも面白いですよね。ヨーロッパ、イタリアやスペインも行ってみたいし、アジアもいい。アイデア募集中ですので、ぜひリクエストしてください!」と、ユーモアを交えながら答えました。

「孤独のグルメ」といえば、通称“孤独カット” と呼ばれる、五郎が「腹が減った」とつぶやいた際にカメラが徐々に引いていく演出が印象的です。

 

「機内食のシーン」が印象に残ったという観客には、シナリオ作成時の秘話を披露。

「最初にシナリオを書いた時は、内田有紀さん演じる志穂がいる島に、ユ・ジェミョンさん演じる男が妻を取り戻しに行って、漂流した井之頭五郎と出会って言葉が通じないながらもお互いその施設に潜り込むという話だったんですけど、大掛かりなロケは難しいということで、『だったらパリだ!』と僕がわがままを言ってしまって。エッフェル塔の前で “孤独カット” を撮らないと映画にならないと主張しました。プロデューサーは『無理です!』と反対していましたが、すぐにJALのタイアップを取ってきてくれまして(笑)。せっかく撮るなら機内シーンも面白くしたいと思い、寝過ごして機内食を食べ損ねる人をヒントにしました。長時間のフライトで2回も食事を逃したら相当ショックだろうなと。」と、シーン誕生秘話を明かしました。

韓国領に迷い込んだ五郎の入国手続きを行う韓国入国審査官役にユ・ジェミョン。ふたりのコミカルな掛け合いも本作の見どころのひとつ

パリのエレベーターが狭すぎた話

五郎の元恋人の娘・千秋を演じるのは杏、ほか、内田有紀、磯村勇斗、塩見三省、オダギリジョーら豪華キャストが集結。村田雄浩扮する五郎の同業者・滝山も登場しますよ~。

 

冒頭のフランスのシーンで、五郎さんが入ったエレベーターが小さかったことに触れた質問には、「よく聞いてくれました!」と嬉しそうな表情を見せます。

「パリって、どこを撮っても絵になる街並みなんですよ。築100年以上経っている建物も多くて、外観はそのままに、中をリノベーションしているところがほとんどです。でも、建築当時はエレベーターがないので、階段の踊り場を利用した狭いエレベーターが、あちこちにあるんですね。実際にロケで使わせてもらった、パージュというフランス料理店の手島シェフのご自宅も、エレベーターがあの狭さでした。しかも、僕たちがロケハン中に泊まっていたホテルが、なぜか(パリなのに)ホテルロンドンっていう名前なんですけど、そこのエレベーターはもっと狭くて、スーツケースを入れると人が入れないくらいでした。映画と同じですね(笑)」と、撮影の裏話を披露。

なんでこんなことに?気になる人は迷わず劇場へ!

ティーチインでは、五郎さんが漂流するきっかけとなる「サップ」の話題や、劇場版を作ることになった経緯についても語られました。

松重さんは、ロケハンに行くまでサップを経験したことがなかったそうですが、「体幹がいいみたいで、スーツを着ていても1回も落ちることなく、撮影中も無事に過ごせました」とコメント。

五郎さん、小食になった…? いえいえ、まだまだ食べられます!

映画を見て「五郎さんが今回あまり食べていない…『小食になった?』」と感じた観客もいたようで、その疑問に松重さんは、1時間50分という限られた時間の中で、観客の空腹感をいかに持続させるかを意識した結果だと説明します。

「映画を観て『年齢とともに小食になったんじゃないか?』と思われたかもしれませんが、実は逆なんです。最近スタッフの間では、僕の食べ過ぎ問題で尺に収まらない、食べているだけで放送時間をたくさん使ってしまうということが起きていて…。なので、映画の中では自制しました。映画では、店選びからメニュー選びまで全部僕がやりまして、決められた時間の中に収めるために、ああいう風にしています。ちょっと物足りなく感じるかもしれませんが、まだまだ食べられますよ!(笑)」と、ユーモアたっぷりに語り、会場を和ませました。

タージ・マハルで“孤独カット” 
次回作への意欲にじませる

最後は、自作の応援うちわを持った子どもの観客から「もし続編作れたら何食べます?」という質問が飛び出した。

「続編ね~。映画が出来上がって、もう1年ぐらい経つので、どんな展開が面白いのかなってずっと考えてました。何度も言いますが、興行収入10億円を達成できなかったら、僕はこのシリーズから身を引くことにしております(笑)。今、面白いなと思っているのは、最初の “孤独カット” をインドのタージ・マハルの前でやりたいなってこと。タージ・マハル前で、『腹が減った…』ポンポンポーンって効果音とともにインド音楽がかかって、スパイスを巡る旅ってのも面白いんじゃないかなと。カレーって日本人で嫌いな人はほぼいないと思うので、カレーのスパイスを巡る冒険談は、映画サイズになるんじゃないかな」と、次回作への熱い想いを明かしました。

そして、「まだまだ志半ばでございます。どうか皆様のお力で、僕たち『孤独のグルメ』チームをインドに連れてってください!」と観客に呼びかけ、大きな拍手と笑顔に包まれながら劇場を後にしました!

目指せ興収10億円!? 五郎の冒険はまだまだ続く!

『劇映画 孤独のグルメ』は1月10日に公開を迎え、26日の時点で興行収入7億1000万円を突破。井之頭五郎のイチファンとしては、勢いそのままに目標の10億に届くことを願うばかり。それにしても…原稿を書きながら、こう思ってしまう。「腹が…減った。そうだ、今日はオニオングラタンスープにしよう」。五郎の冒険は、まだまだ続く。

腹が…減った…

ポンポンポン…あの効果音が聞こえてきそうです

大海原 ▶ サバイバル ▶▶ 謎の集団 ▶▶▶ 命の危機!?
「孤独のグルメ」史上最長のサバイバルロードムービー。
どうした…五郎!!

旅路の中で彼は気付く。
「腹が…減った!」

取材・文 にしおあおい(シネマピープルプレス編集部

 

『劇映画 孤独のグルメ』作品データ

【あらすじ】井之頭五郎は、かつての恋人・小雪の娘、千秋からとある依頼の連絡があり、飛行機の機内で腹を減らしながらフランス・パリへ向かう。
パリに到着し、空腹をいつものように満たし、千秋と共に依頼者の祖父の元へ向かう。
そこで、千秋の祖父である一郎から、「子供の頃に飲んだスープがもう一度飲みたい。食材を集めて探して欲しい。」とお願いされる。
わずかな地名をヒントに、五郎も行って食材を探してみることにしたのだが…。
フランス、韓国、長崎、東京。究極のスープを求めて、五郎は世界へ漕ぎだす!
しかし… スープ探しのはずが、行く先々で様々な人や事件に遭遇。
次第に大きな何かに巻き込まれていく…。

タイトル:『劇映画 孤独のグルメ』
監督:松重 豊
脚本:松重 豊  田口佳宏(「孤独のグルメ」シリーズ)
原作:原作・久住昌之、作画・谷口ジロー「孤独のグルメ」(扶桑社刊)
出演:松重 豊
内田有紀 磯村勇斗 村田雄浩 ユ・ジェミョン(特別出演) 塩見三省 / 杏 オダギリジョー
主題歌:ザ・クロマニヨンズ「空腹と俺」
上映時間:110分
配給:東宝
(C)2025「劇映画 孤独のグルメ」製作委員会

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