伊藤さとりの映画で人間力UP!「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」

前回は、東京を頂点とした主に関東のヒエラルキーをテーマに、東京から通行手形を必要とされる埼玉県民の無念と共に千葉県民との激しい決戦を迎える転換も面白かった『翔んで埼玉』。私はそもそも『パタリロ!』のファンで、魔峰央夜先生の漫画がTVアニメになった時も熱狂していた世代で、この原作もチラリと読んでおりました。が、しかし、『翔んで埼玉』は、お話途中で終わってしまった幻の漫画。これがSNSの普及で脚光を浴び、実写で映画化だなんて。

しかも大ヒットというのは正直驚きを隠せませんでした!

 

 

 

 

 

今回は、埼玉が大阪を相手に滋賀を救う物語!なんだ?!その展開は。もはや、ジワジワと日本を制覇しようとしているとしか思えない『翔んで埼玉』シリーズ、第2弾が完成しました。

前作で東京への通行手形制度を撤廃させ自由を勝ち取った埼玉県民の麻美麗(GACKT)と壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が今回も物語の軸。みんな笑顔で過ごしているかと思いきや、埼玉県民は横の繋がりを大事にしないという問題にぶち当たります。ならば埼玉をひとつにまとめようと越谷に海を作る計画を発案。麻美麗は埼玉解放戦線員たちと共に、白い砂を持ち帰る為、和歌山の白浜へと向かうのですが、そこで大阪により迫害を受けているという滋賀解放戦線のリーダー桔梗魁(杏)と出会います。彼らの苦しみを目にし、共に大阪府知事・嘉祥寺晃(片岡愛之助)の野望を打ち砕こうと立ち上がる麻美麗だったのですが…。

 

 

 

 

 

この映画を観れば、間違いなくみ〜んな「とび太くん」が好きになる!そして「とび太くん」に涙する!そんな滋賀県を守る看板「とび太くん」が重要な任務を果たすのです。他にもそれぞれの地を紹介する名シーンが数々登場。たとえば和歌山の地に着くとパンダがゴロゴロ、奈良に足を踏み入れるとシカがウジャウジャ、そして滋賀で、「とび太くん」がひょっこりさん。こんな細やかな笑いをとるショットの連打、相変わらず遊び心が随所に散りばめられた賑やかで楽しい画が、スクリーンを埋め尽くします。

それだけじゃありません。あるハリウッド映画へのオマージュと言えるシーンが登場。

それはジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督『チャーリーとチョコレート工場』のチョコレート工場で働くウンパ・ルンパの歌い踊るシーンを、ゆりやんレトリィバァがたこ焼き板として再現!随所に流れる音楽もなんとなく『パイレーツ・オブ・カリビアン』か?!

 

 

 

 

 

いちいち大袈裟なセリフ回しと展開が面白いし、愛之助と藤原紀香夫婦のヤバイ共演は、見ているこっちが勝手に心配してしまうし。CGも駆使し、その土地の魅力を皮肉も交えて愛と笑いで届ける『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛を込めて〜』11/23公開ですよっ。

2023年製作/116分/G/日本
配給:東映
劇場公開日:2023年11月23日

(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

 

伊藤さとり

 

映画パーソナリティ(映画評論・映画解説/心理カウンセラー) 

ハリウッドスターから日本の演技派俳優まで、記者会見や舞台挨拶MCも担当する。全国のTSUTAYA店舗で流れる店内放送wave−C3「シネマmagDJ、俳優対談番組『新・伊藤さとりと映画な仲間たち』(YouTubeでも配信)、東映チャンネル×シネマクエスト、映画人対談番組『シネマの世界』など。NTVZIP!」、CX「めざまし土曜日」TOKYO-FMJFN、インターFMにもゲスト出演。雑誌「ブルータス」「Pen」「anan」「AERA」にて映画寄稿。日刊スポーツ映画大賞審査員、日本映画プロフェッショナル大賞審査員。

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