クリント・イーストウッド監督、主演『許されざる者』20年も前の映画ですがいつの時代になっても色あせない名作。
かつて黒澤明の『用心棒』に感動したイーストウッドが『荒野の用心棒』に主演し、そのイズムを自身の監督作『許されざる者』で継承したように、『フラガール』『悪人』の李相日監督もまた、イーストウッド版『許されざる者』にインスパイアされ、この物語を日本映画としてスクリーンに蘇らせたのです。
キャストには渡辺謙、佐藤浩市、柄本明ら日本映画界を代表する俳優陣。舞台をオリジナルと同じ1880年に設定し、同時代に未開の地・北海道を生きた男たちの物語を重厚に描きだしています。
先日、名古屋キャンペーンにてシネマクルーズ+で佐藤浩市さん、監督にインタビューしてきましたよ。
阪本順治の飲み会で佐藤さんに会ったという監督は、佐藤さんと仕事がしたい思っていて、その飲み会の席での佐藤さんの全てを観察し続けたとか(笑)
今回、監督は「斬られる側」より「斬った側」のリアクションを重視。そのため、殺陣のシーンがとてもリアルに描かれているんですよ。殴れば殴ったほうの手も当然痛いですよね、そんな細かい演出がなされています。
また、佐藤さんと渡辺さんは、本作が初共演なんだそうです。佐藤さんは「渡辺謙との初共演はみなさん驚くけど、同年代で、背丈もよく似ていて、クドイ顔だから、濃い顔二人のキャスティングはなかなかしないからじゃない?」なんて冗談いってましたが、この濃いふたりが繰り広げる壮絶なアクションは、かたときも目が離せません。
この映画で描かれるアクションは決してカッコいいだけのものではありません。人を斬り、命を奪い、裁くということが、どれだけ重いことなのか、暴力の連鎖がいかに”むなしい”ものなのか、観る方々に問いかけてきます。
リメイクという概念を覆すあらたな名作の誕生です。
13日から各シネコンで公開。