異色で愛しい映画、乱暴と待機

めちゃめちゃ笑った。

なんなんだこの映画!!!20100723_ranboutaiki2_v.jpg

本谷有希子原作、演出で
舞台で上演され、その後小説になり今回映画化。

主人公は4人。

番上貴男とその妻あずさ
市営集合住宅のご近所さんで血のつながりもないのに兄妹を装う山根とななせ。

オープニングタイトルでトラックの荷台にのる二人のカットから、
この映画の世界観がわかる。膝から下のみで顔が映っていないので男か女か最初はわかたないし、
のっているのはトラックなのかすら最初わからなかった。

メインキャストの関係も物語が進行するにつれてわかっていく。
妊婦で気の強いあずさと人の顔色ばかりうかがっているななせの関係。
兄妹でもないのに「お兄ちゃん」と愛らしく呼ぶななせと
そのななせに長年の憎しみをもつ山根が同棲しているワケ。
そこにダメンズ夫が加わり
もう、それはそれは奇妙な四角関係。

引っ越しの挨拶を近所にするなど、夫はニートで妻は水商売だけど
ワリと一般レベルの常識をもっている番上夫妻が、
得たいの知れないM女いや、男からしてみれば妖精か?
その女に興味をもったことで、夫婦の異常性(本質)が徐々にあぶりだされていく。
とはいえ、
あまりにも、この山根とななせが異常すぎて、
夫婦がまともにみえてくるから不思議。

山田孝之演じる番上くんが美波演じるななせに言う言葉
「積極的に麻痺しようよ」
男も女もセックスしたいと思うと、後先考えず、その関係性も考えず
本能のままに流れていく。この言葉、ぴったりすぎ。

安っぽい家のご近所さんになってしまった4人。

出会ってしまったのが運のつき。
もつれてもつれて、とんでもない事態に。
でもみんな現実逃避の夢の世界で見て見ないフリをして
安泰を手に入れたかのように暮らしていく。


4人が楽しくゲームをするシーンは異常な盛り上がり。もちろん爆笑。
あずさは番上に異常にべたべた、参加しているようでしてない山根に気を遣い駒をすすめるななせ。


がしかし、その直後恐ろしい修羅場がまっていたのです。

この修羅場をなんとなく想像し、期待していた私。そうとうなM
なのだろうか。いや、Sか?



人に嫌われたくないが為、すぐに男と寝てしまう。
断れない女、ななせ。

なんとなく彼女のことわかる気がする。
八方美人な自分だから、なんとなくわかる。

一方、あずさは、ななせが大嫌い。
つまり、ハイジとクララにたとえると、
一人で生きていけないクララがななせなのだ。

ななせは、自分が美人てこともわかっている。そこが女からすると腹が立つ。
なるべく色気を出さないようにスエットにメガネ、ノーメークでふたつ結び。

これ、劇中の番上くん曰く、「逆にそそられちゃうんだよね」だそうです。

4人の共演も絶妙で、ハマリ過ぎててリアルでした。
展開もカメラアングルも不安定な音も、セリフも
そして全員の濃すぎる演技も、最高!


謎の山根を演じた浅野さん。
風貌もあやしいけど、言動はもっとヘン。
少年ジャンプを読み過ぎた感じを出しているそうだ。
たしかに漫画的。
覗きのシーンはもう、すばらしいの一言。

美波さんの怪演にはおどろいた。まさかの失禁シーン!(笑)

小池栄子は小池栄子にしかできないという役。
臨月だろうが、ちやほやされてないし、されたくもないかんじ。
むかついたら、自転車だろうがちゃぶ台だろうがば〜んと投げちゃう爽快感。
いいね。わたしも投げたい。

山田君演じる番上はほんとにダメンズ。こーいう男ってものすごく沢山いるはず。
リアルすぎます。山田ファンにはちょっと刺激が強いかな。

又一つ、お気に入り作品ができちゃいました。



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