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映画館への愛がこもったちょっといい話
『浜の朝日の嘘つきどもと』
今年は映画好きの心をくすぐる映画愛あふれる映画が多いけど、また1本。
描かれるのは経営が傾いた映画館をめぐる物語。
福島県南相馬に実在する映画館「朝日座」の風情ある佇まいに惹き寄せられ、口の悪い主人公と支配人の掛け合いや、映画好きの恩師との絆にほっこり。
ほどよく優しく温かいタナダユキ監督らしい作品。
高畑充希がチャーミングに演じる主人公、落語家・柳家喬太郎が味わい深く演じる支配人など、ちょっとクセのあるキャラクターも魅力的。
なかでも大久保佳代子が演じる主人公の恩師が最高!
生徒との距離感もかける言葉もカッコよく。
男に優しくされるとすぐに惚れ、フラれる度に『喜劇 女の泣きどころ』を観て号泣する。
ダメさ加減も映画の趣味もステキな人。
写真では男にフラれた先生と先生の部屋に居候している主人公が、映画を観ながら食べるパピコをチョイス。
パピコを2つに割って食べる関係っていいね。
昨年放送された同タイトルの福島中央テレビ開局50周年記念ドラマを観た方もいるかも知れませんが、その前日譚にあたるのがこの映画。
ドラマを観ていてもいなくても楽しめて、どちらかを観たら両方観たくなります。
「浜の朝日の嘘つきどもと」
2021年製作/114分/日本 脚本・監督:タナダユキキャスト出演:高畑充希、柳家喬太郎、大久保佳代子、甲本雅裕、佐野弘樹、神尾 佑、光石 研、吉行和子 配給:ポニーキャニオン https://hamano-asahi.jp/
フォトdeシネマ
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。
映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス!”不定期掲載