エリコのフォトdeシネマ♪ Vol.123『キリエのうた」

アイナの歌&岩井俊二の作家性にシビれる! 『キリエのうた』

『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』
の監督:岩井俊二×音楽:小林武史が、
元BiSHのアイナ・ジ・エンドを主演に生み出した音楽映画。

2023年の東京を中心に、3つの時代、4つの場所、
4人の男女の物語が交錯し、繋がっていく。

アイナの存在あってこその映画で、
圧巻の歌声と表現力に鳥肌が立ちっぱなし。

また岩井俊二の強烈な作家性が出ている映画でもあって。

何しろファーストカットの雪景色から、『Love Letter』を思い出させ、
『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』etc‥。
これは!?と思う要素があちこちに。

 

 

 

 

 

 

ポップでスタイリッシュ、光と風を感じる抒情的な映像が、
軽やかな印象を与えるけれど、
描かれているのは叶わない恋、届かない想い、
心の傷や喪失感を抱えた若者の姿と、
時代性を反映した世の中の残酷さ。
そんな不条理あふれる世界にある、儚く淡く温かな瞬間を映し出してきた岩井作品。
もちろん本作もそう。

メインの広瀬すず、黒木華をはじめ、
認識できないぐらいのちょい役まで、
豪華なキャストが出演しているのも岩井作品らしい魅力。

中でも予想以上に良かったのが松村北斗。
透明な存在感と繊細な演技が光ってた。

 

 

 

 

 

 

ちなみに岩井監督は学生時代の友人に、
中学時代の自分に似ている人がいる、と聞いて、彼のことが気になっていたそうで。
言われてみれば、確かに似てるかも!

さて今回の写真では、キリエのイメージカラーの青と、それに合わせた青い花束を。

着替えるとキリエがミューズになる、
青いワンピースがすごく印象的だった。

2023年製作/178分/G/日本
配給:東映
劇場公開日:2023年10月13日

 

 

 

 

 

 

 

映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)

Twitter @onabe11
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載

おいしい映画祭

アーカイブ