伊藤さとりの映画で人間力UP!『DOG DAYS 君といつまでも』

犬は買うではなく、貰うを伝える韓国映画の変化〜『DOG DAYS 君といつまでも』

 

「痛い」という言葉を聞けたなら。

ペットと暮らしているとそんな感情を持ったりしませんか。それは多くの犬や猫が痛みを我慢してしまうので、注意深く見ていないと病気の発見が遅れてしまうことがあるからです。

そんな犬との暮らしを『ラブ・アクチュアリー』(2003)のように世代の違う群像劇として描きつつ、犬と人との恋愛を綴る韓国映画『DOG DAYS 君といつまでも』が11/1から日本公開スタート。しかも出演者は全員主役級。『ミナリ』(2020)で米アカデミー賞助演女優賞を韓国人で初めて受賞したベテラン、ユン・ヨジョンと『梟 −フクロウ−』(2022)や『コンフィデンシャル』(2017)シリーズの個性派ユ・へジンがダブル主演、他にも『シュリ』(1999)のキム・ユンジン、『ビニールハウス』(2022)のキム・ソヒョン、『search/#サーチ2』(2023)のダニエル・へニーといった映画でお馴染みの顔ぶれがズラリなのです。

思い起こすと「名犬ラッシー」(1943~)から始まり『ベンジー』(1974)など犬と人間の絆を描いたドラマや映画は多く作られています。日本でも「名犬ラッシー」のような犬が飼い主の元に戻ろうとする作品は、ドラマ「黄金の犬」(1977~)を筆頭に多く制作されていますよね。しかも駅で飼い主を待ち続けた忠犬ハチ公の物語は、日本のみならずハリウッドでも映画化され、愛犬家のリチャード・ギア主演で『HACHI 約束の犬』(2009)というタイトルでラッセ・ハルストレムにより映画化されたほどです。そんなラッセ・ハルストレム監督は大の犬好きとして知られており、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(1985)、『僕のワンダフル・ライフ』(2017)があったりと、犬映画は犬を愛する人により、いつの時代も制作されているんです。

でも最近の犬映画は一味違う?!

実はこの映画でも度々、登場するセリフに「犬は買わずに貰ってね」とあるように、譲渡をテーマにした作品が増えています。ペットを飼う人間は増えたものの、まだまだ殺処分が多い状況。そんな中、韓国では昔からの慣習であった犬肉を禁止する法案が今年1月に可決されました。犬は伴侶であり、売買するものでもない。だからか日本では今年1月に公開された映画『マイ・ハート・パピー』(2023)も、犬の里親探しの物語になっていて、保健所で殺処分を待つ犬を救助するシーンもあったりするんです。

本作『DOG DAYS 君といつまでも』も、買うではなく譲渡を押し出しつつ、犬が人を癒してくれるを根底に、犬と人との共存と家族のカタチを綴ったハートフル・ドッグ・ムービーなのでした。ちなみに動物映画ってどうしても涙腺崩壊必至なものの、この映画は悲しいよりも優しいで泣けるので、ハンカチは準備しつつも安心してご覧頂けますよ。

 

『DOG DAYS 君といつまでも』

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●公開表記:11月1日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
●提供:楽天 ●配給:ギャガ

●キャスト:
ユン・ヨジョン ユ・ヘジン
キム・ユンジン チョン・ソンファ キム・ソヒョン ダニエル・ヘニー イ・ヒョヌ タン・ジュンサン ユン・チェナ

●監督:キム・ドクミン 

●原題:도그데이즈/韓国映画/カラー/シネマスコープ/5.1chデジタル/120分/翻訳:小⻄朋子

公式サイト:https://www.rakuten-ipcontent.com/dogdays/ 公式Youtube:https://www.youtube.com/@RakutenContentCentral_Movie 

「楽天・洋画」公式X:https://x.com/Rakuten_Youga (@Youga_Rakuten) 

「楽天・洋画」公式Instagram:https://www.instagram.com/rakutenmovieyouga(@rakutenmovieyouga)

伊藤さとり

伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)

映画コメンテーターとして「ひるおび」(TBS)「めざまし8」(CX)で月2回の生放送での映画解説、「ぴあ」他で映画評や連載を持つ。「新・伊藤さとりと映画な仲間たち」俳優対談番組。映画台詞本「愛の告白100選 映画のセリフでココロをチャージ」、映画心理本「2分で距離を縮める魔法の話術 人に好かれる秘密のテク」執筆。

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