これぞ狂気の愛 私が、生きる肌

私の大好きな監督の一人。ペドロ・アルモドバル

なんたってアントニオ・ヴァンデラスを世に送り出した人でもあるし、
その映像センスには毎度しびれちゃう。
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」「アタメわたしをしばって!」「ハイヒール」「キカ」初期の作品は全部好き。
そして、「オール・アバウトマイマザー」「トークトゥハー」「ボルベール帰郷」
どこもこれもどれもこれも深遠にして、バイタリティ豊かな愛の物語を次々に発表し、
少ないセリフで説明的にならず、シーン毎に余韻を残しインパクトのある映像と見事な構成でみせていくのです。
「私が、生きる肌」は誰も見たこともないオリジナリティあふれる本作はカンヌでも大絶賛。
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このインパクのあるポスター。一体なんなだ?
スリリングな旋律と共に幕を開け
とある豪邸に監禁されているボディストッキング姿でヨガに没頭する美女。
その謎めいた美女とその家の主、天才形成外科医の想像を絶する過去を
巧に描いていきます。
いままで見たことのない、ほんとに何度もいいますけどこんなストーリー見たことありません。

妻を亡くした天才外科医・ロベルは、以来、妻を救えるはずだった”完璧な肌”の開発に執念を燃やしていた。そして彼は監禁した”ある人物”の肉体にこの開発中の人工皮膚を移植し、ベラ・クルスという亡き妻にそっくりの美しき女性を創り上げるのだった…。
一体、このベラとは何者であり、なぜロベルは”彼女”を選んだのか…? 物語が進めば進むほど数々の疑問が浮かび上がるのです。

ロベルを演じるのは、アルモドバルと22年ぶりの再タッグとなるアントニオ・バンデラス。最近、ハリウッドではシュレックの黒ねこの声ばっかりだったので、実写でみたい!早くペドロとのタッグが見たいと切望していたのだ。

今回は年を重ねて渋くなり年相応の役柄でほっとした。
でもヴァンちゃん以上に観る者を惹きつけるのが、完璧な肢体に”肌”をまとったミューズ、エレナ・アナヤ。実は、彼女の体の美しさを余すところなく強調するこのボディスーツ、手がけているのがかの有名デザイナー、ジャン=ポール・ゴルチエだそうです。
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アルモドバル監督と手を組むのは、『キカ』『バッド・エデュケーション』に続き3作目。
今回もアルモドバルが創り上げた完璧な色彩美と見事な融合を果たしています。

フィルムノワール、ミステリー、エロス、バイオレンスが一体となった映像世界は、倒錯的なラブストーリーの要素も波乱で危ういスリル満点です。

小道具、美術、衣装などなど細かいディティールにも目を凝らして。

5月26日公開、名古屋は6月2日公開。




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