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日本の原爆開発にフォーカスを当て、懸命に生きる若者たちを描いた良作
『映画 太陽の子』絶賛公開中!
太平洋戦争末期、日本で行われていた原子核爆弾開発にフォーカスを当て、戦時下で懸命に生きる若者たちを描く。
今までにない角度から戦争と原爆、科学と人間を見つめた作品。
若き科学者・修や研究員たちの葛藤。
戦地で心に傷を負った修の弟・裕之の苦悩。
様々な想いを抱えながらも、自分の行くべき道を進む人々の姿に胸が締め付けられる。
そしてふと心安らぐ瞬間や淡い恋心、青春の瞬きを映した美しい映像に引き込まれる。
探究心を抑えられない科学者の性を体現した柳楽優弥、未来を見据える強く聡明な世津を凛と演じた有村架純ほか、田中裕子、國村隼、イッセー尾形などキャストもみな素晴らしい。
そしてなんと言っても裕之を演じた三浦春馬。 戦地から一時帰省して家族と再会。「ただいま」と言って見せる屈託ない笑顔にまず泣かされた。
立ち姿、佇まいから役になりきる見事な演技が、スクリーンで観られるのはこれが最後だなんて本当に残念…
今回の写真は戦地へ戻る裕之のために母が作るおにぎり。
物資が乏しい戦時下であっても、息子に特大のおにぎりを持たせる母の愛。
また科学者として理解を超えた行動を取る修にも、同じおにぎりを持たせてやる。
修が母の想いがこもったおにぎりを食べる姿を、ワンカットで映したシーンは圧巻!
昨年8月NHKでTVドラマが放送されたけれど、映画ははじまりもラストも違う完全版なので、ドラマを観た方もぜひ映画館へ。
「太陽の子」
2021年製作/111分/G/日本・アメリカ合作
配給:イオンエンターテイメント
(C)ELEVEN ARTS Studios/2021「太陽の子」フィルムパートナーズ
フォトdeシネマ
映画ライター 尾鍋栄里子(おなべえりこ)
映画館バイト→雑誌映画担当→映画ライターと、人生の半分を映画業界の片隅で生きる名古屋人。
朝日新聞、中日新聞、フリーペーパーなどで映画紹介記事を執筆中。映画フリーペーパー C2【シーツー】web版ブログ〝オー!ナイス