『マイ・ブロークン・マリコ』
なんだか「遺骨」が出てくる映画が続いてる。
平庫ワカの漫画をタナダユキ監督が映画化した『マイ・ブロークン・マリコ』では、
永野芽郁演じるシイノが突然亡くなった親友マリコの「遺骨」を奪って逃走する。
たくさんの思い出と、無念、後悔、喪失感を抱いた最初で最後の二人旅。
マリコの境遇はあまりにヘビーで胸が苦しくなるけれど、旅の終わりは清々しく。
観た後には切なくも温かな気持ちが残る。
今までのイメージとは違うやさぐれた永野芽郁が、
泣いて叫んで走って飛んで、亡き親友への想いを激烈に表現する姿に胸が熱くなった。
役作りのために3、4ヶ月前からタバコを吸っていたそうで(ニコチン、タールは入ってないらしいけど)、役に向き合う真摯な姿勢も伝わってきた。
彼女をサポートする謎の男、窪田正孝も素晴らしく。
さりげなく放つ金言が心に刺さった。
そしてマリコを演じた奈緒がいい!
壊れてしまったマリコの悲痛な想いを表現する圧倒的な演技に引き込まれた。
なんでも永野芽郁と奈緒はプライベートでも仲が良いそうで、
親密な関係が映画にも生かされていた。
さらに2人とも高校生役を演じても違和感がないんだからすごい。
さて今回の写真のアイテムは線香花火。
線香花火をしながら未来の話をするシイノとマリコ。
辛く悲しい人生を歩んだマリコにも、こんなにも穏やかで幸せな時間があったことに救われた。
「マイ・ブロークン・マリコ」公開中
2022年製作/85分/G/日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ、KADOKAWA
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。 朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。 映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲