噂には聞いていましたけど、期待通り!100点満点中、95点です。
すばらしい映画でした。
マイナス5点はスラムドッグミリオネアがいまのところ、100点だから差をつけただけ。
ミッキー・ローク扮するランディ・ロビンソンは80年代に活躍したプロレスラー。髪が白髪混じりになってもレスリングをやめない彼は、
ある日心臓発作で倒れてしまう。医師に「もう1度リングに上がったら死ぬ」と宣告されるランディはスーパーマーケットの惣菜売り場で働き始める。彼にはエ
ヴァン・レイチェル・ウッド扮するステファニーがいるが、彼女は自分の事しか考えていない父に嫌悪感を抱いている。マリサ・トメイ扮するランディが好意を
抱く子持ちのストリッパー・キャシディに助けを求め、娘と再び家族になろうとするのですが…。
ラストはね、もう涙がとまらなかった。
監督は『レクイエム・
フォー・ドリーム』のダーレン・アロノフスキー。彼は低予算で実験的な作品『π』や、スピリチュアルで美しい映像が魅力的な『ファウンテン永遠につづく
愛』等、常にわたしたちにサプライズを提供する映画監督。『ザ・レスラー』は一番人間ドラマ性が濃く、セミドキュメンタリータッチになってるかな。
全編、カメラはミッキーをとらえて放さない。
とくに後ろ姿のショットがおおく、広く妙に哀愁漂う背中がランディという男を語っています。
この企画はもともとはニコラス・ケイジに主演がオファーされていたそうです。しかし、監督のアロノフスキーがミッキー・ロークにランディ・ロビンソンを演
じて欲しいと思っている事をケイジが悟り、また古い友人であるロークに俳優としての素晴らしい機会を与えるために彼は企画を降りた。男の友情のエピソード
がこの映画のバックグラウンドにはあるんですよ。ニコラスいいやつ。見直したぞ!
そして訪れたチャンスを不意にしなかったロークは、来年のアカデミー賞の主演男優賞へのノミネート。各映画賞は総なめしています。
ショーン・ペンやデニーロも彼の完全復帰をよろこんでいましたものね。
よかったよかった。
レスリングシーンでは痛々しい映像が登場します。も、なんども手で目を覆いました。
一つ置いて隣の席のHさんは、あのリングの暴力シーンの度にゴソゴソしていたので、私と同様目を背けたり体を反らせたりしていたのでしょうね(笑)
暴力描写は多いけど、アメリカのレスリングはショーですからね、全て打ち合わせ通りに試合が行われます。その様子もこの作品では描かれており、血まみれにな
りながらもリング上でお互いを励まし合って戦っている姿には笑えました。
。
ミッキーロークももちろんですが、マリサ・トメイもよかった。
彼女の役キャシディはランディの疲れた体と心の拠り所で、客としてランディには接するものの、常に彼の事を気にかけています。ストリッパーの役で見事な肢体をみせますが、素晴らしいプロモーションなんだけど〜、40歳過ぎの肌の衰えはかくせませんね。痛感しました〜!
ランディ・ロビンソンはプロレスリングを辞めてからは引退したレスラー達と共にサイン会に出席しますが、周りにいる老いた元レスラーや車椅子に
乗った元レスラー等を見ているうちに、そのサイン会場がレスラーの墓場である事を悟るの。リングで戦わないのなら死んだも同然だ、こんな所にはいられないと思うのです。
年老いて体がボロボロになりながらも、リングで戦っているうちに失った人生の欠片を1つ1つ拾い集めようとする男ランディ・ロビンソン。一度はやめようと決心したけど、リングに身を捧げたものは孤独にしか生きられないのです。
ラストシーンは命をかけてリングにあがる。
ガンズ・アンド・ローゼズのSweet Child
O’Mineでリングに登場する彼に失うものが無くなった男の悲しくも潔い姿と演じているのですが、本物のミッキーロークの人生とかぶって泣けてきた。
6月13日より名古屋ピカデリーにて公開!