田舎町にスーツ姿の男が一人、彼が尾上さん演じる香芝。 大手メガバンクのエリート銀行員で東京でバリバリ働いていましたが、ちょっとした失言が元で、田舎の支店に左遷されてしまいます。
絶望感しかない香芝はがひなびた路地で艶やかな着物を着た美女を見かけ付いていくと、そこは金魚すくいのお店。
赤を基調とした店内は金魚たちがアートのようにデザイン性の高い金魚鉢の中で泳いでいてそこは異空間。 実は、この町の唯一の娯楽は金魚すくい。制限時間3分で何匹すくえるかと、腕をきそいあうのです。
少しずつ、興味が湧いた彼はそして香芝は金魚すくいの極意をこの美女吉乃から教わっていきます。 支店に着任した香芝の歓迎会として、金魚すくい大会が吉乃(百田夏菜子)が営む「紅燈屋」で行われたのですが、支店の面々が金魚 すくい大会を楽しむ中、気が乗らず、一足先に帰宅してしまう香芝。夕食を作ろうと煮干しをとりだすと、なぜかその煮干しが水の中で泳ぎだす?!思わず、持ち帰ったポイで煮干しをすくおうとする香芝。そこに香芝を心配した吉乃がおはぎを持って訪ねてきて、ポイを握りしめている姿を見られてしまうのだった。
本作の見どころのひとつは、もちろん“金魚すくい”。“金魚すくい”は、世界一静かで優雅なスポーツといわれるが、実際は夏祭りや 日でしか体験したことがない人がほとんど。映画『すくってごらん』のキャストたちも同様で、撮影に入る前 に、“金魚すくい”の道場へ練習に行き、名人からコツを学んでいます。
監督は、2012 年、ショートフィルム『THE SUN AND THE MOON』が、ウォン・カーウァイ監督が設立し、ルイ・ヴィトンが主催する映画祭「Journeys Awards」でグランプリを受賞し、長編映画デビュー作の『ボクは坊さん。』(15)でも高い評価を受けた俊英・真壁幸紀監督。